更新日: 2022.11.25 定年・退職
早期退職に応募しようと思いますが、注意点や準備したほうがよいポイントは何ですか?
早期退職には割増退職金がもらえるなどのメリットがある一方、収入がなくなるなどのデメリットもあり、早期退職についてよく把握してから退職をしてしまった場合、退職後の生活が行き詰まる可能性があります。
そこで本記事では、早期退職の注意点や準備したほうがよいポイントについて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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早期退職とは
早期退職とは、定年を迎える前に退職をすることです。業績不振や組織再編などを理由に、企業が従業員に早期退職を募ります。定年退職と違い、会社都合による退職制度のため、退職金が通常よりも割り増しとなる傾向にあります。
また、再就職支援や特別休暇などを受けられる場合も多いです。早期退職には「希望退職制度」「選択定年制度」があり、それぞれの特徴は図表1のとおりです。
図表1
希望退職制度 | 企業が一定期間限定で希望退職者を募集する。従業員が自らの意思で退職を決めるもので、強制力はない。 「会社都合の退職」となり、金銭面などよい条件で退職できる |
選択定年制度 | 従業員が定年のタイミングを決めて退職できる制度。 定年のタイミングは企業によって異なるが、50~65歳の間が多い。一般的に退職金が割り増しされるが、 「自己都合の退職」となる |
筆者作成
早期退職の注意点
割増退職金や再就職支援など早期退職の魅力がある一方で、収入がなくなるなどのリスクも生じます。リスクを把握したうえで、早期退職をすべきかの判断や、計画的な早期退職の準備をしていきましょう。ここでは、早期退職の注意点について紹介します。
給与収入がなくなる
まず、早期退職をするとそれまであった給与収入がなくなります。
割増退職金や年金を60歳から繰上げ受給するなどで、一定の収入減はカバーできますが、給与という収入がなくなることに不安を感じる方も多いでしょう。早期退職をする場合は、それまでの給与収入がなくなることを考慮して、資金計画を立てておく必要があります。
次の仕事がすぐには決まらない
早期退職後、次の仕事がすぐには決まらない場合があるので注意してください。一般的に年齢が高くなるほど、再就職の難易度は上がります。
企業によって求める人材や必要なスキルが異なるため、前職で管理職をしていて高い評価を得ていたとしても楽観はできません。
提示される条件が、収入が大幅に下がるなど希望条件には大きく満たない場合もあります。
年金額が減る
老後に受け取る年金額は、支給開始までの平均給与と加入月数によって決まります。早期退職によって、給与を受け取れない期間の発生や再就職後の給与の減少があると、早期退職しなかった場合と比べて年金額が下がる可能性があるので注意しましょう。
早期退職で準備しておいたほうがよいポイント
早期退職するには事前準備が大切です。何の準備もせず、無計画で早期退職をするのは退職後の生活に行き詰まる恐れがあります。また、本人だけでなく家族にもリスクがあるので注意してください。
ここでは、早期退職をする際に準備しておいたほうがよいポイントについて見ていきましょう。
十分な貯蓄があるのかを確認しておく
上記のとおり、早期退職をすると割増退職金などを受け取れますが、それまで得ていた給与収入がなくなります。また、しばらくの間、再就職が決まらない場合があります。再就職が決まったとしても、前職と同水準の収入を得られるとはかぎりません。
公益財団法人生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、2022年4~6月に18~79歳の男女4844人を対象とした調査結果では、夫婦2人の老後の最低日常生活費は月額23万2000円、ゆとりある老後生活費は月額37万9000円と発表しています。
収入が途絶えたり収入が減ったりしても問題なく生活できるくらいの貯蓄があるか、確認をしておきましょう。
退職後のキャリアプランや生活プランを明確にしておく
早期退職をする前に、退職後のキャリアプランや生活プランを明確にしておきましょう。再就職を目指す方は、退職前から転職活動をして早めに決まれば安心です。
十分な貯蓄があって完全にリタイアする方は、退職後のキャリアプランや生活プランが決まっていないと「何をしたらよいのだろう」「何もすることがない」など、毎日の過ごし方に困ってしまいます。
目標を見失うことが原因で、精神的に病んでしまうこともあるので、趣味など何か目標をもつとよいでしょう。
早期退職は事前準備をして計画的に進めよう
早期退職を検討している場合は、十分な貯蓄があるか、定期的な収入が途絶えても大丈夫か、退職後のキャリアプランなどを事前に確認しておきましょう。
割増退職金は受け取れますが、再就職がうまくいかない可能性もあるためです。早期退職を決断する前に家族と十分に話し合い、退職後の生活の不安を少しでも減らしておくことが大切です。
出典
日本年金機構 年金の繰上げ受給
公益財団法人生命保険文化センター 2022(令和4)年度 生活保障に関する調査(速報版)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部