更新日: 2022.10.20 その他老後

熟年離婚をして「おひとりさま」になる前に、老後の一人暮らしに備えて今からできることって?

熟年離婚をして「おひとりさま」になる前に、老後の一人暮らしに備えて今からできることって?
熟年離婚という言葉が浸透し、老後に1人で暮らしていく「おひとりさま」の存在も珍しくはなくなりました。そういった現状も踏まえ、本記事では熟年離婚後の生活や老後に対して備えておきたいことについて、お金の面から解説していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

財産分与について考えておく

財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に得た財産や負債を離婚時に清算して分け合う制度です。簡単にいうと、お金や不動産、ローンなどプラスとマイナスのすべての財産を夫婦で分けるというものです。
 
財産をどのように分けるのかは当事者間の協議で決めていいのですが、話し合いが進まない場合は家庭裁判所で調停を行うなど、法的な手続きを経ることになります。
 
具体的な金額などはともかく、離婚時にスムーズに財産分与ができるよう、離婚を考えたタイミングで大まかにでも財産と負債を把握しておくべきでしょう。
 
財産分与について考えておくことで、離婚後に自分の手元に財産がどのくらい残るのか把握でき、今後の生活の見通しを立てやすくなります。
 
しかし、夫婦がそれぞれ結婚前に築いた財産など、一部は財産分与の対象外となるため、財産分与を老後の生活費として当てにし過ぎないほうがいいでしょう。
 
なお、財産分与は離婚から2年以内に行わないと請求の権利が消滅してしまいます。財産分与を希望する場合は離婚後、早急な手続きが必要となります。
 

離婚時の年金分割

離婚時の年金分割とは、婚姻期間中の夫婦の厚生年金記録を分割し、それぞれの年金とするものです。
 
この制度によって、例えば婚姻期間中に専業主婦(夫)であったため厚生年金に加入していなかった方(国民年金第3号被保険者)でも、老齢年金を多く受け取れることがあります。
 
年金分割には、夫婦の合意または裁判手続きで定めた割合で、どちらか一方または双方の請求により厚生年金記録の分割を行う合意分割のほか、婚姻期間中に第3号被保険者であった方の請求により、相手の厚生年金記録を当事者間で2分の1ずつ分割する3号分割があります。
 
年金分割の請求は原則、離婚した日の翌日から2年以内という期限が定められているため、早めに手続きしなければなりません。詳細については、最寄りの年金事務所や街角の年金相談センターへご相談ください。
 

仕事と住居の準備

離婚後は基本的に自分自身の収入で生活していくことになります。婚姻期間中に仕事をしていれば別ですが、専業主婦(夫)であった場合、年齢や状況などによっては今後の生活のために早めに就労の目星をつけておくと安心です。
 
就労して収入を得られる状況にあれば、自分の力で安定した生活を送ることができます。
 
また、離婚によって転居が必要であれば、居住する場所や家賃なども仕事と同時に確認しておくべきでしょう。どこに住むかによって家賃相場や引っ越し代金など、離婚時に必要となる転居費用も変わります。
 
仕事と住居を早めに確保しておくことで、離婚後の生活をスムーズに開始することができます。
 

離婚問題に強い弁護士への相談

離婚については、当事者間で簡単に話が進まないこともあるでしょう。特に財産分与や、年金分割で合意分割を行うための話し合いがうまくいかない場合などがあります。
 
こうしたケースでは離婚問題を専門とする弁護士に早めに相談しておくことで、交渉や請求をスムーズに行えるようになります。それに加え、離婚に当たって自身が不利にならないようなアドバイスを受けられることもあります。
 
また、相手の浮気や暴力が離婚の原因となるなど慰謝料を請求できる場合は、弁護士を立てて交渉などを行う方が確実かつ安全でしょう。
 

熟年離婚に当たっては事前にお金の面の確認も

熟年離婚を考えているのであれば、お金のことを含めた事前の確認や準備が重要です。収入や生活環境がこれまでと大きく変化することが想定されるため、衝動的に離婚をした場合、離婚前にイメージしていた生活と現実のギャップに戸惑う可能性もあります。
 
離婚時のお金に関する事項について財産分与や年金分割といった制度のほか、仕事や住居など離婚後の生活についてもしっかりと確認を行う必要があります。
 

出典

日本年金機構 離婚時の年金分割
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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