平均寿命と平均余命の違いは? 新型コロナウイルス感染拡大で平均寿命はどうなった?
配信日: 2023.02.08
一方、平均余命という言葉もよく聞かれるようになりました。
この記事では、平均寿命と平均余命の関係や、平均寿命の最近の動向について説明したいと思います。
執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表。
ファイナンシャル・プランナーの上位資格であるCFP(日本FP協会認定)を最速で取得。証券外務員第一種(日本証券業協会認定)。
FPとしてのアドバイスの範囲は、住宅購入、子供の教育費などのライフプラン全般、定年後の働き方や年金・資産運用・相続などの老後対策等、幅広い分野をカバーし、これから人生の礎を築いていく若い人とともに、同年代の高齢者層から絶大な信頼を集めている。
2023年7月PHP研究所より「70歳の現役FPが教える60歳からの「働き方」と「お金」の正解」を出版し、好評販売中。
現在、出版を記念して、サマーアロー・コンサルティングHPで無料FP相談を受け付け中。
早稲田大学卒業後、大手重工業メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超え、海外の話題にも明るい。
サマーアロー・コンサルティングHPアドレス:https://briansummer.wixsite.com/summerarrow
平均寿命と平均余命
平均寿命とは、0歳の人の平均余命、すなわち「0歳の人が今後何年生きられるか」の平均値を示します。
一方、平均余命とは、「ある年齢の人が今後何年生きられるか」の平均値を示します。例えば、50歳の男性の平均余命が32.93年だとしたら、50歳の男性は平均82.93(=50+32.93)歳まで生きられるということになります。
図表1で、主な年齢の平均余命を見てみましょう。
【図表1】
まず、2021年の簡易生命表のベースでは、平均寿命は、男性:81.47歳、女性:87.57歳となっています。Aは、それぞれの年齢に達した人が何歳まで生きられるかの平均値です。これを、「○○歳の人の平均生存年齢」とよぶことにしましょう。
「A-平均寿命」は、それぞれの年齢に達した人の「平均生存年齢」から平均寿命を引いた値です。これを見て分かるように、「A-平均寿命」はプラスなので、「○○歳の人の平均生存年齢」は平均寿命より長いということができます。
図表1から見ると、例えば、80歳の人の平均生存年齢は男性89.22歳、女性92.12歳で、男女とも80歳になれば、平均的には約90歳まで生きられるということができます。また、90歳の人の平均生存年齢は男女とも95歳前後ですから、90歳になった人は、人生100年時代も視野に入ってくるといえるでしょう。
総務省統計局の調査によると、2022年8月1日時点における100歳以上の人口は8万9000人で全人口の0.07%、90歳以上の人口は254万3000人で全人口の2.0%となっています。この割合が今後増えるかどうかで、「人生100年時代」が本当に訪れるか否かが判断できるでしょう。
平均寿命と平均余命の推移
図表2から分かるとおり、日本人の平均寿命は東日本大震災の影響で減少した2011年以降、ずっと延び続けていました。
ところが2021年は、前年に比べるとわずかですが減少しています。死因から見ると、男女とも悪性新生物(腫瘍)、肺炎、交通事故などの死亡率は低下したものの、新型コロナウイルス感染症などの死亡率が上昇し、結果として全体の平均寿命が減少したことがうかがえます。
【図表2】
【図表3】
厚生労働省「令和3年簡易生命表の概況」による
まとめ
この記事では、以下の点を説明しました。
(1)平均寿命と平均余命の違い
(2)「○○歳の人の平均生存年齢」は平均寿命より長くなること
(3)2021年の平均寿命は、新型コロナウイルス感染症の影響で、東日本大震災以来初めて減少に転じたこと
今後の日本における超高齢化の動きは、これらの動向を踏まえながら見ていく必要があるでしょう。
出典
厚生労働省 令和3年簡易生命表の概況
厚生労働省 令和2年簡易生命表の概況
総務省統計局 人口推計 2023年(令和5年) 1月報
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー