更新日: 2022.11.30 定年・退職

えっ、退職金の「退職所得控除額」は勤続年数20年以下・超で、受け取れる金額が変わるんですか!?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 高橋庸夫

えっ、退職金の「退職所得控除額」は勤続年数20年以下・超で、受け取れる金額が変わるんですか!?
老後の資金計画を立てる際、退職金をあてにしているという人も多いのではないでしょうか。退職金も所得なので、受け取る際には所得税がかかります。
 
ただし、その際には一定の控除があります。この控除額は勤続年数が20年を超えるか超えないかで変わってくるので注意が必要です。
 
そこで今回は、退職所得や控除額の計算方法について詳しく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

退職所得とは

退職金制度は大きく分けて4種類あります。最も一般的なのは退職一時金制度です。この場合、退職すると一括で退職金が支給されます。そのほかにも、年金として一定期間退職金を給付する確定給付企業年金制度や、企業が積み立てた掛け金を年金資金として運用する企業型確定拠出年金制度、退職した会社ではなく共済機構から退職金が支払われる中小企業退職金共済があります。
 
退職所得とは、会社を退職する際に勤務先から受ける退職手当などの所得のことです。退職所得は会社から支払われる退職金だけでなく、社会保険制度などによって退職に起因して支給される一時金も含まれます。
 
そのため、先述した退職金制度では退職一時金制度の場合と中小企業退職金共済などが退職所得となります。そのほか、加入している保険会社や信託会社などから受け取る退職一時金も退職所得とみなされるので注意が必要です。
 

退職所得や退職所得控除額、所得税額の計算方法

退職金には所得税がかかりますが、退職金として受け取った金額がそのまま退職所得になるわけではありません。退職所得の計算式は「(退職金額-退職所得控除)÷2」です。
 
退職所得控除は勤続年数が20年以下の場合と20年超の場合で異なります。勤続年数が20年以下の場合、計算式は「40万円×勤続年数」です。ただし、その際の金額が80万円に満たない場合、控除額は80万円になります。例えば、勤続年数がちょうど20年だった場合、控除額は「40万円×20年」で800万円となります。
 
一方、勤続年数が20年超の場合の計算式は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」です。仮に勤続年数が21年であれば「800万円+70万円×(21年-20年)」で870万円になります。21年以上の勤続年数の人は20年以下の人よりも多く控除を受けられるわけです。
 
退職所得の受給に関する申告書を提出しなった場合、退職所得における課税率は20.42%です。この中には所得税率と復興特別所得税率が両方含まれています。仮に退職金が1000万円だった場合、勤続年数が20年の人は「(1000万円-800万円)÷2×20.42%」なので所得税額は20万4200円です。一方、勤続年数が21年の人は「(1000万円-870万円)÷2×20.42%」なので所得税額は13万2730円となります。
 
退職所得における所得税は、あらかじめ「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば源泉徴収されます。そのため、自身で計算して確定申告をする必要はありません。しかし、申告書を提出していない人や何らかの理由によって自身で確定申告する人は、自ら課税額を計算して確定申告書に記載する必要があります。
 
なお、退職金を一時金ではなく年金として受け取る場合は老齢基礎年金や老齢厚生年金と同じく雑所得の扱いです。そして、それらの受給額を合計し、控除額を超えた分に所得税が課税されます。
 

勤続年数が20年を超えると控除額も増える

退職所得における退職所得控除は勤続年数が20年以下の人よりも勤続年数が20年超の人の方がより多くなる仕組みです。退職金が1000万円の場合、勤続年数が20年であれば所得税額は20万4200円ですが、勤続年数が21年の人は13万2730円です。
 
退職金の額が同じでも勤続年数によって所得税額が変わるということをよく理解しておきましょう。
 

出典

国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

ライターさん募集