更新日: 2022.11.24 その他老後

定年後に必要なお金「死後にかかってくるお金」の概算は?

定年後に必要なお金「死後にかかってくるお金」の概算は?
多くのメディアで取り上げられた「老後2000万円問題」をきっかけに、定年後に必要なお金の計算を定年前に行い、備えることが意識されるようになってきました。
 
しかし、定年後の準備資金として忘れがちなのが、「死後」にかかってくるお金です。具体的な内容とどのくらいの資金の準備が必要なのか、しっかりと把握しておきましょう。
守屋鮎美

執筆者:守屋鮎美(もりや あゆみ)

2級ファイナンシャルプランナー

定年後、多ければ6人分も準備しておかなくてはいけない死後資金

平均寿命が延びて、定年後の60歳前後で親の死に直面するのが一般的になってきた昨今。夫婦で両方の両親が存命であれば、親の死後の費用として4人分の死後にかかる資金を準備する必要があります。さらに、親だけでなく、自身の死後についても考えなくてはなりません。
 
お金問題で子どもたちに迷惑がかかるのは避けたいところ。できれば、自分の死後にかかってくるお金は残して旅立ちたいものです。となると、自分たちの死後の費用として、夫婦2人分の死後資金も必要になります。両親と自分たち、定年後に多ければ6人分もの死後資金を準備しておく必要があることになります。
 

死後に必要なお金

具体的に、死後に必要になってくるお金の用途と平均金額を確認していきましょう。金額は鎌倉新書 「第13回お墓の消費者全国実態調査(2022年)」の結果を参考にしました。

●葬儀費用一式・・・平均110万7000円
●お布施・・・平均23万7000円
●墓石代・・・平均約165万円
●死後法要(初七日、四十九日、一回忌など)・・・1回当たり10~30万円

※葬儀・法要費用は招待人数と地域により大きく異なります。
※墓石代は2018年~2022年の平均値を記載しています。

葬儀費用とお布施・墓石代のみの、死後すぐに必要になる費用だけでも373万円、死後法要の三回忌までを準備費用として考えると、平均値で計算しても473万円が必要な計算になります。
 
夫婦の両親計4人分・自分たち夫婦の2人分の計6人分の費用については、墓石代を仮に夫婦1つとして計算しても、なんと2343万円にものぼります。6人分の死後費用を準備しようとすると、老後2000万円問題にさらに2000万円強もの費用が必要になってきてしまいます。
 
しかし、ご紹介した費用はあくまで平均であり、特に墓石代が必要になるかどうかなども踏まえると、これよりも多くなることも少なくなることもあります。
 

時代に合わせて費用を安くする手段も

そもそも、葬儀費用の184万3000円は2020年までの相場で、2021年から急激に費用の相場は縮小傾向にあります。理由はコロナ禍における葬儀の縮小です。元々は親族と近所の人たちも呼ぶ一般葬が当たり前でしたが、コロナ禍において、家族葬が急激に増えて、2021年の相場は110万7000円まで減少しています。
 
昨今では「葬儀自体を執り行わないでほしい」と生前に希望される方も多く、葬儀自体が減少・縮小傾向にあり、規模が小さく費用を抑えられる葬儀サービスやお墓も新しく登場しています。
 
さらには、先祖代々のお墓がある場合も、遠方にあって結局なかなかお墓参りにも行けないといった事情などから、「お墓自体をなくす」という選択をする方も少なくなく、「墓じまい」を決断されるケースもあります。
 
このように、それぞれの項目で安く済む選択をしていくと、死後に必要なお金はかなり費用を抑えられそうです。
 

親や子どもとしっかり相談を

ただ、そうした費用を抑えた形での葬儀やお墓の形態は、もちろん故人が望んでいる場合に実現することです。死後費用の準備のめども含めて、親や子ども・親族と生前からしっかり話し合っておくことが大切です。相場通りの費用がかかったとしても、例えば、親の死後費用を兄弟姉妹で分割するなどすれば、1人で2000万円強もの負担がかかることはないかもしれません。
 
親も自分自身も、不安のない最期を迎えられるよう、今からできる備えはしておきましょう。
 

出典

鎌倉新書 第5回お葬式に関する全国調査(2022年)
鎌倉新書 第13回お墓の消費者全国実態調査(2022年)
株式会社法研 改訂増補 親の葬儀とその後事典 黒澤計男 溝口博敬著
 
執筆者:守屋鮎美
2級ファイナンシャルプランナー

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