更新日: 2019.01.10 セカンドライフ
充実した老後生活のための選択肢のひとつ リバースモーゲージとは!
日本の平均寿命は男性でも80歳を超え、年々高くなる傾向にあります。高齢になると医療費も多くかかり、仕事をするにも体力的に厳しい場合も多いのが現実です。
その結果、年金受給だけでは生活が困難となったなどの理由から老後破産を起こすケースも多くなっています。
老後の資金が不足している高齢者が長年住み慣れたマイホームで生活しながら、自宅を担保としてお金を借りられる制度が「リバースモーゲージ」です。それでは、そのメリット・デメリットを確認してみましょう。
Text:高橋庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
リバースモーゲージとは?
リバースモーゲージは、英語で、「reverse mortgage」と書きます。リバースは「逆の」という意味で、モーゲージは「抵当権、担保」という意味です。
ちなみに、住宅ローンは、「mortgage (loan)」モーゲージローンですから、逆住宅ローンということになります。
その仕組みは、自宅に住み続けながら、不動産を担保に入れて金融機関から老後の生活資金の融資を受けるというもので、原則として、融資契約期間は、契約者の死亡により終了します。
契約者が死亡した後、担保物件である不動産を金融機関等が処分し、元利金を一括返済する仕組みです。
日本での歴史はまだそんなに長くないですが、最近では大手メガバンク(みずほ銀行、三井住友銀行、りそな銀行)などの参入や老後破産の増加などの問題を背景として認知度が高まっていることは確かです。
リバースモーゲージの種類
大きく、厚生労働省が管轄して市町村の社会福祉協議会(自治体)を窓口とするものと金融機関が取り扱うものの2つに分かれます。
社会福祉協議会を窓口とするリバースモーゲージは、貸付対象者として、市町村税の非課税世帯、または、均等割課税世帯程度の低所得世帯に限定されています。
つまり、生活に困窮している低所得者を対象としており、一定以上の所得がある方は対象外となります。
担保となる不動産は、一戸建てのほか、マンションでも一部利用可能ですが、融資限度額に違いがあり、不動産の評価額の50%~70%程度を上限として設定されます。
ただし、不動産に賃借権や抵当権が設定されていないことが条件となります。また、貸付対象年齢が原則65歳以上と金融機関よりも高めに設定されている点と使用使途が生活資金に限られる点などに注意が必要です。
金融機関の場合
それぞれの金融機関ごとに商品名称や条件が設定されており、一般的には社会福祉協議会の制度と比べて自由度が高いことが特徴となります。
資金使途が自由な商品の設定もあり、リフォームや旅行資金、投資など、好きなことに使用できるため、年金受給だけでは不足となる自由な資金として活用することが可能です。
また、対象年齢も55~60歳も対象とされるケースが多く、早期退職したサラリーマンの方も利用しやすくなっています。
リバースモーゲージを利用する場合の注意点
リバースモーゲージの契約の際に障害となるケースとして多いのが、推定相続人全員の同意が必要である点です。当然ながら、リバースモーゲージを利用した場合、契約者が死亡した時点で自宅が処分されるため、遺された遺族(相続人)の相続財産にはなりません。
また、想定以上に長生きすることによって融資額が積み重なり、融資枠を超えてしまうこともあります。さらに、土地評価額が下落したことにより元本割れとなり、金融機関から一括返済を求められるケースもあります。
もう一つの懸念事項として、契約者が死亡した後、配偶者が自分の住まいを確保する必要があります。この点については、当面の生活費や賃貸物件の家賃、引っ越し費用などの準備について生前から考慮しておく必要があります。
金融機関によっては、配偶者が継続して居住したい場合、一定期間(1年程度)居住できる特約があるものや別途借入金を返済したり、リバースモーゲージの契約を配偶者が引き継ぐことで、引き続き居住できるものもありますので、配偶者がどうしても長く住み慣れた家への居住を希望する場合には、契約する時点で、事前に十分な検討が必要となります。
まとめ
リバースモーゲージは、今後本格的な少子高齢化社会を迎え、利用が増えていくことが想定されます。
ご自身の家族構成や年金受給額、必要となる老後資金額などをしっかりと考慮した上で、生前より推定相続人(親族)とも話し合いの機会を持つようにしましょう。
また、取り扱い機関ごとのリバースモーゲージの特徴を理解し、ご自身に合った商品を選択することが大切です。
Text:高橋 庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー,住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士