更新日: 2022.09.29 その他老後

65歳になる前に、金銭がらみで備えておくべきことってありますか?

執筆者 : 柘植輝

65歳になる前に、金銭がらみで備えておくべきことってありますか?
65歳という年齢は、多くの方が定年を迎え、年金を受け取り始めるであろう節目の年齢に当たります。そんな節目の年齢だからこそ、それまでにやっておきたいお金がらみのことがあります。定年や年金受給開始などを目前に控えた方からよく寄せられる相談を元に、65歳になる前にやっておきたいお金の備えについて解説します。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

総資産の把握と資産配分の変更

65歳になって定年を迎え、年金を受給するようになると、これまでとは収入の内訳や金額が大きく変化します。それを踏まえ、いま一度、自分が有している資産の把握をしておきましょう。
 
定年後は再就職や再雇用でない限り、収入は年金頼りとなります。そのため、大抵の方は現役時代より収入が落ちてしまいます。資産を切り崩して生活することになる可能性も決して低くはありません。老後、想定している生活をしていけるだけの資産が残っているか、手元の資産はどのようなものであるかを確認しておきましょう。
 
現時点では十分な資産があったとしても、株式や仮想通貨などリスク資産(上振れも下振れもしやすい資産)が多く含まれている場合、突然の大暴落で半分程度にまで落ち込んでしまう可能性もあります。
 
50代後半、60代前半と65歳が近づくにつれ、資産を増やす攻めの姿勢ではなく資産を減らさない守りの姿勢が大切になっていきます。65歳になる前に、リスク軽減のため一部を現金化したり、リスクの低い債権の補充を増やしたりするなど資産配分の調整をしておきましょう。
 
特に最近はつみたてNISAやiDeCo、株式投資の利用が盛んになっているため、この点は非常に注意を要します。
 

保険の整理

現役時代は、病気やけがをした場合のこと、家族のことを考え、医療保険や生命保険に加入していた方も少なくはないと思われます。老後は子どもも独り立ちし、必要になるお金も減少するため、現役時代ほど厚い保障は基本的に必要ありません。さらに医療費の負担率も、70歳では2割負担、75歳になれば1割負担と現役時代より低くなります。
 
老後に必要となるのは、所定の事由でしか受け取れない保険より、いざというときにはいつでも使える現金やその他の資産です。相続対策で生命保険に加入しているなどの例外は除き、加入している保険の確認と整理も65歳までにやっておきたい事項になります。
 

老後に必要なお金の確認

65歳を迎え、老後の生活が始まるタイミングになってから必要なお金について考えていては、老後破産を起こしかねません。日々の収支はもちろん、家のリフォームや車の維持費、持病の通院費や今後の医療費などある程度具体的に、必要なお金の額と使い道を考えておくべきでしょう。
 
家のリフォームや車の維持費など支出がある程度確定している分については、手を付けないように口座を分けるなど、お金を確保しておくことも重要です。
 
また、現在ローンを組んでおり、定年後にも残る、もしくは返済で貯蓄を大きく目減りさせてしまうなどの事情があれば、それも確認しておく必要があります。
 

老後の収入と働き方の確認

老後の収入は多くの場合、年金に頼ることとなります。そこで、40代、50代など早い段階から、年金を将来いくら受け取ることができるのか確認し、年金収入の金額に予想を立てておきましょう。
 
年金だけでは生活できないようであれば、老後の就労も視野に入れる必要があります。老後に就労する場合、どんな仕事をするのか考えておくことはもちろん、定年前から働き口を確保しておくと、再就職がスムーズになります。
 
また、働きながら年金を受け取る場合、在職老齢年金制度によって、支給される年金額が減少してしまう可能性がある点も踏まえておかなければなりません。
 
さらに、退職金が支給される場合は、金額とその受け取り方(一括か分割かなど)も検討しておきたいところです。退職金の金額や使い道によっては、分割とした方が有利なこともあるでしょう。
 

老後に突入してから慌てないよう、65歳を迎える前にお金周りの確認を

65歳になると、定年と年金受給によってお金の流れが大きく変わります。そのため、65歳という節目の年齢を迎える前に、収支の流れや資産状況など、お金がらみのことを確認しておく必要があります。
 
まだ65歳まで遠い現役世代の方はもちろん、65歳に近づいている方も、その年齢になる前から少しずつ金銭面について確認をしておき、備えを進めていくことをおすすめします。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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