更新日: 2022.12.15 その他老後

60歳以上の医療費はいくらぐらい? 家計の何割を占める?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

60歳以上の医療費はいくらぐらい? 家計の何割を占める?
「高齢になると病院などのお世話になることが増えて、医療費がたくさんかかりそう」というイメージを持っている人は多いのではないでしょうか。
 
実際、統計データをみると、60歳以上の高齢者の医療費は、それよりも下の世代と比べて高い傾向があります。
 
本記事では統計データを基に、60歳以上の医療費の金額や家計に占める割合、生涯医療費に占める割合などの情報をまとめました。高齢になってからの医療費事情を、具体的にみてみましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

60歳以上の1ヶ月の医療費の平均額と家計に占める割合

総務省が実施した「2021年 家計調査」の結果によると、60歳以上の単身世帯1世帯あたりの1ヶ月間の保健医療費は、8832円です。消費支出全体14万1126円に占める割合を計算すると、約6.3%となります。
 
また、60歳よりも下の年齢層の保健医療費をみると、30代前半までの世代は4683円、35~59歳までの世代は7462円となっており、60歳以上になると下の世代と比べて、保健医療費の支出が増加する傾向がみて取れます。
 
続いて、男女別の1ヶ月間の保健医療費の金額と内訳、家計に占める割合を、図表1でみてみましょう。
 
【図表1】

保健医療費 保健医療費の内訳 家計に占める割合
男性 9381円 ・医薬品:2168円
・健康保持用摂取品:1141円
・保健医療用品・器具:960円
・保健医療サービス:5113円
6.9%
女性 8539円 ・医薬品:1655円
・健康保持用摂取品:1566円
・保健医療用品・器具:1498円
・保健医療サービス:3821円
6.0%
全体 8832円 ・医薬品:1833円
・健康保持用摂取品:1418円
・保健医療用品・器具:1311円
・保健医療サービス:4270円
6.3%

 
保健医療費の金額、家計に占める割合ともに、男性の方が女性よりも高いことが分かります。
 

生涯医療費の半分以上が60歳以降に発生する

図表2は、厚生労働省「医療保険に関する基礎資料(令和元年度)」を基に、年齢階級別の医療費と累積額、累積割合をまとめたものです。
 
【図表2】

年齢階級別医療費 累積医療費 累積割合
0~9歳まで 194万円 194万円 7%
10~19歳まで 100万円 294万円 11%
20~29歳まで 99万円 393万円 14%
30~39歳まで 138万円 531万円 19%
40~49歳まで 180万円 711万円 25%
50~59歳まで 276万円 987万円 35%
60~69歳まで 414万円 1401万円 50%
70~79歳まで 578万円 1978万円 71%
80~89歳まで 576万円 2553万円 92%
90~99歳まで 224万円 2777万円 100%
100歳~ 11万円 2789万円 100%

 
この資料によると、生涯にかかる医療費は約2789万円で、59歳までに発生する医療費はそのうち987万円です。つまり、残りの1800万円あまりは60歳以降に発生するということです。これは、生涯にかかる医療費のおよそ65%にあたります。
 
生涯にかかる医療費の大半が、多くの人が定年を迎えた65歳から亡くなるまでの間に発生すると考えると、現役世代のうちに老後資金の備えをすることがいかに大切か、イメージできるのではないでしょうか。
 

後期高齢者の窓口負担割合見直しで医療費がさらに上がる可能性がある

2021年に後期高齢者の窓口負担割合に関する法改正が行われ、2022年10月1日から75歳以上で、以下の基準に当てはまる人の窓口負担割合が、1割から2割に引き上げられました。

・課税所得が28万円以上で、年金収入とそのほかの合計所得金額の合計が、単身世帯:200万円以上、複数世帯:合計320万円以上

2025年9月30日までは負担増加額を3000円までに抑える経過措置があるものの、75歳以上の世代では今後、これまでと比べて医療費負担がさらに上がる可能性があります。
 

60歳以上になると下の年齢と比べて医療費がかかる

統計データでは、60歳以上の1ヶ月間の医療費は、下の世代と比べると高いという結果が出ています。また、生涯医療費の大半は、60歳以上で発生するというデータもあります。
 
高齢になると病気やけがなどのリスクが、若年層と比べるとどうしても高くなるものです。高齢期の医療費負担に備えて、計画的に資金を準備しておく必要があるでしょう。
 

出典

総務省 家計調査家計収支編(単身世帯)1世帯当たり1か月間の収入と支出 表番号2(男女、年齢階級別)
厚生労働省 医療保険に関する基礎資料 生涯医療費(令和元年度)
厚生労働省 後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

ライターさん募集