更新日: 2022.08.30 定年・退職
医療費を節約するために、どんなことを心がければいい?
そこで、医療費を減らすための身近な方法として、普段の生活を見直したり、病院のかかり方を変えてみたりすると、医療費の節約につながるかもしれません。
今回は、定年退職後の医療費の節約方法について考えてみましょう。
執筆者:仁木康尋(にき やすひろ)
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント
人事部門で給与・社会保険、採用、労務、制度設計を担当、現在は人材会社のコンサルトとして様々な方のキャリア支援を行う。キャリア構築とファイナンシャル・プランの関係性を大切にしている。
目次
かかりつけ医の紹介があれば大病院の特別料金はかからない
体の不調があるとき、すぐに大学病院などの大病院を受診するのではなく、日常的な病気の診療や、健康相談などができるお医者さん(かかりつけ医)をまず受診をしましょう。詳しい検査や高度な医療が必要と診断された場合には、適切な大病院や専門医を紹介してもらえます。
もし、紹介状なしで大学病院などの大病院を受診すると、初診料に加えて5000円以上の特別料金がかかります。かかりつけ医の紹介状があれば特別料金はかからないため、医療費の節約になります。
ジェネリック医薬品(後発医薬品)を選択すれば、薬代を3割から5割程度安くできる
<新薬(先発医薬品)とジェネリック医薬品(後発医薬品)の違い>
新薬は開発に多額の費用、時間がかかることなどから特許期間が設けられており、医薬品メーカーはその新薬を独占的に製造・販売することができるようになっています。そして、その特許期間経過後は、他の医薬品メーカーでも同じ有効成分のお薬を製造することが可能となります。
このように、特許期間経過後に製造される薬がジェネリック医薬品です。品質についても、厚生労働省から新薬と同等であると保証されています。
<先発医薬品よりも3割から5割程度安くなる理由>
新薬(先発医薬品)の開発には、10年~15年程度の長い期間と膨大な開発費用がかかります。こうしたコストが新薬の価格に反映されます。
一方、ジェネリック医薬品は、新薬の有効成分を利用し開発されるため、その分の開発期間やコストを大幅に抑えることが可能となり、価格を安くすることができるのです。
健康診断の受診も、医療費の節約に効果あり
健診受診者と未受診者では、健診受診者の方が、その後の医療費負担が少なくなる傾向にあります。
協会けんぽが40歳~72歳の男女を対象に実施した調査研究の結果は図表1のとおりです。医療費の節約のためにも扶養家族も含めて健康診断の受診は有効のようです。
【図表1】健康受診者と未受診者の1人あたり医療費の比較
「脱メタボ!」で大きな差が
【図表2】メタボリックシンドロームの該当者と非該当者の平均医療費の差額
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)になった場合の医療費負担の大きさに気づかれたことでしょう。
メタボを予防するためには、特定健診の受診と特定保健指導、生活習慣の見直しがポイントです。
【特定健診・特定保健指導の活用】
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防と改善のために、40歳から74歳のすべての被保険者・被扶養者を対象に「特定健診・特定保健指導」が実施されています。
【食事と運動】
食事は健康づくりの基本です。しかし、食べ過ぎによりエネルギーが過剰となると、内臓脂肪を増やす原因となります。特定健康指導をもとに日頃の食生活を見直すことができます。また、運動なども取り入れた生活を心掛けるようにします。
禁煙
禁煙に成功すると、その後の医療費も節減される傾向にあります。喫煙中の方は、喫煙によるさまざまな体への影響を考え、禁煙についても考えてはいかがでしょうか。
禁煙の方法として、医療機関の「禁煙外来」での「禁煙治療」も選択肢としてあります。禁煙外来は、総合病院、内科、呼吸器科、循環器科など、さまざまな診療科で実施されています。医師が喫煙状況を把握したうえで、禁煙補助薬の処方や治療中のサポートを行います。
一定の条件を満たしている場合、健康保険を使って禁煙治療を受けられますので、経済的負担も軽減できるかもしれません。また、2020年4月からは、「紙巻たばこ」だけでなく、「加熱式たばこ」も禁煙治療の対象になっています。
まとめ
医療機関の利用の仕方、薬の選択により医療費を節約することはできますが、そもそも健康であれば医療費はかかりません。
もっとも大切なのは健康でいることです。バランスのとれた食生活と運動を心掛け、健康診断による定期的な点検を欠かさないようにしましょう。また、かかりつけ医を持つことも忘れずに。
出典
全国健康保険協会 ホームページ
全国健康保険協会 お財布にもカラダにもやさしい 医療費節約術
全国健康保険協会 2、扶養家族も健診を受けよう
全国健康保険協会 3、脱メタボ!運動と食事に気をつけよう
執筆者:仁木康尋
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント