更新日: 2023.02.20 定年・退職
59歳で貯蓄は「2500万」です。60歳でリタイアしても暮らしていけますか?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
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ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
高齢者の毎月の平均支出額は約25万円
総務省統計局が2020年に行った調査によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における毎月の支出額は、消費支出が22万4390円、非消費支出が3万1160円です。合計すると、25万5550円です。
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老齢厚生年金の平均額は約22万円
多くの人にとって定年後の主な収入源は年金です。日本年金機構によると、2022年度における夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な老齢厚生年金額は月額21万9593円でした。2023年度は4889円引き上げられ22万4482円となります。この額から先ほど提示した毎月の平均支出額である25万5550円を差し引くと、毎月3万1068円が赤字になります。
とはいうものの、この金額は夫婦のどちらも65歳以降になったことで受け取れる金額です。もしも60歳以降働かないのであれば、60歳から65歳までの5年間は貯金を切り崩さなければなりません。その場合、「2500万円-25万5550円×60ヶ月」で966万7000円が貯金残額となります。そこで、966万7000円を3万1068円で割ると、312ヶ月目に貯金が底を尽きてしまいます。およそ26年です。
では、60歳から繰上げ受給をした場合にはどうなるでしょうか。繰上げ受給をした場合のひと月当たりの減額率は0.4%なので、60歳まで繰上げ受給すると受給額は76%となります。今回の場合は17万606円です。その場合、毎月の赤字額は10万1834円です。貯蓄額の2500万円を赤字額の8万4944円で割ると、294ヶ月目で貯金が底をつきます。およそ25年です。
収入額を増やす方法はある?
平均支出額だと貯金が底をついてしまうという人は、老後の収入額を増やす対策を考えましょう。主な方法は4つ挙げられます。
・就労する
まずは老後も何らかの仕事をして働くという方法です。勤務先に再雇用されたり新たに就職したりするほか、パートやアルバイトを始めたり、シルバー人材として登録したりすることで、定年退職後も何らかの働き口を見つけることができるでしょう。
・個人年金
公的年金とは別に、保険会社などが販売している個人年金に加入するのもひとつの方法です。個人年金保険料は生命保険保険料などと同じように所得税申告の際の所得控除になるメリットもあります。
・確定拠出年金
iDeCoに代表される確定拠出年金に加入するという方法もあります。確定拠出年金は毎月積み立てた資金を定期預金や保険、投資信託などによって運用し、その運用益を60歳以降に私的年金として受け取れるというものです。確定拠出年金も掛け金が所得税控除の対象になるほか、運用益や受給金も非課税となります。
・不労所得を得る
株や不動産に投資をすることで、働かなくても所得を得る可能性があります。ただし、投資にはリスクもあるので必ず所得が得られるわけではありません。始める際には自身の投資対象についてしっかり調べておくことが大切です。
悠々自適な暮らしのためにはあらかじめ準備をすることが大切!
貯蓄が2500万円あっても、平均的な年金収入額の場合には25年程度で貯金が底をついてしまう可能性があります。心配な人は自身の支出額を計算し、なるべく抑える工夫をするようにしましょう。また、老後の収入額を増やすために個人年金や確定拠出年金などに加入するのもおすすめです。収入額を増やすことができれば、それだけ安心して暮らすことができるでしょう。
出典
厚生労働省 令和5年度の年金額改定についてお知らせします
総務省統計局 総世帯及び単身世帯の家計収支
日本年金機構 年金の繰上げ受給
厚生労働省 私的年金制度の概要(企業年金、個人年金)
厚生労働省 iDeCoの概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー