更新日: 2023.05.18 セカンドライフ
高齢者が働きやすい職場づくりは会社にもメリット大 ~ 65歳超雇用推進助成金 (2)~
65歳超雇用推進助成金には3コースありますが、その中に、高年齢者の雇用管理制度の整備を行った事業主に経費の一部を助成する「高年齢者評価制度雇用管理改善コース」があります。
執筆者:林智慮(はやし ちりよ)
CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。
高年齢者評価制度雇用管理改善コース
知識が豊富で経験を積んだ技術者は、企業にとっても貴重な即戦力です。年齢を理由に雇用条件が悪化するのは、あまりにももったいないものですね。
事業主が、高年齢者が働きやすく、能力を発揮できるよう、以下のような雇用管理制度の整備等を行った場合、その経費の一部が助成されます。
(1) 高年齢者の職業能力を評価する仕組みと賃金・人事処遇制度の導入または改善
(2) 高年齢者の希望に応じた短時間勤務制度や隔日勤務制度などの導入または改善
(3) 高年齢者の負担を軽減するための在宅勤務制度の導入または改善
(4) 高年齢者が意欲と能力を発揮して働けるために必要な知識を付与するための研修制度の導入または改善
(5) 専門職制度など、高年齢者に適切な役割を付与する制度の導入または改善
(6) 法定外の健康管理制度(胃がん検診等や生活習慣病予防検診)の導入 等
(引用:厚生労働省 令和5年度65歳超雇用推進助成金のご案内/II高年齢者評価制度等雇用管理改善コース )
どんな費用が申請できる?
かかった費用すべてが助成金の支給対象とはなりません。支給対象となる経費は、雇用管理制度の導入するにあたって専門家に支払った委託費やコンサル料のほか、実施するに必要となる機器やシステム・ソフトウエアの導入にかかった費用です。
支給金額は、初回上限は費用の金額にかかわらず50万円、2回目以降は合計金額の60%(中小企業以外は45%)かつ50万円までです。
職業能力を評価する仕組みと評価に見合った賃金や扱い、働きやすい労働条件、さらに能力を発揮できるような教育や、胃がん検診や生活習慣病予防検診などの法定外の健康管理制度を導入して、高年齢者が能力を発揮できる環境を整えます。高齢者が能力を発揮できると、結果的に企業の業績向上につながります。
助成を受けるための要件
制度導入のためにコンサル料を支払って、システムを整えるだけでは、助成金の申請はできません。助成を受けるためには要件があります。
「雇用管理整備計画書」を計画開始の3ヶ月前の日までに、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長に申請し、計画内容の認定を受けている必要があります。
その後、計画に基づき実施した状況を明らかにする書類を整備し、要した支給対象経費を支給申請日までに支払う必要があります。計画実施期間は1年以内です。計画期間終了日の翌日から6ヶ月経過後、その翌日~2ヶ月以内に、高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長に支給申請をします。
その他に、以下の要件も必要です(65歳超継続雇用促進助成金各コース共通の要件)。
(1) 措置実施の6ヶ月前の日から支給申請日の前日までの間に、高年齢者雇用安定法第8条または第9条第1項の規定と異なる定めをしていないことや同法第10条の3第2項に基づく勧告を受けていないこと
(2) 支給申請日の前日において1年以上継続して雇用されている60歳以上の雇用保険被保険者が1人以上いること
今回は、制度の概要を簡単に解説しました。その他注意事項、支給対象経費、支給対象事業者、添付書類や制度の詳細につきましては、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構のホームページをご覧ください。
出典
厚生労働省 令和5年度65歳超雇用推進助成金のご案内
厚生労働省 65歳超雇用推進助成金
e-GOV 昭和四十六年法律第六十八号 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者