更新日: 2023.06.30 セカンドライフ

60代で「貯蓄ゼロ」。退職金と年金があれば老後、生活していける?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

60代で「貯蓄ゼロ」。退職金と年金があれば老後、生活していける?
60代になると、老後に向けた生活資金の問題が、いよいよ現実味を持って迫ってきます。貯蓄が全くなく、退職金と年金をあてにしている人もいるでしょう。しかし、退職金と年金だけで、果たして 老後の生活費を十分に賄えるのでしょうか。
 
本記事では、国の調査をもとに、老後生活の平均的な収支を紹介して、貯蓄ゼロでも生活していけるかどうかを解説します。また、貯蓄ゼロから、老後の生活資金を確保するための対策方法もまとめました。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

老後に必要な生活費は65歳以上の夫婦の無職世帯で月20万円程度

総務省が公開している「令和4年 家計調査」の結果によると、世帯主が65歳以上で、無職世帯の可処分所得・消費支出の平均は、表1のとおりです。
 
【表1】

家族構成 可処分所得 消費支出 差し引き
二人以上 21万6253円 23万8919円 △2万2666円
高齢者夫婦のみ 21万4426円 23万6696円 △2万2270円
単身 12万2559円 14万3139円 △2万580円

 
収支ともに平均的な世帯の場合、毎月の家計収支は、赤字であることが分かります。退職金の金額が少ない場合、貯蓄ゼロの状態から、退職金と年金だけで老後の生活を賄うのは、難しくなる可能性があるでしょう。
 
また、65歳以上の夫婦のみの無職世帯を例に、消費支出の主な内訳をみてみると、以下のようになっています。
 

・食料:6万7776円
・住居:1万5578円
・光熱・水道:2万2611円
・家具・家事用品:1万371円
・被服・履物:5003円
・保健医療:1万5681円
・交通・通信:2万8878円
・教養娯楽:2万1365円
・雑費:1万9818円
・交際費:2万2711円
・仕送り:1334円

 
例えば、賃貸住宅に住んでいる場合には、上記よりも住居費が高額になることが予想されますし、冠婚葬祭などの出費がかさむときもあるでしょう。こうなると、老後の生活を、貯蓄なしで乗り切ることは、ますます厳しいと考えられます。

 

60歳貯蓄ゼロから始める老後対策

60代になった時点で貯蓄がゼロでも、本格的な老後に突入する、65歳以降の生活に向けた資金対策を講じることは、可能です。できる対策をしっかりとって、老後資金の不安を軽減しましょう。例えば、次のような対策方法が考えられます。
 

・固定費の見直しをする
・定年退職後も働く
・年金の繰下げ受給を検討する

 
それぞれをみてみましょう。

 

固定費の見直しをする

保険料や通信費、住宅ローンなどの固定費の見直しは、最も手軽にできる、老後資金対策のひとつです。現状にムダがないかを精査して、次のような対策をとりましょう。
 

・保険の保障内容を、必要なものだけに変更する
・携帯電話やインターネットのキャリアや通信プランを、安いものに変更する
・住宅ローンの借り換えや繰り上げ返済で、返済額を減らす
・賃貸住宅ならば、家賃の安い物件に住み替える

 

定年退職以降も働いて収入を確保する

健康面や体力面に問題がない場合は、定年後再雇用制度などを利用して、60歳以降もできるだけ長く働き、年金以外の定期的な収入を確保しましょう。毎月、少額ずつでも収入があれば、家計の不足分の補塡(ほてん)や貯蓄に回せます。
 
また、厚生年金保険に加入して働き続ければ、将来受け取る老齢厚生年金の支給額が、増えるという効果もあります。

 

年金の繰下げ受給も検討する

65歳以降も就労を続けて、すぐに年金をもらわなくても、毎月生活するには十分な収入を得られる場合は、年金の繰下げ受給も、あわせて検討するとよいでしょう。繰下げ受給をすることで、受給開始後に受け取れる老齢年金額が、最大84%もアップしますので、リタイア後の年金収入の底上げになります。
 
夫婦の場合は、夫婦のいずれかの年金を生活費にあてて、もう一方の年金を繰下げ受給して増やすということも、ひとつの手です。

 

貯蓄ゼロだと老後の生活費が足りない可能性が高い!

貯蓄ゼロのままで老後を迎えると、年金収入だけでは、生活費が足りない可能性があります。また、まとまった金額の退職金を受け取れたとしても、いざというときの備えを考えると、安心とは言い切れません。
 
60代の時点で貯蓄がゼロの場合は、家計の状況や、老後の働き方、年金の受け取り方の計画を見直して、老後資金に備える体制をつくる必要があります。老後生活における、毎月の収支をシミュレーションしてみて、どのような対策をとれば不足分を補えるのかを、よく検討しましょう。

 

出典

総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要(P17-19)
日本年金機構 年金の繰下げ受給
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 

ライターさん募集