更新日: 2023.02.18 定年・退職
結局何歳で定年して、何歳から年金を受け取るのが一番いいの?
そこで、何歳で定年して何歳から年金を受け取るのが一番いいのか考えてみました。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
年金の繰り上げ・繰り下げ受給問題
年金を何歳から受け取るべきなのか頭を悩ます大きな原因として年金の繰り上げ・繰り下げ受給の存在があります。
年金の受給開始は原則65歳からになりますが、最も早くて60歳まで繰り上げることができます。しかし、受け取る年金額は1ヶ月繰り上げるごとに0.4%減少し、最大で24%減となります。逆に最も遅く受け取るなら75歳まで繰り下げることができます。繰り下げをした場合、将来受け取る年金額は1ヶ月繰り下げるごとに0.7%増加し、最大84%増となります。
早く受け取るとその分年金額が減る。たくさん年金を受け取ろうとすれば時期が遅くなる。と、この点で多くの方が年金の受給開始時期について頭を悩ませています。
定年と年金の受け取り時期
定年の時期も年金の受け取り時期に影響を与えます。多くの場合、定年後は収入について年金頼りの生活になるため、いつ定年を迎えて主な収入源を年金に切り替えていくのかが重要になるのです。
定年については65歳ないし、60歳が一般的でしょう。人によってはそこから再雇用や再就職で65歳から70歳くらいまで働くこともあります。
定年の時期自体は会社の就業規則や本人の能力や心身の状況によって異なるため、そう簡単にずらせないこともあります。そういった場合は状況に見合った職場に再就職をすれば定年後も働き続け収入を得ることができます。
何歳で定年して年金を受け取るのがベスト?
何歳で定年を迎え、そして何歳から年金を受け取るのがベストなのか、それは個別の事情によって異なるため一概には言えません。
1つの正解例となりうる案を出すなら、65歳で定年してそのまま65歳で年金を受け取ることです。人間はいつ亡くなるかは誰にも分かりません。健康な方でも早死にしてしまうこともあれば、病気がちでも結果的に長寿となる方もいらっしゃいます。年金は生きている限り受け取り続けることができますが、亡くなってしまえば受け取ることができません。
その点を踏まえると、不確定事項についてあれこれ考え悩むより、年金は原則どおり65歳で受給していくのが多くの方にとってバランスが取れた選択になるでしょう。
定年についても年金の受給と合わせていったん65歳で考えておけばいいでしょう。そして、年金だけで生活できない場合や将来が不安な場合は、心身の状態やライフプランに応じて定年の延長や再就職をしていくといいでしょう。
平均寿命から考える
定年と年金受給に一番よいタイミングを考えるにあたっては平均寿命も一つの参考になります。令和3年においては男性が81.47歳、女性は87.57歳が平均寿命となっています。
仮に平均寿命について男性を82歳、女性が88歳だと考えてみましょう。そして、厚生年金の平均受給額は令和2年度で月々14万6000円、年間で175万2000円となっています。それを基に、60歳から平均寿命まで受け取ると考えると、男性は生涯で2926万円、女性は3724万円を受け取れることになります。
65歳から受け取ると、男性は2975万円、女性は4025万円となります。また、75歳からに繰り下げると、男性は2254万円、女性は4186万円となります。平均寿命から考えると男性なら65歳、女性なら65歳ないし75歳で年金を受け取り始めるといいでしょう。
定年の年齢と年金の受給開始時期はこだわりすぎないことが大切
定年の年齢と年金の受給開始時期についていつが一番いいのかは、一概に言えるものではなく個別の事情によって異なります。仮に最適だと思うタイミングを見つけたとしても、5年後10年後もそれがベストな選択だったと言えるかどうかはその時になってみないとわかりません。
年金の受給開始時期や定年は無理に100点満点の選択を目指さず65歳を目安に、健康寿命やライフプランを基に自分にとって悪くはないだろうなというくらいの年齢で決めるといいでしょう。
出典
厚生労働省 令和3年簡易生命表の概況
令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 II.厚生年金保険(2)給付状況
執筆者:柘植輝
行政書士