更新日: 2022.12.14 その他老後

60代の貯蓄は「約2400万」!? 去年より増えてる? 減ってる? 比べてみました!

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

60代の貯蓄は「約2400万」!? 去年より増えてる? 減ってる? 比べてみました!
60代は老後生活のスタートが間近、あるいはすでにスタートしている年齢と言えます。そのため、老後を不安なく過ごすことができるのか不安に思っている60代の人も多いことでしょう。特に、同世代の人たちがどれくらいの貯蓄をしているのかは気になるところです。
 
そこで本記事では、政府の統計資料を元にして、2022年と2021年4~6月期における60歳以上の貯蓄額を紹介します。60歳代の貯蓄額が気になる人は、ぜひ参考にしてください。
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【2022年4~6月期】60歳台の貯蓄額

 
60歳代は高齢者とは言っても、まだ働いている人も多い年代です。法律によって65歳までの定年引き上げか定年制度の廃止が義務付けられているため、60歳以上でも働ける環境が整っています。したがって、現在は、60歳以上でも貯蓄を増やすことができる状況です。
 
総務省統計局が毎月調査している家系調査の中に、年代別貯蓄額のデータがあります。そのデータを参考に、2022年4~6月期の60歳代の貯蓄額を見てみましょう。
 

総務省統計局の調査による世帯主が60歳以上の世帯の貯蓄額(2022年4~6月期)

 
総務省統計局の調査では2022年4~6月期の貯蓄額(60~69歳)は2428万円です。貯蓄額といっても預金などの現金だけではなく、生命保険や有価証券なども含まれています。2022年4~6月期、年代別の貯蓄額は図表1のとおりです。
 
図表1
 

年代 50~59歳 60~69歳 70歳以上
貯蓄額
(2022年4~6月期)
1869万円 2428万円 2404万円

 
筆者作成
 
同調査によると、50歳未満の各年代における貯蓄額は右肩上がりとなっています。貯蓄額のピークは60代で、70代以降は少しずつ貯蓄額が減っていくという傾向が数字として表れています。
 

貯蓄額の内訳

 
2022年4~6月期、貯蓄額の内訳は図表2のとおりです。
 
図表2
 

貯蓄の内訳/年代 50~59歳 60~69歳 70歳以上
貯蓄額 計 1869万円 2428万円 2404万円
◆金融機関 計 1772万円 2412万円 2399万円
1.通貨性預貯金 ※1 577万円 789万円 689万円
2.定期性預貯金 492万円 797万円 892万円
3.生命保険など 444万円 464万円 395万円
4.有価証券 小計 259万円 363万円 424万円
a) 貸付信託・金銭信託 6万円 3万円 6万円
b) 株式 126万円 188万円 224万円
c) 債券 25万円 42万円 74万円
d) 投資信託 103万円 130万円 121万円
◆金融機関外 計 ※2 97万円 15万円 4万円

 
※1 出し入れ自由の預貯金(普通預金など)
※2 社内預金、共済組合への預貯金など
筆者作成
 
60代の貯蓄額の内訳を見ると、貯蓄の約65%は普通預金と定期預金で占められていることがわかります。
 
しかし、預貯金だけでは資産として増やすことは難しいので、余裕があれば株式や投資信託などで資産の増額を目指しましょう。リスク分散の意味でも資産が偏らないようにすることが大切です。
 

【2021年4~6月期】60歳台の貯蓄

 
結論から先に言うと、2021年4~6月期の60歳代の貯蓄は2022年に比べて多くなっています。つまり、2021年から比べると2022年の貯蓄額は下がっていることになります。
 
下がった原因については統計の数値だけではわかりませんが、コロナ禍による景気の冷え込みが少なからず影響していると推測できます。具体的に2021年と2022年の数値を比較してみましょう。
 

総務省統計局の調査による世帯主が60歳以上の世帯の貯蓄額(2021年4~6月期)

 
2021年4~6月期、年代別の貯蓄額は図表3のとおりです。
 
図表3
 

年代 50~59歳 60~69歳 70歳以上
貯蓄額
(2022年4~6月期)
1965万円 2625万円 2398万円

 
筆者作成
 
年代別に見ると貯蓄額の流れそのものは2021年も2022年と同じで、50代まで右肩上がりが続いて60代がピークとなります。70歳以降は収入が下がるため貯金や資産を取り崩していく傾向も同じです。
 

貯蓄額の内訳

図表4
 

貯蓄の内訳/年代 50~59歳 60~69歳 70歳以上
貯蓄額 計 1965万円 2625万円 2398万円
◆金融機関 計 1913万円 2603万円 2392万円
1.通貨性預貯金 586万円 728万円 639万円
2.定期性預貯金 547万円 929万円 923万円
3.生命保険など 438万円 520万円 8万円
4.有価証券 小計 341万円 426万円 422万円
a) 貸付信託・金銭信託 12万円 8万円 9万円
b) 株式 176万円 213万円 233万円
c) 債券 29万円 82万円 51万円
d) 投資信託 124万円 122万円 139万円
◆金融機関外 計 53万円 22万円 6万円

 
筆者作成
 

2021年4~6月と2022年4~6月の比較

60歳代の貯蓄額を2021年と比較して、2022年はどれだけ増減したのかを示したのが図表5です。
 
図表5
 

貯蓄の内訳/期間 2021年
4~6月期
2022年
4~6月期
差額と割合
貯蓄額 計 2625万円 2428万円 -197万円(-7.5%)
◆金融機関 計 2603万円 2412万円 -191万円(-7.3%)
1.通貨性預貯金 728万円 789万円 +61万円(8.4%)
2.定期性預貯金 929万円 797万円 -132万円(-14.2%)
3.生命保険など 520万円 464万円 -56万円(-10.8%)
4.有価証券 小計 426万円 363万円 -63万円(-14.8%)
a) 貸付信託・金銭信託 8万円 3万円 -5万円(-62.5%)
b) 株式 213万円 188万円 -25万円(-11.7%)
c) 債券 82万円 42万円 -40万円(-48.8%)
d) 投資信託 122万円 130万円 +8万円(-6.6%)
◆金融機関外 計 22万円 15万円 -7万円(-31.8%)

 
筆者作成
 
図表5とおり、貯蓄額は2021年に比べて2022年は7.5%の減額となっています。
 
目に付くのは定期預金額の大幅な減少と普通預金の増額です。これは、定期預金を一部解約していつでも使えるように普通預金に移動したと考えられます。全体的に貯蓄額が減少していることから、貯蓄する余裕がなかったとも推測できます。
 

60歳以上の貯蓄額は2022年4~6月期では昨年同時期に比べると微減

 
2022年4~6月期は、前年同月と比べると60歳代の貯蓄額は微減の結果となっています。環境の変化によってこうした微増や微減はありますが、60歳代ではどの程度の貯蓄額が平均的なのか目安はわかります。
2022年4~6月期での60歳代の貯蓄額は、約2400万円でその内預貯金は約1600万円です。この金額が60歳代までに貯蓄する金額の目安になるでしょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査貯蓄・負債編2022年4~6月期

厚生労働省 高年齢者の雇用

総務省統計局家計調査 貯蓄・負債編2021年4~6月期

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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