更新日: 2022.12.10 その他老後
親からの一言「年金だけで暮らせず、生活保護を頼りたい……」生活保護受給の条件って?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
生活保護受給者の半数以上が高齢者
高齢となった親が年金だけでは生活できず、生活保護を頼りたいと考えるのは決して珍しいことではありません。
「令和3年度被保護者調査」によれば、令和3年度において、生活保護の被保護人員(生活保護を受けている方の数)は201万1942人、そのうち65歳以上の方は105万5895人でした。実に生活保護受給者の半数が高齢者となっているのです。
この点を考えると、親から「年金だけでは生活ができないので、生活保護を頼りたい」と言われるのは、決して人ごとではありません。
生活保護受給の要件は?
生活保護の受給には、世帯員の全員が、利用できる資産や能力などあらゆるものを活用しても最低限の生活を維持できない、ということが前提となります。その上で、親や子など扶養義務者が扶養できない場合に対象となります。具体的には、下記のような事柄の全てを実施してもなお、最低限度の生活が維持できない場合です。
●預貯金、生活に利用されていない土地・家屋や自動車を売却するなどして生活費に充てる
●可能な範囲で就労する(就労できない事情がある場合はこの限りではない)
●年金やその他給付を受給する
●親族からの扶養を受ける
上記全てを実施しても国の定める最低限の生活費未満の収入となる場合、生活保護の対象となります。つまり、年金生活をしている親でも、年金だけで生活できない場合は生活保護を受けられる可能性があります。この場合、年金収入を踏まえ、最低限の生活費に足りない金額のみ生活保護費として支給されることになります。
ただし、最低限の生活費が幾らになるのかはお住まいの地域によって異なります。また、実際に審査を受けて生活保護の対象となるか否かは、個別の事情や地域によって判断が分かれるところもあります。詳しくは、親の住んでいる自治体の福祉事務所までお問い合わせください。
子である自分に収入がある場合は?
生活保護は原則として世帯単位で受給を判定するため、親と同居中で自分に親を養うだけの資力がある場合、親は生活保護を受給できません。
ただし、子である自分に収入があったとしても、親を養うには不十分であるなど扶養できない事情が存在するときは、親が生活保護を受給できる可能性があります。なお、介護のために同居しているなどの場合は、親だけ生活保護を受けられることがあります。詳細についてはお住まいの市区町村役場や福祉事務所へご相談ください。
生活保護の受給条件に悩んだら、弁護士や行政書士へ相談を
親が年金だけでは生活ができないという場合、生活保護を受給できる可能性があります。
しかし、生活保護の受給判定がどうなされるかは複雑な面もあります。実際に生活保護について考えるときは、親の住まいの市区町村役場や最寄りの福祉事務所に相談しながら手続きを進めていくようにしてください。
また、弁護士や行政書士が生活保護の申請についてサポート業務を行っていることもあります。自分たちの力だけでは生活保護の受給が難しいと感じた場合は、そういった専門家のサポートも検討してみましょう。
出典
e-Stat 令和3年度被保護者調査 年次調査 速報
厚生労働省 生活保護の被保護者調査(令和4年6月分概数)の結果を公表します
厚生労働省 生活保護制度
厚生労働省 「生活保護制度」に関するQ&A
執筆者:柘植輝
行政書士