更新日: 2023.07.14 介護
有料老人ホームとは?種類ごとの特徴、入居までの流れを解説
この記事では、有料老人ホームの種類や特徴、入居までの流れなどを開設します。最後まで記事を読み終えると、有料老人ホームに関する正確な知識が身についているはずです。
そして、皆さんやご家族にとって最適な有料老人ホームが見つかるでしょう。この記事で得た知識を基に、より良い有料老人ホームを探しましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
有料老人ホームとは?
有料老人ホームとは高齢者が入居し、以下のいずれかのサービス、または以下の複数のサービスを提供している施設を指します。
・食事の提供
・介護の提供
・家事の供与
・健康管理
平成12年の介護保険制度の創設により、民間事業者による有料老人ホームの運営が容易になりました。したがって、有料老人ホームは増加傾向にあります。
そのうえ、平成18年には老人福祉法が改正され、有料老人ホームの定義が従来よりも広くなりました。また、高齢化の加速による高齢者向けサービスの需要の高まりも、有料老人ホームが急増する理由の1つです。
有料老人ホームの種類
有料老人ホームは以下の3つの形態があります。それぞれの特徴をしっかりと理解しましょう。
(1)介護付有料老人ホーム
1つ目は介護付有料老人ホームです。介護付有料老人ホームとは、介護サービスを提供している有料老人ホームです。介護が必要な入居者も特定施設入居者生活介護を利用して、介護サービスを受けられます。
なお、国から特定施設入居者生活介護の認定を受けていない施設は、「介護付」と表示できません。自立要介護5に該当する方が入居可能です。
(2)住宅型有料老人ホーム
2つ目は住宅型有料老人ホームです。住宅型有料老人ホームとは、生活支援サービスが提供される提供される高齢者の居住施設です。介護が必要になった場合は、訪問介護サービスの利用によって、入居を継続できます。自立要介護5に該当する方が入居可能です。
(3)健康型有料老人ホーム
3つ目は健康型有料老人ホームです。健康型有料老人ホームとは、食事等の生活サービスが提供される高齢者向けの居住施設です。自立要支援2に該当する方が入居可能であり、入居中に介護が必要になった場合は、退去する必要があります。入居者は生活サービスを受けながらも、自由な時間を多く過ごせます。
有料老人ホームと他施設との違い
次は、有料老人ホームと混同されやすい他施設との違いを紹介します。他施設との違いを抑えることで、有料老人ホームの特徴をより正確に理解できるでしょう。
特別養護老人ホームとの違い
有料老人ホームと特別養護老人ホームには、大きく分けて4つの違いがあります。
運営団体
1つ目の違いは運営団体です。有料老人ホームは民間企業が運営しているのに対し、特別養護老人ホームは自治体や福祉団体が運営しています。有料老人ホームは提供可能なサービス内容が幅広い一方、公共団体が運営する特別養護老人ホームはサービス内容が画一的な傾向があります。
サービス内容
2つ目の違いは提供しているサービス内容です。有料老人ホームでは生活や介護支援だけではなく、リハビリテーションや様々なレクレーションにも注力している傾向があります。もちろん、有料老人ホームと分類される施設であってもサービス内容は様々です。
その一方、特別養護老人ホームでは、生活や介護支援を中心としたサービスが提供されています。一般的な有料老人ホームと比較すると、リハビリテーションやレクレーションに注力しない傾向があります。
費用
3つ目の違いは費用面です。施設によって異なりますが、一般的には有料老人ホームを利用するための費用は高額として知られています。1000万円以上の入居一時金が必要なケースも珍しくありません。
その反面、特別養護老人ホームに入居する際は、原則として入居一時金は必要ありません。有料老人ホームと比較すると、月額料金も安い傾向があります。
また、入居者自身や家族の所得によって、費用負担が軽減されるシステムがあります。したがって、特別養護老人ホームの人気は高く、入居希望者が多いため入居までに数年間待つケースもあります。
入居条件
4つ目の違いは入居条件です。有料老人ホームでは、施設によって入居条件が様々です。その反面、特別養護老人ホームは原則として要介護3~5の方しか入居できません。
なぜなら、特別養護老人ホームは重介護者のケアに注力しているためです。なお、特例で要介護1~2の方も入居できるケースがあります。
グループホームとの違い
次は、有料老人ホームとグループホームの違いを抑えましょう。両者は混同されやすい施設のため注意が必要です。
運営団体
1つ目の違いは運営団体です。有料老人ホームは民間企業が運営するのが一般的なのに対して、グループホームは民間企業だけではなく公的機関が運営しているケースがあります。
サービス内容
2つ目の違いはサービス内容です。特に医療サービスの充実度が大きく異なります。有料老人ホームでは、介護スタッフや看護師による健康管理のみではなく、医師や歯科医の訪問診察が定期的に実施されるケースが多いです。その反面、グループホームでは健康管理や通院の補助等がメインの医療サービスになっています。
したがって、有料老人ホームの方が医療サービスが充実しているケースが多いです。また、有料老人ホームでは介護者3名に対して、看護師1名以上の配置が義務付けられています。グループホームでは同様の規定はありません。
費用
3つ目の違いは費用面です。一般的に、有料老人ホームの方がグループホームの費用よりも高額です。特に入居一時金の金額に差が出る傾向があります。
前述のとおり、有料老人ホームの入居一時金は1000万円を超えるケースが珍しくないのに対して、グループホームの入居一時金は数十万円程度の場合が多いです。
入居条件
4つ目の違いは入居条件です。有料老人ホームの入居条件は、施設によって多岐にわたります。自立の方から介護度が高い方まで様々な方が入居しています。また、入居可能な年齢も施設によって定められています。
その一方、グループホームに入居条件は、専門医から認知症の診断を受けている要支援2以上である点です。原則として65歳以上しか入居できませんが、特定の疾患を患っている場合は65歳以下でも入居可能なケースもあります。
サービス付高齢者住宅との違い
次は、有料老人ホームとサービス付高齢者住宅の違いを説明します。一見同じ施設に見える施設同士ですが、以下のとおり5つの違いがあります。しっかりと理解しましょう。
サービス内容
1つ目の違いはサービス内容です。有料老人ホームでは一般的に介護や医療サービス、食事等が提供されます。その一方サービス付高齢者住宅では、専門スタッフによる入居者の状況把握と生活相談が主要なサービスです。
なお、食事提供をはじめとする生活支援サービスは、選択可能なオプションとして用意されている施設が多いです。サービス付高齢者住宅では自立して生活できる入居者が多いため、原則として入居者自身が食事を用意することが求められます。
老人福祉法上の有料老人ホームに要件になっているサービスを提供している場合、そのサービス付高齢者住宅は有料老人ホームとみなされます。
生活様式
2つ目の違いは生活様式です。有料老人ホームの場合、一日のスケジュールはあらかじめ決められています。入居者は入居する施設のスケジュールやルールに従い、生活する必要があります。
その反面、サービス付高齢者住宅は自由度が高い生活を実現できます。また、サービス付高齢者住宅は浴室やキッチンも自室に備え付けられているため、自宅に住んでいるかのような生活ができるでしょう。
その一方、サービス付高齢者住宅においては、有料老人ホームのようなレクリエーションは用意されていない場合が多いです。したがって、有料老人ホームと比較すると他の入居者と交流する機会は少ないと言えます。
入居条件
3つ目の違いは入居条件です。有料老人ホームは施設によって入居条件は様々です。自立~要介護者5に該当する方まで、それぞれが入居可能な施設があります。一方のサービス付高齢者住宅は、原則として自立可能な方を入居対象としており、自立可能な高齢者が安心して生活するための施設です。
居住面積
4つ目の違いは、登録基準として定められている居住面積です。有料老人ホームでは、各専用部分の床面積が13㎡以上である点が義務づけられています。
その一方、サービス付高齢者住宅は原則25㎡の各専用部分の床面積が必要であり、有料老人ホームよりも必要な床面積が広く設定されています。ただし、一定の条件を満たす場合にのみ、床面積18㎡以上あれば認められるケースもあります。
契約形態
5つ目の違いは契約形態です。有料老人ホームでは、利用権方式と呼ばれる契約形態が一般的です。利用権方式とは、入居一時金を支払う代わりに、施設を利用する権利やサービスを受ける権利を得ます。
その一方、サービス付高齢者住宅では建物賃借方式が一般的です。通常の賃借契約と同様に月々の賃料を支払い、部屋を借りる契約形態です。介護サービス等の料金は含まれていないため、必要であれば別途契約が必要になります。
有料老人ホームに入居するまでの流れ
ここでは、有料老人ホームに入居するまでの一般的な流れを紹介します。施設によって入居までの流れは異なりますので、入居希望の施設に必ず確認しましょう。以下の流れは、あくまでも一例となります。
問い合わせ・資料請求
1つ目のステップは、入居を希望する施設への問い合わせです。電話のみではなく、ホームページからも問い合わせを受け付けている施設が多いです。また、施設のホームページを確認しても分からない点は、あらかじめピックアップしておくといいでしょう。
最近ではWEB会議システムを利用したオンライン相談会を開催している施設もありますので、積極的に利用しましょう。
見学
2つ目のステップは、入居を希望するホームの見学です。あらかじめ見学の予約を取得したうえで、入居希望の施設を見学します。見学の際には、スタッフから設備・サービス内容の紹介を受けられることが一般的です。皆さんご自身やご家族が生活する施設になるため、可能な限り見学は行いましょう。
また、施設によっては一定期間の体験入居が可能です。体験入居は、施設でのリアルな生活を知る貴重な機会です。見学と合わせての利用を強くおすすめします。「こんなはずじゃなかった」という入居後に感じるギャップを最小限に減らせるでしょう。
申込み
3つ目のステップは施設への申込みです。見学や体験入居後、入居の意思があれば申し込みを行いましょう。申し込み後、施設は部屋の確保を行います。面談の日程も申し込みの際に決めるケースが一般的です。
入居審査
4つ目のステップは施設による入居審査です。入居予定者の心身の状態、必要な医療サービス等を考慮したうえで、審査の合否を決定します。
契約において連帯保証人が求められるケースは、連帯保証人も審査の対象になります。仮に審査に不合格となった場合においても、不合格の理由を確認し、今後の施設選びに活かしましょう。
面談
4つ目のステップは、施設スタッフとの面談です。施設スタッフが入居予定者の自宅や入院中の病院を訪問し、健康状態のヒアリングを実施します。入居後に必要なケアを伝えるため、些細な点でも施設スタッフに報告しましょう。
なお、入院中の病院で面談を行う場合、入居予定者の健康状態を良く把握している主治医や看護師に同席して貰うのも良いでしょう。
契約
5つ目のステップは契約です。懸念点がある場合は、契約前に施設スタッフに確認する姿勢が重要です。契約の際には、施設スタッフより重要事項の説明を受けます。
入居
6つ目のステップは入居です。あらかじめ決定した入居日に入居します。入居者が持ち込む必要のある生活雑貨や日用品は、施設によって異なります。新しく購入が必要なものもあるでしょう。準備が必要なものをあらかじめ確認しておき、入居日までに漏れがないよう準備しましょう。
費用
次は、入居にあたって必要な費用を紹介します。有料老人ホームの費用は、原則として入居一時金と月額料金に分かれます。具体的な金額は施設によって異なりますので、入居予定の施設に確認しましょう。
一般的に、入居一時金は数百万円~数千万円のケースが多い傾向にあります。なお、月額料金は数十万円の施設が多いです。また、入居一時金無しで入居可能な施設もあります。有料老人ホームの入居一時金の支払いが困難な方は、入居一時金無しの施設を探してみましょう。
有料老人ホームを選ぶ際に知っておきたい点
最後に、老人ホームを選ぶ際に知っておきたい点を5つ紹介します。以下のポイントに留意して、皆さんやご家族に合う有料老人ホームを選びましょう。
入居者が亡くなった場合の施設の対応
入居者が亡くなった場合、施設スタッフが身元引受人に連絡します。多くの施設においては、施設スタッフが葬儀の手配や居室の受け渡し等のサポートを実施します。入居契約前に、入居者が亡くなった場合の対応を施設に確認しておきましょう。
入居後の居室変更
入居者側の理由による居室変更の可否は、施設の入居規定によります。入居規定において居室変更が認められていない場合は、一般的に契約解除したうえで再度契約締結する必要があります。入居契約の際、居室変更の可否を確認する姿勢が重要です。
連帯保証人は必須?
施設によっては、金銭債務を履行する責任を負う連帯保証人が必須のケースもあります。また。施設によっては個人の連帯保証人を求めず、保証会社を利用できるケースもあります。入居予定者が個人の連帯保証人を立てることが難しい場合は、保証会社を利用できる施設を探しましょう。
認知症を理由に退去を要求される?
一般的に、認知症を理由に退去を要求する施設は多くありません。しかし、入居者や職員の生命を驚かす危険性がある場合は、退去を要求されるケースが一般的です。
施設側が退去を求める条件は、入居規約に記載されていますので確認が必要です。また入居契約前に、今まで強制退去になった事例をスタッフに確認するのも良いでしょう。
退去時に原状回復費用は必要?
通常の方法で居室を使用していた場合の損傷等に関しては、原則として入居者が原料回復費用を負担する必要はありません。
しかし、入居者に過失がある損傷等の場合は、原状回復費用を請求されるケースが多いでしょう。原状回復費用の取り決めは施設によって異なりますので、入居契約前に確認しましょう。
食事制限に対応してもらえるか?
入居者の食事制限に対応してもらえるかは、施設によります。食事制限が対応可能な施設では、入居者の主治医の指示に基づき栄養士がメニューを考案するケース等があります。また、施設によっては治療食対応に費用がかかるケースもありますので、あらかじめ施設に確認しましょう。
まとめ
この記事では有料老人ホームの特徴と種類、契約までの流れや類似施設との相違点を開設しました。最後に記事の要点をおさらいしましょう。
有料老人ホームには、3つの種類があるため、入居予定者の健康状態に合わせて選択可能です。また、経済的な理由で有料老人ホームへの入居が難しい場合、費用が抑え目な特別養護老人ホームを検討しましょう。
また、入居する有料老人ホームを決める際、見学のみでなく可能であれば体験入居も利用しましょう。なぜなら、契約前に体験入居することによって、正式に入居した後に感じるギャップを最小限にできるからです。
この記事を読み終えた皆さんは、有料老人ホームに関する知識が身についているはずです。自信をもって、有料老人ホーム選びに臨みましょう。そして、皆さんご家族に合った有料老人ホームに入居し、豊かな時間を過ごしましょう。
出典
厚生労働省 有料老人ホームの概要
厚生労働省 有料老人ホームの類型
厚生労働省 参考資料(介護老人福祉施設)
厚生労働省 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
厚生労働省 認知症高齢者グループホーム
厚生労働省 サービス付き高齢者向け住宅について
一般社団法人高齢者住宅協会 入居あれこれ
一般社団法人 全国介護付きホーム協会
全国有料老人ホーム協会
老人ホーム・介護付きホーム紹介センター 平成18年度有料老人ホーム改正のポイント
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー