介護保険を使って、住宅改修(リフォーム)できるって本当?

配信日: 2023.01.18 更新日: 2023.01.19

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介護保険を使って、住宅改修(リフォーム)できるって本当?
介護保険で受けることができるのは、訪問介護やデイサービスなどのサービスだけではありません。福祉用具のレンタル、購入、住宅改修もできます。今回は、住宅改修について解説します。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

住宅改修とは

住み慣れた自宅で安全に暮らせるように介護保険では、手すりの取り付け、段差の解消などの改修工事について費用の一部を支給しています。住宅改修によって、要介護者が自分でできることが増えたり、介護者の負担を軽減したりすることにつながります。
 
介護保険が適用される改修工事は以下の6種類です。
 

1.手すりの取り付け
2.段差の解消
3.滑りの防止および移動の円滑化などのための床材の変更
4.引き戸・折り戸などへの扉の取り換え
5.和式から洋式への便座の取り換え、
6.その他、1~5の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修

 
改修工事は原則として自己所有の家屋が対象ですが、賃貸住宅の場合は、家主の承諾を得ることができれば、改修可能です。ただし、自己所有であっても住民票のある市区町村以外の住所の場合は給付の対象外です。
 
また、新築工事中の場合は、介護保険給付の対象となりません。新築工事が完了後であれば、スロープの設置や手すりなどの改修は介護保険が利用可能です。
 

利用料

住宅改修費の保険適用は、利用者1人につき要介護度にかかわらず20万円以内です。要支援、要介護ともに、訪問介護やデイサービスなどの居宅サービスの支給限度額とは別の枠で利用することができます。
 
例えば、1割負担の人が15万円の改修工事を行った場合、利用者負担は1.5万円です。残額分の5万円は次回の改修工事に充てることができますが、20万円を超える場合の超過分は全額自己負担となります。
 
住宅改修費の保険適用は利用者1人につき原則1回ですが、(1)要介護状態区分が3段階以上上がった場合、または(2)転居した場合は、再度20万円までの住宅改修費の支給申請を行うことができます。
 
なお、(1)について、「要支援1・2」は同じものであると見なされるため、要介護度の区分では、3段階上昇している「要支援1から要介護2に上がった場合」は2段階の上昇になります。
 
住宅改修費の支払い方法は、最初に利用者が費用の全額を支払い、後に市区町村から9割または8割を償還してもらう「償還払い方式」と、認可を受けている事業所を利用する際、はじめから1割または2割の負担で行える「受領委任払い方式」があります。市区町村により異なりますので確認しましょう。
 
なお、市区町村によっては介護保険以外の助成も併せて受けられる場合もありますので調べてみましょう。
 

サービス利用の流れ

まず、ケアマネジャーに相談してみましょう。住宅改修事業者とケアマネジャーに家屋の状態を確認してもらい利用者の身体状況や家族の希望に沿った提案をしてもらいます。住宅改修業者に見積書を作成してもらい、見積書の内容でよければ、ケアマネジャーなど一定の資格を持った方の住宅改修理由書を添えて市区町村に住宅改修の申請を行います。
 
なお、見積もりは2社以上から取り、比較検討するとよいでしょう。
 
その後、市区町村から住宅改修の決定通知が届いてから住宅改修の工事が開始されます。工事が終了、完成したら利用者は住宅改修事業者へ改修費を支払います。工事終了後、改修費の領収書、費用内訳、改修前と改修後の写真等を市町村に提出します。
 
市区町村が事前申請された書類と、工事が終了した後に提出された書類を確認して、適切に工事が実施されたかどうかのチェックを行い、住宅改修費の支給が必要であると認めた場合に住宅改修費が利用者に支払われます(償還払い)。
 
このように書類提出は工事後だけではなく工事前にも必要です。事前に申請をすることなく改修をした場合は、原則、保険給付の対象となりませんので注意してください。
 

住宅改修事業者選び

住宅改修事業者は、一定の要件を満たしている指定業者以外でも工事が可能です。住宅改修事業者を選ぶ際には、介護保険の住宅改修について専門的な知識を持ち、質の高い工事ができる技術があり、申請書類作成などに慣れている実績の豊富な事業者を選ぶとよいでしょう。
 

福祉用具のレンタルとの違い

福祉用具のレンタルにも、手すりやスロープの取り付けがありますが、住宅改修では工事を伴います。しかしレンタルでは工事を伴いません。したがってレンタルでは、必要がなくなった場合には返却ができるといった利点があります。手すりやスロープの取り付け工事をする前にレンタルも検討しましょう。 
 

出典

厚生労働省 福祉用具・住宅改修

 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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