更新日: 2023.01.10 介護
介護保険を使って、福祉用具のレンタルができるって本当?
福祉用具のレンタル、購入、住宅改修もできます。今回は、福祉用具のレンタルについて解説します。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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福祉用具のレンタルとは
介護保険を使って、車いすや歩行器、介護用ベッドなど、自宅や外出時に役立つ福祉用具をレンタルできます。福祉用具によって、利用者はその居宅において自立した日常生活を営むことができるようになりますし、家族などの介護負担も減らすことができます。
福祉用具は、都道府県や市区町村の指定を受けた事業者からレンタルできます。事業所によってレンタルできる品目等は異なります。カタログには介護保険を利用できない介護用品も掲載されている場合がありますので注意しましょう。
指定事業所には福祉用具専門員がいて、利用者の状況に合った複数の福祉用具を提示し、その機能や特徴、利用方法を助言してくれます。用途や使い方を伝えてアドバイスを受けるとよいでしょう。
介護保険でレンタルできる福祉用具は13種類です。要介護度によって利用できない福祉用具があります。
レンタル対象の13種類の福祉用具
レンタル対象の福祉用具は以下の13種類です。
(1) 車いす
(2) 車いす付属品(クッション、電動補助装置等)
(3) 特殊寝台(介護用ベッド)
(4) 特殊寝台付属品 (マットレス等)
(5) 床ずれ防止用具
(6) 体位変換器
(7) 手すり(工事を伴わない)
(8) スロープ(工事を伴わない)
(9) 歩行器
(10) 歩行補助杖(松葉杖、多点杖等)
(11) 認知症老人徘徊感知機器
(12) 移動用リフト(つり具の部分を除く)
(13) 自動排泄処理装置(尿のみ自動的に吸引できるもの、要介護4以上)
このうち、(7)~(10)以外は、要支援1・2、要介護1は原則利用できません。
ただし、厚生労働大臣が定める告示に該当する対象者については、要介護認定における基本調査結果等に基づく判断があった場合、または、市町村が医師の所見・ケアマネジメントの判断等を書面等で確認のうえ、要否を判断した場合には、例外的に給付が可能です。
なお、要支援1・2、要介護1の方に対し、事業所が介護保険外サービスとして、車いすや介護用ベッドをレンタルしているケースもあります。
住宅改修との違い
住宅改修にも、手すりやスロープの取り付けがありますが、住宅改修では工事を伴い、レンタルでは工事を伴いません。したがって、レンタルでは、必要がなくなった場合には返却ができるといった利点があります。
利用料
福祉用具の種類によって料金が異なります。介護保険を使うことによってレンタル価格の1~3割の負担で利用できます。原則1ヶ月単位で料金が設定されていますが、日割りで応じる場合もあります。搬入や組み立て代も料金に含まれます。
以前は福祉用具のレンタル料は事業者が自由に設定していたので、同じ商品でも何倍もの差が生じる場合がありました。現在では、各商品の全国平均貸与価格と価格の上限が設定され、厚生労働省の福祉用具のホームページで公表されています。
・車いす 500円~1000円
・歩行器 200円~500円
・介護用ベッド 1000円~2000円
・移動用リフト 1500円~5000円
なお、医療保険と介護保険は併用できません。そのため、入院中は福祉用具のレンタルはできません。そのままにしておくと、全額自費となることがあります。長期に入院する際はケアマネジャーに必ず相談してください。
福祉用具をレンタルするには
福祉用具のレンタルは、訪問介護やデイサービスなどのサービスと同様、要介護度別の支給限度額内で利用するサービスです。ケアマネジャーに相談してケアプランに組み込んでもらう必要があります。
業者は用具選びの相談や用具の借り換え、修理など気軽に応じてくれるところがよいでしょう。日割りに応じてくれるかも確認しましょう。
出典
厚生労働省 福祉用具・住宅改修
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。