更新日: 2023.02.17 その他老後
老後貧困に陥らないために、50代の時点で「1500万円の貯金」があります。これって普通ですか?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
総世帯での平均的な貯金額ってどれくらい?
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」(令和3年)の結果によれば、総世帯(金融資産を保有していない世帯も含む)での預貯金の平均額は593万円となっています。
生命保険や株式、投資信託など、貯金以外のすべての金融商品を含めた保有資産額でも平均では1395万円となっているため、この結果から考えると年齢に関係なく貯金だけで1500万円の資産は大きな金額といえます。
また、世帯主の年齢が50代の場合では預貯金の平均額は554万円で、すべての金融商品を含めた保有資産額の平均は1305万円となっています。やはり、50代で預貯金が1500万円というのは普通よりもだいぶ貯金ができている方だといえます。
2人以上の世帯での平均を見ていくと?
続いて2人以上の世帯での貯金額を見ていきましょう。
預貯金の平均額は670万円、すべての金融資産を含めた平均は1563万円となっています。預貯金だけで見れば1500万円という金額はかなり多いといえますが、保有する金融資産全体で考えると平均的といえます。
世帯主が50代では預貯金の平均額は577万円となり、50代で1500万円の預貯金は同世代の2人以上世帯と比較しても大きな金額です。なお、すべての金融資産と合わせた平均は1386万円となっています。
単身世帯と比較すると?
単身世帯での貯金額の平均は442万円、すべての金融資産を含めた平均では1062万円です。
50代に限定してみると貯金額は486万円、金融資産の合計では1067万円と、それぞれ単身世帯全体の平均と大きな差はありませんが、1500万円は平均の貯金額と比べて3倍以上の金額です。
50代の時点で貯金を資産運用にも回すべき?
前述の調査の結果から多くの世帯では預貯金だけでなく、株式や投資信託、保険など、資産をさまざまな金融商品に分散して保有していることが分かります。では、50代の時点で貯金だけで1500万円の資産がある場合、それを老後に備えて異なる金融商品に分散しておくべきなのでしょうか。
この点については個別の状況によっても異なりますが、1500万円のうち、一部は他の金融商品に変えておいても悪くはありません。また、50代というタイミングで1500万円の貯金があっても、利息ではほぼ増えないことを考えると資産運用も選択肢に入ります。
老後もできるだけ長く働くことを考えているのであれば、万が一の際に必要な最低限のお金として生活費の1年分から2年分を残しておき、投資信託や株式を購入して資産運用を始めてもいいでしょう。
投資には自信がないが、できるだけ老後資金を確保したいという場合は、iDeCoやNISAといった制度を利用し、毎月数万円ずつ掛け金を拠出して資産形成を行う方法もあります。
50代で1500万円の貯金は一般的な平均よりも多い
老後に備えて50代の時点で1500万円をためたという場合、その貯金額はかなりのものです。総世帯だけでなく、どの世代の平均と比較しても預貯金としては抜きんでた金額であり、そのまま貯金を続けていけば老後貧困に陥る可能性は低いといえるでしょう。
今後も老後のお金について考えつつ、必要に応じて資産運用も検討してみてください。
出典
知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降) 各種分類別データ(令和3年)
知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成19年以降) 各種分類別データ(令和3年)
執筆者:柘植輝
行政書士