更新日: 2023.06.13 セカンドライフ

【老後の悩み】ずっと非正規雇用、月給20万円です。受給を遅らせて受給額を増やせば老後の生活費は足りますか?

執筆者 : 飯田道子

【老後の悩み】ずっと非正規雇用、月給20万円です。受給を遅らせて受給額を増やせば老後の生活費は足りますか?
非正規雇用で働いて月収20万円の場合、退職金は受け取れず、将来、受け取れる年金額についても不安を感じる人は少なくありません。その場合、年金を受給するタイミングを遅らせて年金額を増やすという方法を検討する人もいます。では、受給を遅らせたら、老後の生活費は足りるのでしょうか? 考えてみましょう。
飯田道子

執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。

https://paradisewave.jimdo.com/

年金の仕組みを知っておこう

年金を受給するタイミングを遅らせるというのは、「年金の繰下げ受給」という方法で可能であり、65歳で受け取らずに66歳以後75歳までの間で受給年齢を繰り下げて、増額した年金を受け取ることができるというものです。繰下げたことによって増額された年金額の増額率は一生変わりませんので、本来、受け取るべき年金総額よりも多く受け取り続けることがメリットです。
 
なお、老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰下げできますが、特別支給の老齢基礎年金に繰下げ制度はありませんので注意してください。特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢に達したときは、速やかに請求することが大切です。
 
繰下げできる期間は、1年以上1ヶ月単位で可能になっています。年金を66歳から受給を開始したときには、8.4%増額されます。たとえば65歳で受け取れる年金額、月額10万円の場合には、月額10万8400円を受け取ることができます。
 
繰下げの限度は75歳となっており、75歳から受給を開始したときには、84%が増額されます。上記と同じく年金額、月額10万円の場合には、月額18万4000円を受け取ることになります。
 
繰下げ増額率は、図表1のとおりです。どれくらい遅らせたらいくら受給できるのか、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
 
【図表1】
 

 
(出典:日本年金機構ホームページ)
 

本当に足りるの? まずはシミュレーションしてみましょう

最大で84%の増額が受けられるのは、ある意味、衝撃な金額かと思います。とはいえ、それだけの金額が上乗せできるのは、75歳から受け取る場合に過ぎません。まずは、上記の増額率早見表から、いくら上乗せすれば足りるのかをシミュレーションしてみてください。
 
たとえば42%上乗せしたい場合は、早見表では70歳となっていますので、70歳の年金受給を開始するまでにどのように収入を得て生活費を賄っていくのかを考えていかなければなりません。
 
最近では、以前の60~70代に比べて若々しい人が多いとはいわれていますが、体力や資産背景には当然のことながら個人差があります。仮に70歳まで年金受給を遅らせると決めた場合であっても、年金をもらわずに生活できるだけの収入や蓄えが備わっているかどうか、万が一生活パターンや健康状態が変わっても不自由はないかなど、さまざまなパターンを交えて検証しておく必要があるでしょう。
 
加えて、実際の年金受取額がいくらになるのかも、「ねんきん定期便」等で確認することも必要です。
 

繰下げ受給とあわせて収入も確保できないかも検討しよう

繰下げ受給は便利な制度であるものの、収入源をそれだけに頼ることは難しいのではないでしょうか。あらかじめ老後の生活費が足りないと分かっているのなら、今から少しでも良いので貯蓄をスタートさせ、老後の生活に備えていくことが大切です。
 
また、年金の受給を遅らせるといっても、限界があります。年金の繰下げ受給とともに、働いて収入を確保できないかも検討することも必要です。この場合は、あくまでも年金額の上乗せを目指すということになりますので、まずは月額+1~2万円を目指すなど、無理のない範囲で検討してみてはいかがでしょうか?
 
シニア向けの求人もいくつかありますので、無理のない範囲で働ける仕事を探してみましょう。
 
なお、年金の繰下げ受給をする際には、年金生活者支援給付金、医療保険・介護保険等の自己負担や保険料、税金に影響する場合があるなど、その他、細かい注意点があります。金額だけで判断するのではなく、社会保険事務所等に出向いて、どのようなメリット・デメリットがあるのかも知ってから、決めていきましょう。
 

出典

日本年金機構 年金の繰下げ受給

 
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

ライターさん募集