終身雇用制度で定年まで働いた後、退職金と年金を頼りに生きていける?

配信日: 2022.10.14

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終身雇用制度で定年まで働いた後、退職金と年金を頼りに生きていける?
昨今では転職が珍しくないものになってきたとはいえ、日本には終身雇用制度がまだまだ色濃く残っています。
 
この制度にあやかり、新卒で入社し定年まで勤め上げたとしたら、その後を退職金と年金だけで生活していくことは可能なのでしょうか。終身雇用制度に基づき働く方の老後の計画に役立つよう、まとめてみました。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

終身雇用で定年まで働いた後の退職金は?

新卒入社から定年まで勤め上げることが可能となるような、環境の整っている会社であれば、多くの場合、定年退職時に退職金が支給されます。
 
中労委(中央労働委員会)の「令和3年賃金事情等総合調査」によれば、大学卒、事務・技術労働者、総合職相当の労働者が定年退職時に受け取る退職金の額は、2563万9000円となっています。高校卒の場合は1971万2000円と、大学卒よりも600万円程度低くなります。
 
どちらにせよ、退職金制度のある会社で定年まで勤め上げれば、多くの退職金を受け取れる可能性があるようです。
 
ただし、退職金の有無やその額は会社によって大きく異なっています。現在では退職金の支給がない会社も少なくありません。また、定年までに制度が変更され、退職金が不支給や減額となる可能性もあります。
 
老後を考えるにあたって、退職金をある程度頼りにすること自体は問題ありませんが、確実なものではないということは覚えておくべきでしょう。少なくとも、支給の有無や計算式など、退職金の詳細については確認しておく必要があります。
 

老後受け取れる年金はどれくらい?

令和4年度ベースでは、40年間就業した場合、夫婦2人の平均的な年金額は厚生年金と2人分の国民年金を合わせて21万9593円となっています。年間での支給額は約263万5000円と想定されます(夫婦の一方が被扶養配偶者と仮定しています)。単身者の年金額は月額15万4777円、年間での支給額は約185万7000円程度となることが想定されます。
 

定年後、退職金と年金を頼りに生活することはできるのか


 
総務省の実施した2021年度の家計調査によると、世帯主が65歳以上の場合、2人以上の世帯における消費支出は1ヶ月当たり約23万8000円でした。年間に換算すると約285万6000円となります。単身者世帯における消費支出は1ヶ月当たり約13万7000円、年間で約164万4000円となります。
 
以上から、夫婦の場合、収入が年金のみであるとして計算すると、年間で22万1000円ほど不足することになります。
 
しかしながら、大学卒で2563万9000円、高校卒で1971万2000円の退職金が支給されるのであれば、これを切り崩しつつ、老後は退職金と年金だけで生活していくことが可能でしょう。
 
単身者の場合、年金額は年間約185万7000円、それに対し生活費は年間約164万4000円ですので、こちらも老後は退職金と年金だけで平穏に生活していくことができるでしょう。
 

老後の生活を退職金と年金に頼り切るのは不安が残る

現状のままであれば、老後は退職金と年金を頼りに生きていくことも可能に思われます。とはいえ、退職金や年金についての制度が変更される恐れや、物価、その他社会情勢の変化などによって状況が変わることもあり得ます。病気やけがで退職が早まるなど、想定どおりの退職金や年金を受け取れない場合もあるでしょう。
 
また、今回の試算はあくまでも統計上のデータに基づく試算であるため、個別の事情によっては、退職金と年金だけではとても生活できない、ということも考えられます。
 
何事においてもリスクは分散が基本です。老後の生活を退職金と年金だけに頼り切ろうとはせず、いまのうちから貯蓄やiDeCo、つみたてNISAなどで資産形成を行い、必要に応じて定年後の就労を視野に入れるなど、老後に向けた計画をしっかりと立てて備えていくことが理想です。
 
いま一度、自身が将来受け取れるであろう退職金と年金を試算の上、どう資産形成をして老後に備えていくべきか、希望するライフプランとともに考えてみましょう。
 

出典

中央労働委員会 令和3年賃金事情等総合調査

日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について

総務省 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年) 二人以上の世帯

総務省 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年) 単身世帯

 
執筆者:柘植輝
行政書士

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