更新日: 2022.11.30 定年・退職

退職一時金を受け取ったら豪遊してしまいそうで不安な方は、「退職年金」の方が向いてるかも?

執筆者 : 柘植輝

退職一時金を受け取ったら豪遊してしまいそうで不安な方は、「退職年金」の方が向いてるかも?
退職金は受け取り方によって、老後の人生を変えてしまうこともあります。大きな金額の退職金を一度に受け取ったことで、つい豪遊してしまい、すぐに使い果たしたという話も決して珍しくはありません。そこで、退職金を使い過ぎてしまう不安がある方に向け、退職金の受け取り方について解説します。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

退職金の受け取り方は一括だけではない


退職金の受取方法としては、全額を一括で受け取る形式の退職一時金が一般的でしょう。しかし、退職金は一時金としてだけではなく、年金形式(退職年金)で受け取ることもできます。
 
年金形式では、退職金を分割して定期的に受け取ることになるため、短期間で使い切ったり、無駄遣いしたりするのを防ぐことができます。一度に大きなお金を手にすると、早々に使い切ってしまわないか心配という方は、退職金を年金形式で受け取るといいでしょう。
 
また、年金形式の場合、受け取っていない残額の部分について勤務していた会社が運用し、結果的に一時金よりも受け取る総額が多くなることもあります。
 

受け取り方によって税金はどうなる?

退職金を一時金で受け取る場合、退職所得として所得税・住民税の課税対象になります。一時金では勤続年数に応じた退職所得控除の適用を受けられますが、控除額を超えて課税対象となる部分が発生しても、税負担が増えるのは一時的です。
 
一方、退職金を年金形式で受け取る場合は、公的年金等にかかる雑所得として所得税・住民税の課税対象となります。退職年金は国民年金や厚生年金と合算して公的年金等控除の枠組みが適用され、年齢や年金収入に応じた控除額を超えた部分について課税されることになります。
 
そのため、退職年金として受け取った場合は毎年の所得が増える分、所得税や住民税、健康保険税といった各種税負担が重くなることもあります。
 
税金の面だけで考えるのであれば、退職一時金を選択して退職所得控除を受けた方が基本的に有利になり、将来受け取る公的年金で最大限の公的年金等控除も受けられます。
 
ただし前述したとおり、退職金を使い過ぎてしまうことに不安がある場合などでは、管理の面から退職年金として受け取った方がいいでしょう。
 

退職年金として受け取る場合の注意点

退職金は必ずしも年金として受け取れるとは限りません。勤務先によっては一括での支給を原則としている場合もあるため、受け取り方についてはあらかじめ確認が必要です。
 
また、退職金の使い道が決まっているという場合は、一時金でまとめて受け取った方がいいこともあります。例えば、退職金を住宅ローンの繰り上げ返済に充てる場合などです。
 

一時金と年金受取の併用ができることも

勤務先での扱いにもよりますが、退職金の一部については一時金で、残りを退職年金で受け取れる場合もあります。
 
一時金と年金での受け取りを併用することにより、退職所得控除を最大限に利用して税負担を減らしつつ、年金として公的年金等控除の適用を受けながら計画的に少しずつ受け取っていくことも可能です。
 
退職金の受け取り方は一時金か年金か、必ず二者択一となるわけではありません。併用できる場合では、選択肢として検討してみてください。
 

退職金の受け取り方は十分に検討を

退職金を一度にまとめて受け取ると、つい浪費してしまいそうで不安だという場合は、年金形式で定期的に受け取ることで、計画的に使っていくことができます。
 
ただし、税負担や退職金の使い道などから考えていくと、一時金で受け取る方がメリットがあったり、勤務先によっては一時金と年金形式の併用を選べたりする場合もあります。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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