更新日: 2022.10.05 その他老後

後期高齢者医療制度ってどんな制度? 10月から窓口負担割合が2割となる人とは?

執筆者 : 新美昌也

後期高齢者医療制度ってどんな制度? 10月から窓口負担割合が2割となる人とは?
2022年(令和4年)10月1日から、75歳以上の方(65歳~74歳で一定の障害状態にある人も含む)で一定以上の所得がある方は、医療費の窓口負担割合が1割から2割になります。
 
後期高齢者医療制度とは何か、2割の対象となる方はどのような方なのか、ポイントを解説します。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

後期高齢者医療制度とは

後期高齢者医療制度は、2008年(平成20年)4月からスタートした医療制度で75歳以上の方が加入します。65歳~74歳で一定の障害状態にある人も、広域連合から認定されると原則として後期高齢者医療制度の被保険者となります。
 
後期高齢者医療制度の保険料は、世帯単位で計算する国民健康保険と異なり、介護保険と同じく、被保険者一人ひとりにかかります。保険料額は、(1) 被保険者全員が負担する均等割と、(2) 所得に応じて負担する所得割で構成されています。
 
例えば東京都練馬区の場合、令和4年の保険料は、「均等割額(被保険者1人あたり4万6400円)+所得割額(賦課のもととなる所得金額×所得割率9.49%)=年間保険料額(100円未満切り捨て、限度額66万円)」となっています。なお、令和2・3年度全国平均は均等割額が 4万6987円、所得割率が9.12%、平均保険料額は年額7万6764円です。
 
低所得者等には保険料が軽減されます。世帯の所得が一定以下の場合には、(1)均等割の7割、5割、2割が軽減されます。軽減を受けるには、被保険者からの申請は不要で、広域連合が市区町村から提供される所得情報に基づいて判定します。
 
所得情報がないと判定できませんので、所得の申告をしましょう。例えば、練馬区では所得のない方で、所得申告をされていない方に、毎年6月頃、「簡易申告書」(後期高齢者医療保険料算定専用の所得申告用紙です)を送っています。
 
保険料の納付は年金が18万円以上の場合、原則、介護保険料が引かれている年金から、年6回の年金受給時に保険料が引き落とされます(特別徴収)。ただし、年金が18万円未満の方等は、特別徴収の対象とならず、普通徴収による納付(納付書による納付)となります。この点、介護保険料の納付のしかたと同じです。
 

医療費の窓口負担割合

後期高齢者医療制度における医療費の窓口負担の割合は、2022年(令和4年)9月までは原則1割とされ、現役並み所得者は3割でした。
 
2022年(令和4年)10月1日からは、従来1割負担の方の中で一定以上の所得のある方の窓口負担割合が2割になりました。この背景には、令和4年以降団塊の世代が75歳以上となり始め、医療費の負担が増加することが見込まれる点があります。
 
2割負担となる一定以上の所得のある方とは、具体的には課税所得が28万円以上かつ「年金収入+その他の合計所得金額」が、単身の場合200万円以上、複数世帯の場合合計320万円以上の方です。
 

配慮措置

ただし、2割負担への変更により影響が大きい外来患者(入院の医療費は対象外)については、令和4年10月1日から令和7年9月30日までの3年間、ひと月分の1割負担の場合と比べた負担増を、最大でも3000円に収まるような措置がとられました。
 
同一の医療機関での受診については、3000円以上窓口で支払わなくともよい取り扱いになっています。そうでない場合は3000円との差額が後日高額療養費として払い戻されます。
 
例えば、1ヶ月の外来医療費全体額が5万円の場合、1割負担であれば5000円、2割負担であれば1万円です。負担増は5000円になりますが3000円までに抑えるので、差額の2000円が高額療養費として、事前に登録されている高額療養費の口座に後日自動的に振り込まれます。
 
まずは、高額療養費の口座が登録されていない方には、施行に際して各都道府県の広域連合や市区町村から申請書が郵送されますので、忘れずに申請しましょう。
 

出典

厚生労働省 高齢者医療制度
練馬区 ホームページ
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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