更新日: 2023.06.15 セカンドライフ
老後は一戸建てとマンションのどちらがよい? メリット・デメリットを解説
本記事では、老後の住居として持ち家と賃貸、および一戸建てとマンションのメリット・デメリットについて、生活面の快適さと経済面から解説します。併せて、要介護状態にない高齢者が利用できる、高齢者用住宅についても解説します。
執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/
老後の住居は持ち家か賃貸か
高齢者が過ごす住居として、持ち家と賃貸のメリット・デメリットについて解説します。なお、どちらを選択するにせよ、老後の家計収支を分析して、経済的に無理のない方法をとることをお勧めします。
1.持ち家のメリット・デメリット
(1)持ち家のメリット
・住宅ローン完済後は、住居費を抑えることができる
・資産として保有することができるため、リバースモーゲージローン(注1)やリースバック(注2)を利用して不動産を現金化することができる
(注1):自宅を担保に資金を借り入れ、死後に売却して一括返済するローン
(注2):自宅を一度売却し、賃料を支払って自宅に居住する方法
(2)持ち家のデメリット
・購入費用が必要となり、金融資産を減らすことになる
・住宅ローンの返済が続く場合がある
・住宅の手入れや管理が必要となる
・相続時に遺産分割などで問題が生じる可能性がある
2.賃貸のメリット・デメリット
(1)賃貸のメリット
・金融資産を残しやすい
・施設の管理は、家主が行うため手間がかからない
・相続時の問題が生じにくい
(2)賃貸のデメリット
・継続的に家賃の支払いが必要となる
・バリアフリー化などのリフォームをすることが難しい
老後の住居はマンションか一戸建てか
高齢者が過ごす住居として、一戸建てとマンションのメリット・デメリットについて解説します。
1.一戸建てのメリット・デメリット
(1)一戸建てのメリット
・住宅ローンを完済していれば、住居費を抑えることができる
・駐車場代がかからない
・マンションと比較して騒音が気になりにくい
・土地を資産として残すことができるため、住宅が古くなっても相続人が住宅を立て替えて、住みつづけることができる
(2)一戸建てのデメリット
・都会の一戸建て住宅は2階建てが多く、足腰が弱ると2階部分を使用することが困難となる
・玄関などの段差が多く、バリアフリー化が難しい
・築年数によっては、リフォームに経費がかさむ
・植栽の手入れなどが必要となる
2.マンションのメリット・デメリット
(1)マンションのメリット
・ワンフロアの構造が多く、階段がないため、バリアフリー化することが容易である
・共用部分のメンテナンスは、管理組合などが行うため手間がかからない
・エレベーター付きの物件であれば、外出が容易である
・セキュリティーがしっかりしている物件が多く、安心である
(2)マンションのデメリット
・管理費や修繕積立金など、住居費が継続的に必要となる
・駐車場代が別途必要となる場合がある
・隣家の騒音が気になることがある
老後の住居として選択できる介護施設
介護が必要になった場合は、特別養護老人ホーム(特養)や有料老人ホームなどの介護施設を利用することができます。一方、介護を必要としない自立する高齢者が利用できる高齢者用住宅として「サービス付き高齢者向け住宅」および「シルバーハウジング」があります。
1.サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅とは、バリアフリー構造など高齢者にふさわしい設備や安否確認サービスが利用できるなど、一定の基準を満たす住居です。都道府県などの登録を受けています。サービス付き高齢者住宅を利用する方法には、賃貸借方式と利用権方式があります(※1)。
2.シルバーハウジング
シルバーハウジングは、高齢者などの生活特性に配慮した、高齢者世帯向けの公的賃貸住宅です。地方公共団体、都市再生機構、住宅供給公社が供給しています。バリアフリー化された住居に併せて、生活援助員(ライフサポートアドバイザー)による日常生活支援サービスの提供を行っています。
まとめ
老後の住居としては、持ち家か賃貸かは意見が分かれるところですが、生活面・安全面といった点では、一戸建てよりもマンションの方を選択されるほうがよいでしょう。
また、バリアフリーの環境や見守りサービスなどが整った、サービス付き高齢者向け住宅やシルバーハウジングを選択肢に含めることもお勧めします。
出典
(※1)厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 サービス付き高齢者向け住宅について
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士