更新日: 2022.10.26 定年・退職

定年を迎えたら検討してほしい家族信託

定年を迎えたら検討してほしい家族信託
近年、注目されている制度である「家族信託」を知っていますか。認知症などで判断能力が低下すると、自身の財産を管理することができなくなってしまいますが、その際に有効な方法が家族信託です。
 
定年時点では認知症などまだまだ先のことだと思うかもしれませんが、早めに対策しておくことに越したことはありません。むしろ、元気なうちに対応しておいた方が良いのです。
 
今回は、家族信託について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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家族信託とは


 
「家族信託」とは、自身で財産管理ができなくなった場合に備えて、自身の財産を管理する権利を家族に与える制度です。名称通り、自身の財産を家族へ信じて託すということになります。
 

家族信託の仕組み

家族信託での登場人物は、「委託者」、「受託者」、「受益者」の3者です。委託者とは財産管理を任せる人、受託者は財産管理を行う人、受益者は家族信託の対象となった財産から発生する利益を受け取る人のことをいいます。
 
一般的に行われる家族信託では、父が委託者・受益者、長男が受託者など、委託者と受益者は同一である場合が多いです。
 

なぜ定年すると家族信託なのか

定年を機に家族信託を検討すると良い理由は、所有財産と年齢にあります。
 

定年時は所有財産が多額になる場合がある

働き方や職種、生活状態など個人の状況により異なりはしますが、会社員であれば、定年する頃には退職金を受け取っていたり、住宅ローンが終わった自宅を所有していたりなど、所有財産が比較的潤う人も多い時期になります。
 
ただ、定年時にはまだ元気であっても、将来的に認知症の可能性がないとは限りません。認知症でなくとも病気や事故によって判断能力を失うこともあるでしょう。
 
万が一、それが現実になってしまったらどうなるでしょうか。多額の財産を所有したまま判断能力を失ってしまったら、口座凍結されて動かせない預金、売りたくても売れない自宅など、家族が困る事態になるおそれがあります。
 

定年時は知識の時間がある

現代の定年世代は、まだ現役バリバリという人がほとんどです。その上、定年後は比較的時間があるという人も多いでしょう。定年時は、知識と時間をフル活用して家族信託を構成できるタイミングであるといえます。
 

家族信託の利用例と効果

定年退職した父の預貯金2000万円、自宅3000万円について、父を委託者・受益者、長男を受託者とする家族信託を行う場合で考えてみましょう。
 
家族信託を始めて5年後、父が認知症となり判断能力を失ったため、介護老人ホームへ入所することになった場合には、長男は父の預貯金から入所のための費用を捻出することができます。また、不要となった自宅は、長男が売却したり、賃貸にしたりなどを判断し、実行することが可能です。
 

家族信託を利用する際の注意点

最後に、家族信託を検討する際に注意してほしいポイントを解説します。
 

家族の理解を得てから始める

家族信託の受託者を選任する際には、必ず家族全員の理解を得ましょう。家族の誰かが内容を理解していないまま強行でスタートしてしまうと、委託者の財産を意のままに管理する受託者に不満の声が上がり、トラブルに発展する可能性があります。
 

専門家のサポート

家族信託には、民法や税法などさまざまな知識が絡んできます。専門知識のない人が独断で行ってしまうと、トラブルに発展する可能性があるため注意しましょう。弁護士や税理士などの専門家のサポートを受けることをおすすめします。
 

まとめ

定年時に多額の財産を所有している場合には、判断能力を失うことでその財産が動かせなくなる可能性に備えて、家族信託の検討をおすすめします。
 
検討の際には、まず弁護士や税理士などの専門家に相談できると安心です。
 

出典

一般社団法人 家族信託普及協会 制度の概要
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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