更新日: 2022.11.24 定年・退職
保険の見直しで家計の節約! 定年後の生命保険を見直すポイントを解説
定年後の生活は余計な出費を抑え、ゆとりある老後生活のために節約を心がけたいものです。中でも固定費にあたる生命保険は、毎月の費用を少し抑えるだけでも大きな節約につながります。
本記事では、老後の生命保険を見直すうえで大切なポイントを解説します。
執筆者:勝川みゆき(かつかわ みゆき)
ファイナンシャルプランナー2級・AFP
老後のリスクに備え医療保険を見直す
高齢になると、病気になる可能性や介護が必要になる可能性が高まります。しかし、こうしたリスクに備え、高齢になると利用できる公的保証もあります。
自分が受けられる公的保障の内容をしっかりと把握し、足りない分を民間の医療保険や介護保険で補うようにしましょう。
病気のリスク
厚生労働省の患者調査(2020年)によると、調査日における全国の医療施設に入院している推計患者数は、約75%が65歳以上という結果になっています。外来における推計患者数でも、全体の約50%以上が65歳以上です。
つまり、65歳以上になると入院や通院をする人が多くなることが分かります。
公的保証
高齢者が利用できる公的保障は、主に2つあります。
・高齢者医療制度
70歳以上74歳未満の方は医療費の自己負担割合が2割(現役並み所得者は3割)、75歳以上の後期高齢者になると1割負担(現役並み所得者は3割、現役並み所得者以外の一定所得以上の者は2割)となります。
・介護保険制度
要介護認定に応じて、さまざまな介護サービスを1割の自己負担で受けられる制度です(所得に応じて、2割または3割負担の場合もあります)。
ただし、介護保険施設利用の場合でも、居住費、食費、日常生活費は制度の対象外となります。また、居宅サービスは利用できるサービスの量(支給限度額)が要介護度に応じて決められているため、それを超えた場合は超過分が全額自己負担です。
しかし、所得の低い方や自己負担額が高額になった場合には負担の軽減措置があり、利用者の負担が重くなりすぎないような仕組みになっています。
死亡保険の保障を見直す
定年後の死亡保障は、高額でなくてもよい人が多いのではないでしょうか。
定年時点で子どもが独立している、配偶者に十分な収入があるといったケースや、自身が亡くなった後も持ち家で遺族の住居費がかからない場合などは、保険金額は必要最低限の額とすることで保険料が節約できます。
必要な死亡保険金額は生活費や住居費、葬式関連費用などの遺族の支出額から、遺族年金や貯蓄、そのほかの収入などの遺族の収入額を引くと、おおよその金額が分かります。
自分が亡くなった場合、遺族にどの程度の収入が見込まれるのか、どれくらい生活費が必要なのかを確認し、必要な死亡保険金額を計算してみましょう。
高齢者の加入実態
生命保険文化センターの生命保険に関する全国実態調査(2021年度)によると、世帯主年齢別の生命保険(個人年金保険を含む)の世帯加入率は、65歳〜69歳で93.8%、70歳〜84歳でも80%を超えています。
また、生命保険の世帯普通死亡保険金額を世帯主年齢別にみると、65~74歳で約1400万円以上、75~79歳で1058万円、80~84歳では876万円、85~89歳で1104万円となっています。
さらに、生命保険(個人年金保険を含む)の世帯年間払込保険料をみると、65~69歳で43.6万円、70~79歳でも約30万円以上、80~84歳では28.6万円、85~89歳で35.8万円という結果です。
このことから、高齢者世帯の多くの家庭で何らかの保険に加入、支払いしていることが分かります。
まとめ
人生100年時代、何歳まで生きられるかは誰にも分かりません。しかし、ゆとりある老後を送るためには、定年後の生活費や医療費などをしっかり確保する必要があります。
家族構成や家族の年齢、収入状況、生活スタイルなどにより、必要な保険や死亡保障額は各家庭で異なります。そのため、年齢や生活の変化に応じ、保険内容を見直すことがとても大切です。
定年を迎えるタイミングで一度保険を見直し、本当に必要な保険なのか、節約できる部分はないかを検討してみてください。
出典
厚生労働省 令和2年(2020)患者調査の概況
厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 介護保険の解説
厚生労働省 高齢者医療制度
生命保険文化センター 生命保険に関する全国実態調査 2021年度
執筆者:勝川みゆき
ファイナンシャルプランナー2級・AFP