更新日: 2023.04.11 定年・退職
60代からさらに延長になる? 定年の年齢は今後どうなる?
令和5年4月現在、事業主が定年年齢を定める場合には60歳以上とすることが義務付けられていますが、年齢は今後さらに引き上げられる方針です。
本記事では、定年年齢が今後いかにして変わっていくか、高齢者の雇用に関する法律を参照しつつ解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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高年齢者雇用安定法の改正で定年の延長が推進されている
定年の延長に関しては、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)という法律で方針や規則が定められています。
本法は改正が行われた上で令和3年4月1日に施行されており、厚生労働省によって改正の趣旨が発表されています。内容は、働く意欲のある高齢者の増加や少子高齢化社会に対応し、働きたい高齢者の能力を十分に発揮できるような環境を作るため、とされています。
ここからは、従来の高年齢者雇用安定法と改正後の高年齢者雇用安定法の違いを参照し、定年年齢の変化を解説します。
従来の高年齢者雇用安定法
平成25年4月に施行された従来の高年齢者雇用安定法では、65歳までの雇用確保は義務とされており、定年を定める場合には年齢を60歳以上に定めなければならないとされています。加えて、定年を65歳未満に設定している場合は、以下の施策のいずれかを講じることとなります。
●65歳までの定年引き上げ
●定年制の廃止
●65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
これらの施策を講じることは義務であり、従来の高年齢者雇用安定法は、65歳までの雇用確保を推進する法律であるといえるでしょう。定年への移行期間は2025年に設定されており、2025年4月からは65歳で定年とすることが義務化されます。
改正後の高年齢者雇用安定法
令和3年4月1日には改正された高年齢者雇用安定法が施行され、従来の65歳までの雇用を規定していた内容に加えて、70歳までの雇用に関する内容が多く盛り込まれました。
定年を65歳以上70歳未満に定めている事業主、もしくは65歳までの継続雇用制度を導入している事業主は、以下の措置を講じる努力義務が発生します。
●70歳までの定年の引き上げ
●定年制の廃止
●70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
●70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
●70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業
以上のうちのいずれかの施策を講じるように努めることが指示されています。ですが、これはあくまでも努力義務であり、定年年齢の引き上げを義務付けるものではないとされています。
今後さらなる定年年齢引き上げが予想される
高年齢者雇用安定法や、厚生労働省の発表している改正の趣旨を鑑みると、定年年齢は今後さらに引き上げられると予想されます。改正高年齢者雇用安定法によって定められた施策を行う企業が増えれば、社会全体として、定年年齢の引き上げを推進する流れは加速することでしょう。
高年齢者雇用安定法が定める措置の中に、定年制の廃止も存在することもあり、今後は年齢に縛られず、仕事を続けたいと希望する人が長く現役で活躍できる社会に変わっていくかもしれません。
定年年齢に関する今後の動向にも要注目
今回は、定年の年齢が今後どう変わっていくか、高年齢者雇用安定法を参照しつつ紹介しました。
少子高齢化や平均寿命の伸長により、近年、定年や高齢者の働き方に関する事情が大きく変化しています。法改正や新たな法律の制定が行われる可能性もあるため、今後も定年年齢に関する情報は欠かさずチェックするようにしましょう。
出典
厚生労働省 高年齢者の雇用
厚生労働省 高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~
厚生労働省 高年齢者雇用安定法の改正~「継続雇用制度」の対象者を労使協定で限定できる仕組みの廃止~
厚生労働省 高年齢者雇用安定法改正の概要
厚生労働省 70歳までの就業機会確保(改正高年齢者雇用安定法)(令和3年4月1日施行)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部