更新日: 2022.10.18 その他老後

【フリーランスや副業している人は注目!】小規模企業共済と経営セーフティ共済、どちらにも入っておくべき?

【フリーランスや副業している人は注目!】小規模企業共済と経営セーフティ共済、どちらにも入っておくべき?
自営業者やフリーランスは、加入できる社会保険制度などが会社員・公務員と比べて限られているほか、退職金制度もないため、老齢年金以外の老後資金をほとんど自分で用意しなければなりません。
 
また、事業を行う上では、一時的な経営の悪化や倒産トラブルに巻き込まれる可能性もあり、それらへの準備も必要です。小規模企業の経営者や個人事業主が、退職金の準備、事業上のリスク対策に活用できる制度として「小規模企業共済」と「経営セーフティ共済」がありますが、今回はそれぞれの概要について紹介します。
伊達寿和

執筆者:伊達寿和(だて ひさかず)

CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員

会社員時代に、充実した人生を生きるには個人がお金に関する知識を持つことが重要と思いFP資格を取得。FPとして独立後はライフプランの作成と実行サポートを中心にサービスを提供。

親身なアドバイスと分かりやすい説明を心掛けて、地域に根ざしたFPとして活動中。日本FP協会2017年「くらしとお金のFP相談室」相談員、2018年「FP広報センター」スタッフ。
https://mitaka-fp.jp

小規模企業共済は事業主のための退職金制度

小規模企業共済は、小規模企業の経営者や個人事業主などのための退職金制度です。国による中小企業政策全般の支援・実施機関である中小機構が運営し、全国で約159万人(2022年3月現在)が加入しています。
 
小規模企業共済は積み立てタイプの退職金制度で、毎月決めた掛け金を積み立て、退職や廃業時に共済金を受け取る仕組みです。掛け金は月1000円~7万円まで500円単位で自由に設定ができ、加入後も増額や減額が可能ですが、自営業者は収入が安定しないケースも多いので無理のない掛け金を設定する必要があるでしょう。
 
共済金には、その請求事由によって「共済金A」(個人事業の廃業や法人の解散など)、「共済金B」(老齢給付など)、「準共済金」(法人成りによる解約など)、「解約手当金」(任意解約など)の4種類があり、共済金Aの金額が最も多く、共済金B、準共済金、解約手当金の順に金額が少なくなります。
 
また、受け取り方として「一括」、「分割」、「一括と分割の併用」を選べます。ただし、240ヶ月(20年)未満で任意解約をして解約手当金を受け取る場合、共済金が掛け金の合計より少なくなるので注意しましょう。
 

小規模企業共済の主な特徴は次の3つです。

●掛け金の全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象になる
●共済金は一括受け取りの場合は退職所得として退職所得控除、分割受け取りの場合は公的年金等に係る雑所得として公的年金等控除の対象となる
●掛け金の範囲内で低金利の貸付制度を利用できる

 
小規模企業共済を利用して所得の一部を積み立て、退職時に一時金や年金として受け取ると、掛け金と共済金の両方で税制メリットを受けられます。
 

加入を検討する場合、加入資格も確認しておきましょう。

加入資格がない例として「アパート経営等の事業を兼業している給与所得者(法人または個人事業主と常時雇用関係にある方)」があり、サラリーマンの副業では小規模企業共済には加入できません。
 

経営セーフティ共済は取引先が倒産した際のリスク対策

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、取引先の事業者が倒産した際に、連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。
 
無担保・無保証人で「回収困難となった売掛金債権等の額」、または「掛金の最高10倍(上限8000万円)」のいずれか少ない方の金額を上限として借り入れられます。
 
掛け金は月5000円~20万円まで5000円単位で選択できるほか、加入後の増額・減額も可能となっており、総額800万円まで積み立てることができます。
 
解約する場合は解約手当金を受け取れます。自己都合の解約であっても、掛け金を12ヶ月以上納めていれば掛金総額の8割以上、40ヶ月以上納めている場合は掛金全額が戻るため、40ヶ月以上の加入であればデメリットは少ないでしょう。
 
確定申告の際、掛け金について法人の場合は損金、個人の場合は必要経費に算入できるので税制のメリットがあります。ただし、解約手当金は法人の場合は益金、個人の場合は事業所得の収入金額になるので注意しましょう。
 
経営セーフティ共済への加入には、継続して1年以上事業を行っていることをはじめ、業種によって資本金や常時使用する従業員数の要件を満たすことが必要です。また、小規模企業共済と異なり、経営セーフティ共済はサラリーマンの副業でも加入できる可能性があります。
 

ニーズに合わせて加入の検討を


 
小規模企業共済と経営セーフティ共済は、小規模企業の経営者や個人事業主が対象となっている制度です。小規模企業共済は退職金や老後の生活資金の積み立てとして、経営セーフティ共済は取引先事業者の倒産リスク対策として加入を検討しましょう。
 
ただし、必ずしも両方に加入する必要はなく、事業を行う上でのニーズなどに合わせて制度を選択してください。
 
また、どちらも税制メリットを受けられますが、一定期間内に解約した場合、受け取れる解約手当金の額が掛け金の合計を下回るケースがあります。税制メリットだけでなく、事業の継続性なども考慮して加入するといいでしょう。
 

出典

中小機構 小規模企業共済 制度の概要

中小機構 小規模企業共済 加入資格

 
執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員

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