「年収440万おひとりさま」ですが、「老後破産」のリスクはありますか? 貯蓄はいくら必要でしょうか?
配信日: 2023.02.24
そこで今回は、年収440万の単身世帯を例にして、老後破産のリスクを考えていきます。また、老後破産を避ける貯蓄のポイントも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
なぜ老後破産になるの? 原因を解説!
老後破産とは、定年後の年金生活で「破産状態」になり、生活が困窮することを指します。そして、老後破産後は、「生活保護」を申請する人が多いのです。厚生労働省によると、高齢者の生活保護の受給は増える傾向にあり、その約半数が単身世帯とされています。老後破産の原因には、主に以下の5つが考えられます。
1.老後の収入に生活レベルを合わせられずに赤字が増える
2.住宅ローンが定年後まで組まれている
3.晩婚化のため定年後まで教育費がかかる
4.医療費や介護費の負担が増える
5.退職金の資金運用が裏目に出る
一般的に定年後は現役時代よりも収入が減ります。にもかかわらず、現役時代と同じ生活を送ると収支が赤字になりがちです。住宅ローンを長期に組むと、定年後まで支払いが続くこともあるでしょう。
それに、晩婚により子を授かる年齢が高齢化し、定年後も教育費の支払いが必要な状況も増えています。また、高齢になり医療費や介護費が増えたり、よかれと思って運用した退職金が元本割れを起こしたりすることもあるのです。
独り身で年収440万円だと定年までにいくら貯蓄が必要? 老後破産のリスクは?
ここでは、独り身で年収が440万円の人が65歳で定年後、95歳で寿命を迎えた場合を例として考えます。結論からいうと、老後破産のリスクを避けるには、「定年までに約500万円の貯蓄」が必要です。
条件として、会社員として40年間(平成15年4月以降)厚生年金に加入し、年収の変動も賞与もないとします。すると、1年間に受給できる金額は、厚生年金が440万円÷12×5.769÷1000×480ヶ月で約102万円、老後基礎年金が78万100円、合計約180万円です。そのため、30年間に受給できる金額は、180万円×30年で約5400万円となります。
単身世帯が定年後に必要な生活費は、1ヶ月約15万円とされています。すると、95歳までにかかる生活費は15万円×12ヶ月×30年で約5400万円です。また、介護費用が5年間に500万円程度は必要になるとされています。以上から、95歳までに不足する金額は、5400万円+500万円-5400万円で、約500万円と算出されるのです。
老後に向けて貯蓄を殖やすポイントとは? 老後破産を避ける方法を紹介!
老後に向けて貯蓄を殖やすポイントは、主に以下の4つの方法を実行することです。
1.iDeCo
2.つみたてNISA
3.財形貯蓄制度
4.定期預金
iDeCoは掛け金を毎月積み立てる仕組みで、20歳以上60歳未満の国民なら誰でも加入可能となっています。ただし、60歳までは引き出せないことと、元本割れを起こすリスクがあるので注意が必要です。
つみたてNISAは少額での積み立ても可能で、資金運用による利益が年間40万円まで非課税となるメリットがあります。また、自動的に積み立てられるので、自分で投資のタイミングを考える必要がないのもメリットです。しかし、つみたてNISAも元本割れを起こす場合があるので注意しましょう。
財形貯蓄制度とは、給与から毎月定額を天引きする形で積み立てられていく制度のことです。ただし、「勤務先が財形貯蓄制度を導入している」必要があります。定期預金は普通預金よりも高い金利が設定されていて手数料が不要の上、元本割れのリスクもありません。
しかし、一定期間は引き出すことができず、利率もそれほど高くないのがデメリットです。
結論としては、勤務先に財形貯蓄制度があるなら加入して、その上でiDeCoやつみたてNISAをうまく運用していくのが、最も効果が高いといえるでしょう。余裕があるなら定期預金を利用するのも有効です。
貯蓄を殖やすポイントをおさえて老後破産を回避しよう!
独り身で年収が440万円あっても、定年までに約500万円の貯蓄がないと老後破産のリスクが高いことがわかりました。リスクを避けるには、定年になる前にiDeCoやつみたてNISAなどをうまく運用して、資産を増やしておくのが有効です。それに、勤務先の財形貯蓄制度や定期預金を利用するのも効果があります。うまくポイントをおさえて貯蓄を殖やし、老後破産を回避しましょう。
出典
日本弁護士連合会 消費者問題対策委員会 2020年破産事件及び個人再生事件記録調査
厚生労働省 生活保護の被保護者調査(平成30年度確定値)の結果を公表します
文部科学省 平成30年度子供の学習費調査の結果について
厚生労働省 主な年齢の平均余命
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部