更新日: 2022.12.16 定年・退職
定年退職後に給与がダウン…「高年齢雇用継続基本給付金」や「高年齢再就職給付金」は受け取れる? 違いや条件をチェック!
本記事では、これらの給付金の違いについて解説します。
執筆者:中村将士(なかむら まさし)
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。
高年齢雇用継続基本給付金
まず、高年齢雇用継続基本給付金の支給対象者と支給期間について解説します。
支給対象者
高年齢雇用継続基本給付金の支給対象者は、以下の要件を満たした人です。
・被保険者であった期間が通算して5年以上ある
・60歳到達後も継続して雇用されている
・原則として、60歳時点と比較して60歳以後の賃金が60歳時点の75%未満となっている
「被保険者であった期間」とは、雇用保険の被保険者であった期間のことをいいます。基本的には、60歳になっても継続して雇用されているものの、賃金が75%未満にダウンしてしまった人が対象ということになります。
支給期間
支給期間は、60歳に到達した月から65歳に達する月までです。ただし、支給を受けるためには、各暦月の初日から末日まで被保険者であることが必要です。
暦月とは、暦(こよみ)の上での月のことで、「1月」とか「2月」のことです。初日から末日までとは、1日からその月の最後の日(「30日」や「31日」)までのことです。
60歳に到達した月から65歳に達する月までの各暦月のことを「支給対象月」といいます。高年齢雇用継続基本給付金の支給額は、最大で、支給対象月に支払われた賃金の15%です。
高年齢再就職給付金
次に、高年齢再就職給付金の支給対象者と支給期間について解説します。
支給対象者
高年齢再就職給付金の支給対象者は、以下の要件を満たした人です。
・基本手当を受給している
・60歳以後に再就職している
・再就職後の各月に支払われる賃金が基本手当の基準となった賃金日額を30倍した額の75%未満となった
・基本手当についての算定基礎期間が5年以上ある
・再就職した日の前日における基本手当の支給残日数が100日以上ある
・安定した職に就くことにより被保険者となっている
高年齢雇用継続基本給付金の支給要件と異なる点は、一度、離職し基本手当を受給して、再就職したということです。基本手当の受給日数を100日以上残して再就職した場合、その日数に応じて高年齢再就職給付金を受給できます。
高年齢再就職給付金を受給するためには、賃金が基本手当の基準となった賃金日額を30倍した額の75%未満となる必要があります。賃金日額とは、離職した日の直前の6ヶ月の賃金を180で割った金額のことです。
支給期間
支給期間は、再就職した日の前日における基本手当の支給残日数(以下「支給残日数」といいます)によって異なります。支給残日数が200日以上の場合、支給期間は再就職日の翌日から2年を経過する日の属する月までです。支給残日数が100日以上200日未満の場合、支給期間は再就職日の翌日から1年を経過する日の属する月までです。
ただし、受給するには、各暦月の初日から末日まで被保険者であることが必要です。また、支給対象期間中に65歳に達した場合は、65歳に到達した月までの支給となります。
高年齢再就職給付金の支給額は、最大で、支給対象月に支払われた賃金の15%です。支給額の計算は、高年齢雇用継続基本給付金の場合と同じです。
まとめ
本記事では、高年齢雇用継続基本給付金と高年齢再就職給付金について解説しました。どちらも「高年齢雇用継続給付」であり、大きな差はありません。
違いを挙げるなら、雇用保険の基本手当を受け取ったかどうかです。高年齢雇用継続基本給付金は、継続して雇用されている人が対象となります。当然、雇用保険の基本手当を受け取っていません。一方、高年齢再就職給付金は、一度離職し、基本手当を受け取った後、再就職した人が対象です。
支給期間は、どちらの給付金も60歳から65歳までです。高年齢雇用継続基本給付金は、この間が支給対象期間となります。一方、高年齢再就職給付金は、この間のうち、再就職した期間が支給対象期間となります。単純に比較すれば、高年齢雇用継続基本給付金の方が、支給対象期間が長くなる可能性があるため、給付総額は多くなるといえるでしょう。
とはいえ、働き方は人それぞれです。給付金によって働き方を変えるのではなく、ご自身に合った働き方をした上で、給付金を受け取るのが良いのではないでしょうか。
出典
厚生労働省 高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続について
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー