更新日: 2022.10.27 その他老後

お金の管理を信頼できる人にしてもらおう。「成年後見制度」について解説

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

お金の管理を信頼できる人にしてもらおう。「成年後見制度」について解説
認知症、知的障害、精神障害などになると、お金の管理が難しくなります。自分自身はもちろん、自分の家族がいつそうなるかは誰にも分かりません。
 
病気や障害などでお金の管理が困難な人をサポートする制度として、「成年後見制度」というものがあるのをご存じでしょうか? この記事では「成年後見制度」の概要とメリットについて解説していきます。
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成年後見制度と、その目的とは

認知症、知的障害、精神障害などで判断能力の不十分な方にとって、自分で不動産や預貯金などの財産管理、介護などサービス施設の利用契約締結、遺産分割協議への参加などはかなり困難なことだと思われます。
 
よく判断ができないまま契約を結んでしまい、悪徳商法の被害者になる恐れもあるでしょう。
 
このような判断能力の不十分な方を保護し、支援する目的で成年後見制度が整えられました。
 
具体的には、以下のようなときに成年後見人などが親身にサポートしてくれます。
 

●医療や福祉サービスの手続きや契約が難しくて自分では分からないとき
●よく分からないまま不要なものを買わされそうなとき
●もの忘れが多くて、いくらお金を使ったかも分からないため、生活費のやりくりができないとき
●親の遺産をどうしたらよいか分からないとき
など。

 
最高裁判所事務総局家庭局によると、成年後見制度の申立件数は増加の傾向にあり、令和3年の成年後見関係事件(後見開始、保佐開始、補助開始及び任意後見監督人 選任事件)の申立件数は合計で3万9809件で、前年の3万7235件より2574件増加していることが分かります。
 
高齢化が進む中、今後も成年後見制度の利用が増えていくことが予測されます。
 
【図表1】
 

 
出典:最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況 令和3年1月~12月」
 

成年後見制度は大きく分けて2つ

成年後見制度は、「法定後見制度」と「任意後見制度」の2つに分類されています。
 

法定後見制度

法定後見制度は、本人の判断能力が認知症などで不十分になったときに、本人や親族が家庭裁判所に申し立てをし、家庭裁判所が後見人を選任する制度です。本人の判断能力の程度で、後見・保佐・補助の3つに分けられます。
 
申し立てをするときに後見人の候補は出せますが、実際に後見人を選任するのは家庭裁判所となります。本人が多額の財産を持っている場合、親族による使い込みの懸念があるため、成年後見人等の選任に当たっては、家庭裁判所が、本人にとって最も適任な方を選任します。
 
また、申し立ての際に、本人に法律上、生活面での課題がある場合や、本人の財産管理が困難であるなどの事情が存在している場合には、弁護士、司法書士、行政書士、社会福祉士などの、成年後見人等の職務に関する専門職が、成年後見人等に選任されることがあります。
 

任意後見制度

任意後見制度は、判断能力があるうちに、あらかじめ自分で選んだ人(任意後見人)に、代わりにしてもらいたいことを契約(任意後見契約)で決めておく制度です。
 
任意後見契約は、公正証書によって結ぶものとされています。本人の判断能力が低下・喪失した段階で家庭裁判所に申し立てをし、家庭裁判所で任意後見監督人が選任されてから任意後見契約の効力が発生します。
 
任意後見監督人の監督下で初めて、契約で定められた特定の法律行為を本人に代わって行使できる仕組みが任意後見制度です。
 

成年後見制度のメリット

認知症などで判断能力が低下したとしても、本人の財産などを成年後見人等が代わって管理・保護してくれるため、本人には以下のようなメリットがあります。
 

●不利・不要な契約をしてしまっても取り消すことができる
●財産を管理してもらえるため、身近な人等による財産の使い込みや経済的な破綻を予防できる
●生活に必要な契約を代理して行ってもらえる
●自分で信頼できる後見人を選べる(任意後見制度のみ)

 

まとめ

「人生100年時代」といわれるように、長寿社会の現代において、高齢者の財産管理は大きな課題になりつつあります。
 
また、高齢以外でも、けがや病気などが原因で財産管理が困難になる可能性は誰にでもあります。
 
そういうときは成年後見制度などで、自分の財産を安全に管理できるようにするといいでしょう。
 
また、自分や家族の財産管理に不安がある場合は、成年後見制度の検討はもちろん、公的機関や金融機関、法律家などに相談してみるのもおすすめです。
 

出典

厚生労働省 成年後見はやわかり

法務省 成年後見制度・成年後見登記制度

最高裁判所事務総局家庭局 成年後見関係事件の概況 令和3年1月~12月

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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