更新日: 2022.11.25 セカンドライフ

実際「貯蓄2000万円」あれば老後は働かなくても大丈夫? 年金の平均受給額をもとに計算

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

実際「貯蓄2000万円」あれば老後は働かなくても大丈夫? 年金の平均受給額をもとに計算
老後の備えとして、どれくらい貯蓄があればよいのか迷っている人は多いでしょう。老後の生活水準や65歳から受給する年金額、余命はどのくらいなのかを考慮して計算すれば、おおよその必要貯蓄額を知ることができます。
 
もし2000万円の貯蓄があった場合、働かずに年金と貯蓄だけで老後の生活を送ることができるのでしょうか。夫婦2人の年金の平均受給額と、平均余命から計算してみましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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年金だけで老後の生活は成り立つ?

厚生年金に加入していた夫と、厚生年金には加入していなかった専業主婦の妻の場合で考えてみましょう。令和2年度において、国民年金、厚生年金を合わせた平均受給月額は14万6145円となっています。また、国民年金の平均受給月額は5万2896円です。それらを夫婦2人分の年金の平均受給月額とすると、「19万9041円」になります。
 
令和4年度の「生活保障に関する調査」によると、夫婦2人で最低限の日常生活を送るために必要と考えられている毎月の生活費の平均は、「23万2000円」で、年金の平均受給月額より「3万3000円」多くなっています。
 
一方、ゆとりのある生活に必要と考えられている毎月の生活費の平均は「37万9000円」で、年金の平均受給月額よりも「18万円」も多くなっています。年金だけではゆとりのある生活はもとより、最低限の日常生活を送るのも難しいということになります。
 

貯蓄2000万円あれば、老後は働かずに暮らせる?

令和3年の「簡易生命表」によれば、65歳の人の平均余命は男性が19.85年、女性では24.73年となっています。これは、65歳の年金受給開始から男性はおよそ20年、女性はおよそ25年、生きていくということを表しています。
 
サラリーマンだった夫と、厚生年金加入期間のない専業主婦の妻が受け取る年金の平均月額と、最低限の日常生活に必要な生活費の差は3万3000円ですから、もし貯蓄が2000万円あれば、毎月の生活費の不足分を、貯蓄を取り崩して賄っても、50年は働かずに暮らせることになります。
 
しかし、老後は旅行をしたり趣味を持ったりして、充実した時間を過ごしたいと考えている人も多いでしょう。そのようなゆとりある生活のために、年金で足りない18万円を貯蓄で賄った場合、9年4ヶ月で貯蓄が底をつきます。
 
平均余命を考えると貯蓄が尽きた後、男性は約11年、女性は約14年、最低限の生活もままならない人生を生きることになります。ゆとりのある老後を暮らすには、2000万円の貯蓄だけでは心もとないといえるでしょう。
 

余力があるうちに年金や貯蓄以外の収入を確保しよう

老後のゆとりある生活を維持するためには、年金や貯蓄以外にも老後生活資金を準備する必要があります。もし、まだ現役で働いているのであれば、今のうちから個人型確定拠出年金の「iDeCo」にお金を拠出、運用することを検討してみるのもいいかもしれません。
 
iDeCoには、運用実績によって受給額が拠出額を下回るリスクがありますが、拠出した分は全額「小規模企業共済等掛金控除」の対象となり、所得税や住民税の節税になるというメリットもあります。すでに年金を受給しているという人は、体が動くうちは定年後もできるだけ働いて、貯蓄の取り崩しを遅らせることを考えましょう。
 

ゆとりある老後のためには貯蓄2000万円では足りない

夫婦ともに平均余命を生きた場合、会社員の夫と専業主婦の妻の年金と貯蓄2000万円だけだと、老後のゆとりある生活を維持するのは困難です。この先も平均寿命が延びていくことを考えると、現役のうちから「iDeCo」などを活用して老後に備えることが重要です。
 
すでに年金生活をしている人も、健康なうちは働き続け、貯蓄の取り崩しを遅らせたり、減らしたりすることで、ゆとりある老後生活を実現することができるでしょう。
 

出典

公益財団法人生命保険文化センター 生活保障に関する調査
厚生労働省 令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
厚生労働省 令和3年度簡易生命表の概況
国民年金基金連合会 iDeCo 公式サイト iDeCoのイイコト
国民年金基金連合会 iDeCo 公式サイト ご注意いただきたいこと
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 

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