定年後は年金だけで生活できる?老後の生活費はいくら必要?

配信日: 2022.10.30 更新日: 2022.10.31

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定年後は年金だけで生活できる?老後の生活費はいくら必要?
定年後は年金だけで生活できない?と感じている人も少なくないでしょう。実際のところ年金のみで生活するのは、経済的に苦しいと言わざるを得ません。では、老後生活にはお金がいくら必要で、収入との差はどれくらいあるのでしょうか。
 
この記事では、老後に必要な生活費について説明します。
FINANCIAL FIELD編集部

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年金の受給額はどれくらい?

まず老後の主な収入源である年金の受給額について見てみましょう。厚生労働省のデータによると、平均年金月額は以下の通りです。
 
図表1

年度 国民年金 厚生年金保険(国民年金を含む)
平成28年度 5万5373円 14万7927円
平成29年度 5万5518円 14万7051円
平成30年度 5万5708円 14万5865円
令和1年度 5万5946円 14万6162円
令和2年度 5万6252円 14万6145円

 
国民年金は全国民が加入対象の制度であるため、全体の平均値といえます。一方で厚生年金保険は会社員や公務員のみ加入できるので、給与所得者の平均値として考えてください。
 

老後の生活費はいくら必要?

次に老後の生活費について説明します。
 
総務省統計局によると、65歳以上無職世帯の月平均消費支出額は表のとおりです。月平均の消費支出額から、年間の消費支出額を算出しています。
 
図表2

月平均の消費支出額 年間の消費支出額
65歳以上の夫婦のみの無職世帯 22万4436円 269万3232円
65歳以上の単身無職世帯 13万2476円 158万9712円

総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年を基に作成
 
想像していたより少額に感じた人もいるかもしれません。しかし大きな病気を患ったり、住宅ローンの返済が残ったりしている場合は、上記の金額より多くの支出が発生する可能性もあるでしょう。あくまで平均値として参考にしてください。
 

必要な老後資金は?

それでは老後の生活費が年金だけで賄えるのか、検証してみましょう。
 
夫婦のみ世帯のケースで、厚生年金保険がある場合とない場合に分けてみていきます。試算の数値は、令和2年の年金受給額のデータと平均消費支出額のデータを用いています。
 
図表3 厚生年金保険がある場合

一月あたりの金額 1年(65歳) 20年(85歳) 25年(90歳) 30年(95歳)
公的年金 14万6145円 175万3740円 3507万4800円 4384万3500円 5261万2200円
消費支出額 22万4436円 269万3232円 5386万4640円 6733万800円 8079万6960円
差額 -7万8291円 -93万9492円 -1878万9840円 -2348万7300円 -2818万4760円

※著者作成
 
年間で約90万円の差額が生じており、年齢を重ねるごとに不足額が増加しています。
 
次に厚生年金保険に加入していない人のケースを見てみましょう。
 
図表4 厚生年金保険がない場合

一月あたりの金額 1年(65歳) 20年(85歳) 25年(90歳) 30年(95歳)
公的年金 5万6252円 67万5024円 1350万480円 1687万5600円 2025万720円
消費支出額 22万4436円 269万3232円 5386万4640円 6733万800円 8079万6960円
差額 -16万8184円 -201万8208円 -4036万4160円 -5045万5200円 -6054万6240円

※著者作成
 
厚生年金保険がない分、年金と支出との差額が大きくなっています。自営業やフリーランスの人は、私的年金を活用して老後へ備えておくべきでしょう。
 
シミュレーション上は退職金や貯金は考慮していないため、老後資金を準備できている人はここまで大きな不足額は生じない可能性もあります。ただ、厚生労働省によると大学卒・大学院卒の退職金平均値は1983万円となっており、老後のお金に余裕がある人は少ないのではないでしょうか。
 
iDeCoなどの私的年金やつみたてNISAを活用した資産形成を行い、早めに老後資金の準備を進める必要があるでしょう。
 

まとめ


 
定年後の生活を年金だけでやり繰りすることは、経済的に厳しいといえます。厚生年金保険に入っていても、退職金や貯蓄を考慮しなければ、定年後20年~30年の間で2000万円から3000万円の不足額が生じます。
 
毎月決まった金額を貯金や積み立て投資に回して、無理なく資産形成をしておきましょう。住宅ローンなどの借金は、できるだけ働いている間に完済しておくことも大切です。早めに老後資金の計画をたてて、安心してリタイア後の生活を送れるように準備しておきましょう。
 

出典

厚生労働省 令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年
厚生労働省 平成30年 就労条件総合調査 退職給付(一時金・年金)の支給実態
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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