更新日: 2022.11.15 定年・退職
退職後の健康保険はどれがよいの?
執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)
田久保誠行政書士事務所代表
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員
行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。
目次
健康保険の任意継続とはどのような制度? どのような特徴があるの?
会社を退職したり、労働時間の短縮などにより、健康保険の被保険者の資格を喪失したときに、一定条件のもと、本人の希望により個人でその健康保険に継続して加入できます。これを任意継続といいます。
任意継続を行った場合と国民健康保険に加入した場合の保険料の違いは?
任意継続の場合は、退職時の標準報酬月額に対して居住している都道府県の保険料率(40歳以上65歳未満の場合は介護保険料率を含む)を乗じた額が保険料となります。保険料には上限があり、退職時の標準報酬月額が30万円を超えていた場合は、30万円の標準報酬月額により算出した保険料です。
また、在職中は事業所とご自身が保険料を折半していましたが、資格喪失後は全額負担することとなりますので、支払額は2倍になります。
保険料は、原則2年間変わりませんが、40歳を超えた場合や、都道府県別の健康保険料率・介護保険料率が変更された場合、保険料率の異なる都道府県へ転出した場合には変更となります。
国民健康保険の保険料は、前年所得や世帯人員数に応じて決定されます。市区町村によって保険料の算定方法が異なりますので、お住まいの市区町村の国民健康保険担当窓口にお問い合わせください。
健康保険の任意継続をするための条件は?
任意継続の条件は、下記の2つを満たす必要があります。
1.資格喪失日までに健康保険の被保険者期間が継続して2ヶ月以上あること
2.資格喪失日(退職日の翌日等)から20日(20日目が土日・祝日の場合は翌営業日)以内に「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出すること
任意継続の被扶養者になるための要件は?
任意継続の被扶養者の要件には、1.被扶養者の範囲、2.収入要件があります。
1.被扶養者の範囲
(筆者作成)
2.収入要件
●家族の年収が130万円未満(60歳以上または障害厚生年金を受けることができる程度の障害者の場合は180万円未満)、かつ被保険者の年収の2分の1未満であること
●別居の場合は、家族の年収が130万円未満(60歳以上または障害厚生年金を受けることができる程度の障害者の場合は180万円未満)、かつご家族の年収が被保険者からの仕送り額より少ないこと
任意継続の場合の保険給付には何がある? また、「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出して保険証が届くまでの間の給付はどうなる?
保険給付は出産手当金と傷病手当金を除いて、原則として、在職している時に受けることができる保険給付と同様の給付を受けることが可能です(出産手当金と傷病手当金は、任意継続の加入とは別に、在職している時からの継続給付の要件を満たすケースに限って対象となる)。
また、任意継続被保険者の資格取得日は、退職日の翌日ですので、保険証が届くまでの期間も健康保険給付の対象となります。
保険証が送付されるまでの間に、医療機関で診療を受けて医療費を負担した場合には、「療養費支給申請書」を提出します。
任意継続か国民健康保険への加入、どちらが良いかシミュレーションしてみよう
任意継続か、国民健康保険への加入か、ご家族の被扶養者となるか……その方の前年の収入やご家族の状況等を考慮したうえで決めることをお勧めします。
出典
全国健康保険協会 ホームページ
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表