更新日: 2023.07.14 介護
介護施設の費用はどれくらいかかる?サービス開始までの流れと合わせて解説
介護施設によって特徴や対応しているサービス内容も違うため、介護施設の活用を検討しているなら違いについては把握しておきましょう。提供されているサービス内容が違うことから、どれくらいのサポートが必要かによっても利用するべき介護施設を選ばなければいけません。
介護施設によって対応しているサービスが決められているため、自分の希望に合っていない介護施設を選んでしまうとサービス内容に満足できないかもしれません。
そのような事態を避けるためにも介護施設ごとの特徴について把握して、状況に合わせて直接見学や体験をしてみるのが大切です。どうしても実際に自分の目で見てみなければ雰囲気が合っているかもわからないため、多くの介護施設では見学や体験は随時受け付けています。
本記事では、介護施設にはどのような種類や特徴があるかに加えて、介護施設のサービス開始までの流れについて合わせて解説するので参考にしてみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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介護施設の種類と特徴について
介護施設の種類と特徴について把握するのが自分に合っている介護施設を見つけるためには必要です。それぞれの介護施設では主なサービス内容が違うため、人によってはサポートが物足りないと感じてしまうかもしれません。一方で自分である程度の日常動作を問題なくできる人からすれば、過剰なサポートが用意されていると思う可能性もあります。
どの介護施設が合っているかは人によってそれぞれですので、同じ介護施設でもサービス内容が合っている人もいれば、合っていない人もいるでしょう。そのため、自分が合っていないからといって悲観的になる必要はなく、他の介護施設を探すことが大切です。
同じタイプの介護施設であっても施設設備や立地などであまり気に入らないケースも多く、焦って介護施設を探して入居するのはおすすめできません。介護施設の主な種類としては、以下の6つが挙げられます。
1.特別養護老人ホーム
2.ケアハウス
3.グループホーム
4.住宅型有料老人ホーム
5.サービス付き高齢者向け住宅
6.介護付有料老人ホーム
入居希望者の健康状態や要介護によっても適している介護施設は違うため、特徴や主な対象となっている人物について理解するようにしましょう。条件によってはそもそも入居が認められないので、自立しているか要介護認定を受けているかでも違います。それぞれの介護施設の特徴について解説するため、これから介護施設に入居を検討している方は参考にしてみてください。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームは公的に運営されているため、他の介護施設よりも安い費用で利用できるのが特徴です。介護保険サービスが適用され、入居者の終の棲家になるように看取りが導入されている施設も少なくありません。
公的に運営されている介護施設であるため、入居条件は在宅での生活が困難になった要介護3以上の高齢者が入居できます。(要介護1.2でも特例によって入居できる場合有り)
特別養護老人ホームでは介護スタッフが24時間常駐しており、介護において必要なサポートが適切に受けられるでしょう。また、長期入所が前提とした施設になっているため、特別な事情が発生しない場合は終身にわたって入所できます。公的に運営されている施設で民間企業に比べると倒産のリスクが低く、安心して終の棲家として暮らせるでしょう。
費用が一般的な介護施設よりも低く抑えられるので、入居希望者が多くて地域によっては入居できるまで時間がかかります。また、入居順も申し込みをした順番ではなく、介護度や家族の状況などを総合的に判断して決められるため、申し込みをしていつ入所ができるかわかりません。
ケアハウス
ケアハウスは家庭での生活が困難な60歳以上の高齢者を対象としており、社会福祉法人や地方自治体・民間企業が運営しているものがあります。軽費老人ホームの1つとして挙げられ、食事サービスや介護サービスが提供されているものが多いです。ケアハウスには主に「自立型」と「介護型」の2種類が存在しており、それぞれ対象としている高齢者が違います。
自立型では食事や洗濯などの生活支援サービスが受けられ、自立的な生活には不安があっても自分で日常生活に必要な動作ができる方が中心です。自立型は積極的な介護が必要ではない高齢者が入居しているため、要介護度が高くなると利用が難しくなります。
一方で介護型は65歳以上で要介護度1以上の高齢者が対象となっており、自立型と同様の生活支援サービスに加えて入浴や排泄などの生活介護サービスを受けることが可能です。自立型では要介護度が上がると継続した入居が難しいですが、介護型では要介護度が上がっても継続して利用できるものもあります。
ケアハウスも比較的利用料が安く抑えられるため、入居希望者が多くてなかなか入居できないケースも珍しくありません。
グループホーム
グループホームは知的障害者や認知症高齢者などが専門スタッフからのサポートを受けて、自立的に生活できるように集団で生活する介護施設です。
グループホームでは5人から9人程度のユニットで共同生活を送って、コミュニケーションを取りながら家事などを役割分担して生活します。グループホームは基本的な考え方として共同生活を送る施設であるため、掃除や洗濯などの家事は役割分担しながら自分たちでしなければいけません。
認知症の方は環境の変化などに敏感に反応する傾向にありますが、少人数で慣れた環境を作ることで日常において大きな変化を起こさずに落ち着いて生活ができます。
日常生活で毎日のように変化が発生していると、心身ともに不安定な状態になって認知症を悪化させてしまうケースは少なくありません。認知症の悪化などを防ぐためにさまざまな工夫がされており、ストレスを感じないように安心して暮らせる環境を整備しています。
グループホームでは一人一人が自立した生活を送れるようなサポートをしており、さまざまな体験から潜在的な能力を引き出して失いかけた能力を呼び戻すことも目的です。グループホームへの入居条件は認知症の診断を受けていて、それぞれの施設の要件を満たしている必要があります。
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは自立ができている高齢者、要支援もしくは要介護度が低い高齢者を対象としている介護施設です。
そのため、基本的には自分自身である程度は身の回りのことができる方が入居者であり、主なサービスとしては食事の提供や掃除などの生活支援サービスといえます。施設内では住宅型有料老人ホームからの介護サービスは提供されておらず、介護サービスを利用する場合は外部サービスの利用が必要です。
自立ができている高齢者や要介護度が高くない高齢者が入居しているため、さまざまな娯楽施設が併設されている施設も少なくありません。他にも決められている時間までに戻ってくるなら自由に外出できたり、申請をしておけば外泊したりしても大丈夫です。
施設内の設備などはそれぞれで大きく異なっているため、数百万円から数千万円の入居一時金が必要な高級老人ホームではホテルのような内装をしています。
中には自立ができていて外部の介護サービスをまったく利用していない方も多く、一人暮らしで問題が発生したときに対応できないから住宅型有料老人ホームに住むケースも少なくありません。入居するための難易度もあまり高くないため、自分自身の資産状況に合わせて入居する施設を選びます。
サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅は賃貸形式の住宅になっていて、安否確認や生活相談などのサービスが提供されているのが特徴です。近年ではサービス付き高齢者向け住宅が増えたため、入居待ちになる可能性も低くすぐにでも利用できます。
住宅によって想定している入居者もさまざまであるため、自立ができている元気な高齢者を対象としていたり、介護対応が必要な高齢者の方を対象にしていたりとさまざまです。
そのため、入居前には自分が希望しているサービスが提供されているか確認して、どのサービス付き高齢者向け住宅に入居するか判断します。基本サービスとしては定期的に施設巡回して各部屋を訪問する安否確認、生活をする中で困っていることを相談できる生活相談サービスです。
ただし、要介護度が高い人でも住めるような介護サービスを併設している施設もあり、訪問介護・デイサービスなどが併設されているケースもあります。
サービス付き高齢者向け住宅では建物内は段差などがなく、移動しやすいように動線が意識されているバリアフリー造りです。外泊や外出に関してのルールが設けられていない場合が多く、あくまでも賃貸物件に定期的に安否確認に来るといったイメージになります。
介護付有料老人ホーム
介護付有料老人ホームは24時間介護スタッフが常駐して、身の回りの世話や介護サービスが受けられる介護施設です。サービス内容や費用については介護付有料老人ホームによって異なり、費用を低く抑えたい場合はサービス内容などもシンプルになる傾向にあります。
基本的には民間企業が運営しているので、サービス内容については施設ごとに大きな違いがある点は把握しておきましょう。
入居してから看取りまで対応してくれている施設が多く、寝たきりの方や認知症の方まで幅広く対応しているのが特徴です。自立から要介護5の方まで入居ができるため、これから介護施設を探す方はとりあえず受け入れの幅が広い介護施設として活用されます。ただし、介護付有料老人ホームは介護が前提となっており、自立している方や要介護度が低い方には不向きです。
ただし、介護付有料老人ホームは主に介護専用型・混合型・自立型に分けられるため、自分がどれくらい生活を自分で対応できるかによって適している施設は違います。注意点としては自立型の介護付有料老人ホームは少なく、理由としては自立できている方は他の介護施設を選ぶ傾向にあるためです。
介護施設の費用支払い方法
介護施設の費用支払い方法はそれぞれの施設によって違い、前払い金がない介護施設もあれば、前払い金が絶対必要になる施設もあります。基本的な費用支払い方法については以下の3つが挙げられますが、まとまった資金があるかどうかで入居する施設も異なるでしょう。
1.全額前払い方式
2.月払い方式
3.一部月払い方式
それぞれの支払い方法について把握しておかなければ、介護施設に入居後に思わないトラブルなどの原因になります。どの費用支払い方法であってもメリット・デメリットが存在しているため、メリット・デメリットについては先に確認が重要です。それぞれの介護施設の費用支払い方法について把握して、どの方法を取っている介護施設への入居をするか検討してみましょう。
どの方法を選択しても中長期的な支払いが必要になると考えて、月額料金なども含めて最終的にはどれくらいの支払いになるかは先に計算するのがおすすめです。どの介護施設でも費用の支払いができないと問題が発生するため、ある程度は余裕を持って支払いができる施設を選びます。
全額前払い方式
全額前払い方式は入居時に入居金をすべて支払う方式になっているため、まとまった資金を持っていなければ支払いができません。しかし、入居時には家賃を全額支払っていることから、入居後には家賃負担がないので毎月の費用負担は大きく抑えられます。支払いは想定入居期間に応じて設定されていますが、想定入居期間を越えたとしても追加で家賃を支払う必要はありません。
注意点としては全額前払い方式で支払っているのは家賃だけであるため、毎月かかる管理費や食費などは支払う必要があります。全額前払い方式は最初にまとまった金額を支払うことから、一時的に経済面で大きな負担がかかってしまうのは避けられません。
また、最初の段階で持っている資産をすべて使ってしまえば、後からなにか起きた時に支払い能力が足りなくなる可能性も考えられます。
入居時の支払いは十分にできるだけの資産を持っていれば問題ないと思うかもしれませんが、将来的に支払いが必要になる可能性も視野に入れておきましょう。
月払い方式
月払い方式は入居時に前払いをおこなう必要はなく、介護施設で設定されている毎月の利用料金を家賃含めて支払っていきます。入居時の負担はまとまった支払いがないため、最初にまとまった資金を確保するのが難しいなら月払い方式がおすすめです。入居時の負担が少ない部分はメリットといえますが、どうしても月額利用料は高くなります。
そのため、入居時には問題なく月額利用料を支払うには問題ない収入があっても、経済状況が悪化してしまうと毎月の支払いができなくなる可能性もあるでしょう。どの介護施設であっても月額利用料の支払いができなくなれば、施設から出ることになります。月払い方式では支払い能力ギリギリの介護施設を選択するのは避けるべきです。
年金は基本的にそれほど大きく変動するケースはあまりありませんが、どうしても毎年少しずつ受給額は変動するのは把握しておきましょう。入居の継続が難しくなってしまうと新しい介護施設を探す必要も考えられ、そうならないためにも収入と支出のバランスは判断します。
一部月払い方式
一部月払い方式は想定される居住期間の家賃合計額の一部を入居時に前払いする方式ですが、全額支払いをする必要はないので全額前払い方式よりも負担は少ないです。
しかし、一部前払い方式では全額前払いとは違って、毎月一定額の家賃支払いが発生します。家賃の一部は入居時に支払っているので毎月の家賃支払いは低く抑えられますが、それ以外にも毎月の利用料支払いはしなければいけません。
考え方でいうと全額前払い方式と月払い方式の中間の方法であり、どちらのメリット・デメリットも持っているといえます。
そのため、介護施設に入居する段階である程度はまとまった資金が必要であるのに加えて、介護施設に入居した後も月額利用料を支払い続ける収入が必要です。入居時の支払い金額に加えて月額利用料を考えて、中長期的に支払うのが問題ないかどうか考えなければいけません。
介護施設を利用する基本的な流れ
介護施設を利用する基本的な流れについてはどの介護施設でも同じですが、細かい部分についてはそれぞれの介護施設で違います。最初に問い合わせをして入居できる部屋に空きがあるか確認し、現時点で入居できるかできないかについて把握が大切です。ただし、希望している介護施設が満員の場合で入居できる空きがないなら、入居できるまで待機する方法もあります。
問い合わせをしてからは見学や施設体験をして、入居を希望している介護施設が自分の考えなどに合っているか身を持って知るようにしましょう。客観的には非常に優れていても、どうしても自分には雰囲気が合わない可能性は十分に考えられます。見学や体験ができる場合はできる限り参加しておいて、入居後にミスマッチが起きないように注意しましょう。
見学や体験をして雰囲気などに問題が無ければ契約して入居に進みますが、契約する前には身元引受人や保証人も一緒に説明を受けなければいけません。理由としてはなにか問題が発生してしまった際には、身元引受人や保証人が入居者の身辺整理などに責任を持つ必要があるからです。そのため、入居者本人だけでなく身元引受人や保証人も一緒に説明を受けて、契約に同意します。
契約時にはさまざまな資料の提出が必要になるケースも多く、実際にどのような資料が必要になるか確認して忘れないようにしましょう。必要になる書類としては要介護認定を受けている場合や、自立している場合などで異なる点は理解が必要です。契約してから入居になりますが、生活に必要になる生活必需品などは準備します。
介護施設を退所する可能性もある
介護施設は入所してからずっと住み続けられるものもあって、終の棲家として入所している場合でも退所する可能性もある点は頭に入れておきましょう。
介護施設を退所するケースはさまざまですが、多くの場合は介護施設内で暴力を振るってしまったり、暴言を吐いてしまったりなどして他の入居者に迷惑をかけた場合です。どの介護施設でもいえることですが、入居者は安心して過ごせる環境として選んでいます。
そのため、他の入居者の安心して過ごせる環境を脅かした場合、施設内の安全を守るためにも退所させられるケースは少なくありません。どれくらいの暴力を暴言を基準にするかは施設によって違いますが、基本的には一度でもそういった行為をすると退職も考えられます。
他にも要介護度が上がった場合も退所になるケースがあり、介護施設で設定されている受け入れられる要介護度を上回った場合は他の介護施設への入居が必要です。
当然ですが入所した後に決められている費用を払えなくなっても退所になりますが、費用を自分で払えなくなっても身元引受人や保証人が支払うなら問題ありません。また、長期の入院でも退去理由となっているため、入院が長引いて施設に戻れないのは精神的にもダメージが大きいです。
さまざまな理由で介護施設を退所する可能性も考えられ、契約する際にはどのような条件で退所しなければいけないかの確認をしなければいけません。確認できていないとトラブルの原因になるため、入居者だけでなく身元引受人や保証人も把握しておきます。
いきなり退所するわけではなく退所勧告がされる
いきなり退所するわけではなく退所勧告がされてからの退所ですが、一般的には90日間の猶予が設定されているので安心してください。
退所勧告された理由によっては、猶予期間の間に新しい介護施設を見つけられ、見つけられない場合は退所期間を延長してもらえるかもしれません。どうしても次の介護施設が見つからないなら、少しの期間はショートステイやミドルステイを利用したり、一時的に在宅介護をしたりも視野に入れて考えます。
退所勧告された理由が経済的な理由や入院によるケースでは、比較的新しい施設も見つけやすいでしょう。注意点としては暴力や暴言によって退職になった場合は新しい介護施設が見つけにくく、同じように他の利用者に迷惑をかけてしまうと判断される可能性が高いです。どうしても解決策が見つからないなら、公的機関に相談して解決策について一緒に考えてもらう方法が挙げられます。
まとめ
介護施設はさまざまな種類が存在しているため、人によって適切な介護施設は異なっています。また、それぞれで入居条件や対象としている高齢者も違い、介護施設によっては自立している人が対象だったり、要介護認定を受けている人が対象だったりする点は把握しておきましょう。
公共施設として国が大きく関与して運用しているものもあれば、民間企業が運営している民間施設もあるなど入居する前には確認が必要です。
介護施設の料金に関しても、一般的な人でも利用しやすいように費用が抑えられているものから設備やサービス面を充実させたハイグレードな介護施設まであります。
注意点としてはそれぞれの費用支払い方法についても把握して、介護施設に入居した後に費用が支払えなくなるケースは避けましょう。要介護度や施設料金などを総合的に考えて、自分がどこの介護施設に入居するといいかについて判断します。介護施設に入居する際には短期的な見通しだけではなく、中長期的な見通しも必要です。
出典
公益財団法人 長寿科学振興財団 特別養護老人ホーム(特養)とは
公益財団法人 長寿科学振興財団 ケアハウスとは
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厚生労働省 有料老人ホームの概要
厚生労働省 サービス付き高齢者向け住宅について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー