更新日: 2022.12.06 その他老後

「将来の年金」はいくら必要?豊かな生活のためにやるべきことを解説

執筆者 : 谷口まり恵

「将来の年金」はいくら必要?豊かな生活のためにやるべきことを解説
老後の生活は不安だけれど具体的にどのように対策すればよいのか、何から手をつけてよいのか分からないという方も多いかもしれません。
 
本記事では老後の豊かな生活を送るために今からできる対策について、3つのステップに分けて分かりやすく解説していきます。
谷口まり恵

執筆者:谷口まり恵(たにぐち まりえ)

一級ファイナンシャルプランニング技能士

老後の生活費はどのくらい必要なのか

公益財団法人生命保険文化センターの調査では、老後の夫婦2人が、趣味や旅行なども含めたゆとりある生活を送るには、毎月約38万円が必要とされています。
 
65歳以上、夫婦のみ、無職世帯の年金収入である月平均21.6万円(総務省家計調査より)と合わせた不足分16.3万円を毎月、預貯金から取り崩し続けると、世帯主が70歳以上の世帯の平均貯蓄額約2404万円(同調査より)を12年程度で使い切る計算になります。
 
70歳の平均余命は男性約16年、女性約20年と言われているので、老後の生活資金についてはできるだけ早いうちから対策を考えることが大切です(※実際の収入規模や不足額は状況により異なります)。
 

ゆとりある生活のためにできること

ゆとりのある老後の生活を送るための重要な対策としては「将来受け取れる年金額の確認」「支出の見直し」「余裕資金による資産運用」の3つが挙げられます。
 

将来受け取れる年金額を確認する

将来受け取れる年金の見込み額については、毎年の誕生月に届くねんきん定期便の他にも、以下の方法で確認が可能です。

・「ねんきんネット」による試算
・「ねんきんダイヤル」による申し込み
・電子申請による申し込み

「ねんきんネット」では、専用サイト上でさまざまな条件を設定することで、将来受け取れる年金の見込み額が試算できます。「ねんきんダイヤル」と電子申請の場合は、50歳未満であれば年金加入記録のみ照会が可能です。
 

支出を見直す

年金の見込み額が確認できたら毎月の生活費を見直し、余分な出費がないか、毎月一定の金額がかかる固定費を中心に確認してみましょう。主な見直しの対象としては、例えば以下のような項目が挙げられます。

・保険契約
・携帯電話料金(格安SIMなどへの切り替えの選択肢含む)
・電気・水道・ガスの契約会社や料金プラン
・各種サブスクリプションサービス

 

余裕資金で運用する

現役時代のうちから余裕資金を運用に回すことも、老後の生活資金を準備するための有効な手段です。
 
投資商品を購入するタイミングに迷う人は、毎月少額ずつ決まった金額を投資する積立投資がおすすめです。積立投資は「時間分散」の効果によって、高値づかみのリスクを抑えることができるというメリットがあります。
 
また、投資を通じた将来の資産形成は、できるだけ早い時期に始めることをおすすめします。というのも、増えた利益を含めて運用する「再投資」であれば、期間が長いほど利益の幅が膨らむ「複利効果」が期待できるからです。
 
例えば、毎月5万円を年率3%で10年運用した場合は元本600万円が698万円になり、利益は98万円です。一方、同じ条件で20年続けた場合は元本1200万円が1641万円になり、利益は441万円です。期間を10年長くするだけで、元本に対する利益の割合は約16%から約37%と倍以上に膨らみます。
 
現在はつみたてNISAやiDeCoのように、積立投資をしながら運用益非課税などの税制優遇を受けられる仕組みも整っています。元本を損なうリスクには十分留意した上で、資産形成を促進するこれらの制度の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
 

まとめ

老後の生活を豊かにするための3つの対策について解説してきました。
 
将来受け取ることのできる年金の見込み額を踏まえて資金計画を検討し、余計な支出を見直しつつ、できるだけ早い段階から積立投資の選択肢を含めた老後資産対策を始めることが大切です。
 
本記事で紹介したポイントを踏まえ、老後の豊かな生活に向けたライフプランを点検してみてください。
 

出典

公益財団法人 生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査(速報版)」
総務省統計局 2021年家計調査報告(家計収支編)
総務省統計局 家計調査 <貯蓄・負債>貯蓄及び負債の1世帯当たり現在高 8-5世帯主の年齢階級別(2022年4~6月期)
日本年金機構 大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています
日本年金機構 年金見込額試算
金融庁HP 投資の基本 時間分散
金融庁HP 資産運用シミュレーション
 
執筆者:谷口まり恵
一級ファイナンシャルプランニング技能士

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