更新日: 2022.09.26 セカンドライフ

年金だけでは足りない! 高齢者がお金に困ったときはどうすればいい?

年金だけでは足りない! 高齢者がお金に困ったときはどうすればいい?
日本は超高齢化社会が進んでいますが、高齢者の約3割は経済的に余裕がなく、暮らしに不安を感じているようです。高齢者の方が、貯蓄や年金だけでは生活ができなくなってしまった場合、どのような手段を取ればいいのでしょうか。
 
今回は、高齢者に向けた家計の見直し方法や、老後に生活で困窮した場合に利用できる国の制度などについてご紹介します。
下中英恵

執筆者:下中英恵(したなかはなえ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者

“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。

富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”

経済的に余裕がない高齢者は?


 
「令和4年版高齢社会白書」によると、65歳以上の高齢者のうち、暮らし向きについて経済的に「心配がない」と感じている方の割合は、「家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」という方を含めて全体の 68.5%となっています(※1)。
 
一方で「家計にゆとりがなく、多少心配である」「家計が苦しく、非常に心配である」という方は、全体の31.2%を占めています。
 
65歳以上の方は、貯蓄や年金で生活している人も多いと思いますが、それだけでは生活に不安を感じている方が3人に1人くらいはいることになります。
 
同じく高齢社会白書では、65歳以上の生活保護受給者は令和元年で105万人となっています。65歳以上人口での割合では2.93%で、100人のうち約3人が生活保護を受給しているという状況です。
 

老後にお金が足りない場合の対策

生活費などが足りていないと感じている高齢者の方は、まず家計の見直しが必要です。
 
仕事をしていた現役時代と同じようにお金を使っていると、老後資金はあっという間になくなってしまいます。まずは家計簿をつけてみて、毎月どのくらいお金を使っているのか、節約できる支出はないのか、家計の見直しを行ってください。
 
高齢者でもまだまだ元気という方は、働くことも検討してみましょう。
 
今までの経験や知識を生かして、体に無理がない程度に仕事をすることは、収入が増えるだけではなく、生活にメリハリがついて健康寿命を延ばすことにもつながります。仕事を探す場合は退職前のつながりを利用したり、ハローワークやシルバー人材センターを活用してみましょう。
 
また、老後の生活が困難なときは、前述した生活保護など公的な支援制度を頼る方法もあります。
 
生活保護のほかにも、国が行っている生活困窮者自立支援制度として、家賃相当額の支給を受けられる「住居確保給付金」、状況に応じて家計の立て直しをアドバイスしてくれる「家計改善支援事業」などが用意されています(※2)。
 
老後に生活のことで悩んでいる場合、まずはお住まいの地域の相談窓口に相談してみましょう(※3)。
 

要注意! お金に困ってもやってはいけないNG行動

経済的に苦しい状況となってしまった高齢者の方は、公的な制度や相談窓口を頼るのが安心です。お金がないからといって、クレジットカードのリボ払いを利用したり、安易な気持ちで消費者金融でお金を借りるといった方法で対処しないように注意してください。
 
毎月の支払額を一定額にできる、または残高に応じて変わるクレジットカードのリボ払いは、軽い気持ちで利用してはいけません。リボ払いは金利が高く、毎月の支払額によっては返済が長期化するため、利息の支払いによって結果的に損をしてしまうことになります。
 
また、消費者金融でお金を借りるのも避けられるのであればそれに越したことはありません。
 
サービスによっては審査がなく、すぐに借り入れができることもあるので、消費者金融は高齢者にとっても利用するハードルが低いですが、返済時は15%ほどの高い金利を支払わなければなりません。リボ払いと同様に利子の支払いで、ますます生活が苦しくなってしまう可能性があります。
 
クレジットカードの支払いをリボ払いにしたり、消費者金融でお金を借りるよりは、公的な窓口で生活を立て直すための相談をする方が安全で堅実です。
 

まとめ

老後のためにお金を貯めていた方でも、実際に貯蓄の切り崩しと年金収入が中心の生活になった場合、お金が足りなくなって毎月の生活費などに困ることもあるかもしれません。そんなときは焦らずに家計を見直して、支出を減らすことはできないか、または働いて収入を増やすことができないか、しっかりと確認・検討することが大切です。
 
今回紹介した内容を参考にしながら、老後のマネープランや生活について、もう一度確認してみてはいかがでしょうか。
 

出典

(※1)内閣府 令和4年版高齢社会白書(全体版)
(※2)厚生労働省 生活困窮者自立支援制度
(※3)厚生労働省 自立相談支援機関 相談窓口一覧(令和4年6月1日現在)
 
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者

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