更新日: 2023.06.22 介護
養護老人ホームって何? 特別養護老人ホームとの違いは?
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
養護老人ホームとは
養護老人ホームは、環境上の理由および経済的理由により、家庭で養護を受けることが困難な原則65歳以上の高齢者で、市区町村長の措置により入所できる施設です。基本的に、介護がいらないか、軽度な介護者向けです。
1.高齢者のいる世帯が生活保護を受けているとき。
2.世帯の生計中心者が住民税の所得割を課税されていないとき。
3.災害などのためその世帯の生活の状態が困窮していると認められるとき。
1.住むところがなかったり、住むところがあっても極めて環境が悪かったりするとき。
2.家族などと折り合いがよくないとき。
・ 独居の高齢者
・ 無年金など経済的に困窮した方
・ 虐待を受けている高齢者
・ 要支援者
・ 要介護者
・ 身体的な障害をお持ちの方
・ 認知症や、精神的な障害をお持ちの方
・ 他の法律に基づく施設に入所できない高齢者
・ ホームレスの方
・ 以前に犯罪を犯した方
・ 賃貸住宅から立ち退きを受けた方
(公益社団法人 全国老人福祉施設協議会のパンフレットから引用)
入所を希望する方は、市区町村の役所・役場窓口、居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、民生委員、養護老人ホームなどに相談すると良いでしょう。入所の申し込みはお住まいの市区町村の役所・役場窓口で行います。
申し込みが行われると、市区町村が本人、その扶養義務者等に係る養護の状況、心身の状況、生計の状況その他必要な事項について調査が行われます。入所判定委員会が調査および本人の健康診断等に基づいて、措置の要否を判定します。入所判定委員会の報告により、市区町村長が入所措置の要否を決定します。
公益社団法人全国老人福祉施設協議会の調査を見ると、「措置を行うことで財政支出を懸念する市区町村が措置に消極的となり、結果的に福祉的支援を必要としているにもかかわらず措置される方(入所者)が少なくなる、いわゆる「措置控え」といわれる問題が長年指摘されている」としているので、入所のハードルは高そうです。
入所者は、食事の提供、健康面のチェック、その他日常生活上必要なサービスや自立・社会復帰に向けたサポートなどを受けられます。
要介護になったときは施設内で居宅サービスを受けます。住み替えが必要な場合もあります。ただし、特定施設入居者生活介護の指定を受けた養護老人ホームはホームの職員から介護サービスを受けられます。
ちなみに、特定施設入居者生活介護とは、特定施設に入居している要介護者を対象として行われる、日常生活上の世話、機能訓練、療養上の世話のことをいいます
月額費用は、前年度の個人の収入(公的年金等)から必要経費(医療費・社会保険料等)を差し引き、その金額を階層表に当てはめて算出した額です。14万円以内と安めです。入居金はありません。詳しくは市区町村にお問い合わせください。
特別養護老人ホームとは
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)は、身体上または精神上著しい障害があるために常時介護を必要とし、在宅での生活が困難な、原則、要介護3以上の高齢者に対して、生活全般の介護を提供する施設です。
入所者は、施設内の介護スタッフより、入浴、排泄、食事などの介護、その他の日常生活の世話、リハビリ、健康管理および療養上の世話を受けられます。
入居時の費用はありません。介護費用を含めた月額費用も8~13万円と安めです。低所得者には、食費や居住費の軽減措置があります。
まとめ
特別養護老人ホームは施設と利用者の契約によりますが、養護老人ホームへの入所については市区町村長の決定(措置)が必要です。
また、特別養護老人ホームは原則要介護3以上が要件ですが、養護老人ホームへの入所については原則、身体的に自立が要件です。よく確認しましょう。
出典
公益社団法人 全国老人福祉施設協議会 ホームページ
公益社団法人 全国老人福祉施設協議会 新着のお知らせ 養護老人ホームの被措置者数等に関する調査(令和元年度)
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。