【介護保険】「訪問介護」ってどんなサービス? 料金は?
配信日: 2023.03.08
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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介護サービスを利用するには
介護保険サービスを利用するには、市区町村に申請して「要介護認定」を受け、介護や支援が必要であると認定される必要があります。申請は65歳以上の方、40~64歳は16種類の特定疾病に該当する方が行えます。
結果の通知は申請から原則30日以内に届きます。認定結果は、非該当、要支援1・2、要介護1~5のいずれかです。要介護度により、利用できるサービスや月々の支給限度額などが異なります。支給限度額の範囲内であれば、利用者は所得に応じて費用の1~3割を自己負担として事業所に支払います。
要介護1~5と認定された方で、訪問介護などの居宅サービスを希望する方は居宅介護支援事業所に、施設への入所を希望する方は介護保険施設に連絡します。
要支援1・2と認定された方および介護予防・生活支援サービス事業対象者(事業対象者)は地域包括支援センターに連絡します。実際にサービスを利用するには、サービスを提供する事業所と契約し、ケアマネジャーにケアプランを作ってもらいます。
訪問介護(ホームヘルプ)とは
訪問介護は自宅で受けるサービスのひとつです。訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問し、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、生活全般の援助をするサービスです。
訪問介護員(ホームヘルパー)は、自治体、社会福祉協議会、各種団体、株式会社などさまざまなところで実施している「介護職員初任者研修課程」を修了した専門職です。家政婦(夫)ではありません。
ホームヘルパーは、要介護1~5の認定を受けた人を対象に、(1)食事・排せつ・入浴などの介助、自立支援のための見守り援助(身体介護)や、(2)掃除・洗濯・買い物・調理などの生活の支援(生活援助)を行います。
さらに、(3)通院などを目的とした乗車・移送・降車の介助サービス(通院等乗降介助)を提供する事業所もあります。通院などで通院等乗降介助を実施している事業所のタクシーを利用する際に、ホームヘルパーの資格を持つ運転手が、利用者の乗り降り、移動などの介助を行います。タクシーの運賃は自費になります。
要支援1~2の方には、介護予防・生活支援事業として、ホームヘルパーなどが自宅を訪問して介護予防を目的とした支援を行います。
生活援助を利用できる人
利用者に同居家族がいる場合は、家事などの生活援助サービスを原則受けることはできません。生活援助を利用できる人は、(1)利用者がひとり暮らしの場合、(2)家族に障害や疾病等がある場合、(3)家族等がやむを得ない事情で家事が困難な場合です。
やむを得ない事情とは、例えば、家族が介護疲れで共倒れ等の深刻な問題が起きてしまうおそれがある場合、家族が仕事で不在の時に家事を行わなくては日常生活に支障がある場合、家族が高齢で行うことが難しい家事がある場合などです。ケアマネジャーに相談してみましょう。
生活援助には回数制限がある
生活援助は、無制限に利用できるわけではありませんので注意が必要です。要介護度に応じて利用回数の上限が1ヶ月につき次のように定められていいます。
●要介護1:27回
●要介護2:34回
●要介護3:43回
●要介護4:38回
●要介護5:31回
2018年10月より、生活援助の利用回数の多いケアプランは、市区町村に届け出ることが義務付けられています。
なお、この届け出は利用者の自立支援・重度化防止等に資する、より良いサービスを検討することを目的としているものであり、生活援助中心型サービスが一定回数以上となったことをもってサービスの利用制限を行うものではありません。
ホームヘルプが利用できない場合
ホームヘルパーは、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう支援する専門職です。家政婦(夫)ではありません。したがって、次のサービスはホームヘルプで利用できません。
(1) 利用者への援助ではなく、家族のために行いこと
(2) ホームヘルパーが行わなくとも日常生活に支障のない行為
(3) 日常的に行われる家事の範囲を超える行為
例えば、利用者以外の家族のための家事、ペットの世話、草むしり・植木の手入れ、来客の応対、模様替え、自家用車の洗車、正月などの特別な手間のかかる調理、外食やカラオケ、映画鑑賞への同伴などはホームヘルパーに頼めません。
病院への通院に関しては、ホームヘルパーに通院のための往復を介助してもらうことは可能ですが、院内介助は原則介護保険の対象外となっています。また、医療行為をホームヘルパーは行えません。医療行為が必要な場合は訪問看護を利用します。ただし、血圧測定、体温測定、爪切りなどはホームヘルパーが行える場合もあります。
訪問介護の利用料金
訪問介護は、要介護度による費用の違いはありません。サービス提供に必要な時間、サービスの種類により料金が異なります。
20分未満:167円
20分以上30分未満:250円
30分以上60分未満:396円
60分以上90分未満:579円
以降30分ごと:84円
20分以上45分未満:183円
45分以上:225円
1回:99円
*上記は2021年4月からの料金
なお、上記は1単位10円、自己負担1割で計算しています。住んでいる市区町村によっても費用は異なります。また、夜間(18~22時)や早朝(6~8時)の利用などには追加料金が加算されます。
詳細は、お住まいの自治体に確認してみましょう。
出典
厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 どんなサービスがあるの?-訪問介護(ホームヘルプ)
東京都福祉保健局 介護保険制度パンフレット
平成17年7月26日付け 厚生労働省医政局長通知 医師法第 17 条、歯科医師法第 17 条及び保健師助産師看護師法第 31 条の解釈について(通知)
大阪市 「厚生労働大臣が定める回数及び訪問介護」の公布について
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。