更新日: 2022.11.22 定年・退職
【日本はおおむね60歳】海外の定年年齢は? 何歳まで働いている?
では、海外ではどうなのでしょうか?
この記事では、近年の日本の定年事情の変遷をみた後で、海外の定年年齢とその周辺事情について紹介していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
日本の定年事情
厚生労働省の2022年の「就労条件総合調査」では、日本企業の94.4%で定年制が設けられていることが分かっています。
2017年の調査では、定年年齢について「65歳以上」が17.8%となっていましたが、2022年では24.5%となっています。
近年の傾向としては、定年年齢のさらなる引き上げ、または定年制の廃止が公的に推奨されてきています。
このことは、2021年に改正・施行された「高年齢者雇用安定法」に明確に記載され、働く意欲のある高年齢者の能力を十分に発揮できるように「70歳までの定年の引き上げ」または「定年制の廃止」などを、事業主に対して努力義務として提示しています。
もちろん、定年年齢の引き上げを義務付けるものではないことも併記されています。しかしながら、年齢によって一律に就業機会に制限を設ける「定年制」は、もはや急速に進む高齢化社会の現実にそぐわなくなったことが、ここに示されているのです。
海外の定年事情
厚生労働省が編集する「世界の厚生労働2007」では、欧米諸国(アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、OECD諸国平均)での定年の傾向が簡潔にまとめられていて参考になります。ここで紹介されている、2つの指標を比べてみましょう。
1つ目は「公式引退年齢」とよばれるもので、公的な老齢年金を満額で受給可能な最低の年齢のことです。簡単にいえば、定年退職する状態と考えてよいでしょう。
2つ目は「実引退年齢」という指標で、40歳以上の者で継続就労の意思がなく退職した年齢の平均値です。要するに、定年を迎える前に早期にリタイア生活に入った状態になります。
なお定年制は、イギリス、ドイツ、フランスでは認められていますが、アメリカでは原則、認められていません。
アメリカ……男女ともに65.3歳
イギリス……男性65歳、女性60歳
ドイツ……男女ともに65歳
フランス……男女ともに60歳
OECD諸国平均……男性64歳、女性62.9歳
日本……男女ともに60歳
アメリカ……男性64.2歳、女性63.1歳
イギリス……男性63.0歳、女性61.6歳
ドイツ……男性61.3歳、女性60.6歳
フランス……男性59.3歳、女性59.5歳
OECD諸国平均……男性63.2歳、女性61.8歳
日本……男性69.3歳、女性66.1歳
この2つの指標を比べると、ここに挙げられた西欧諸国では、定年を迎える前に早期引退する傾向が強いのに比べ、日本では、西欧諸国とは逆転していることが分かります。
労使のバランスの上に成り立つ海外の定年制度
「世界の厚生労働2007」を見ると、働く意欲があるにも関わらず、定年という制度でその機会を奪われることを年齢差別というとらえ方もあるようです。
企業側にとっては、給与が高くなる高齢人材への雇用調整によるコスト管理が欠かせません。定年制に関しては、労使間の意識と利益のバランスを十分に考える必要がありそうです。
出典
厚生労働省 世界の厚生労働2007 諸外国における高齢者雇用対策
厚生労働省 高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~
厚生労働省 令和4年就労条件総合調査 結果の概況より 定年制等
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部