更新日: 2023.07.11 セカンドライフ

老後の生活費は平均「23万円」? 必要な費用を算出して退職前の備えをする方法を解説

執筆者 : 御手洗康之

老後の生活費は平均「23万円」? 必要な費用を算出して退職前の備えをする方法を解説
生命保険文化センターの調査によれば、夫婦2人で老後の生活を送る上で必要と考える最低限の日常生活費は、月額平均で23.2万円とされています。
 
しかし、総務省の家計調査によると、世帯主の年齢が65~69歳の場合の消費支出の実態は約29万円であり、実際の支出との間に5~6万円の差があることが示されています。
 
本記事では、老後の生活にかかる支出の見直しと備えのポイントについて解説します。

現実的に収入は減少する

退職後の収入は減少することが予想されるので、同じ生活水準を維持しようとすれば、貯蓄がいずれ底をつく可能性があります。そのため、退職前から必要な支出を改めて見直し、適切な生活水準や投資戦略を検討して老後に備えることが重要です。
 
老後の生活費の見積もりをする際に は、医療費や介護費などのような、老後に支出が増加する要素も考慮する必要があります。
 

老後の支出の洗い出し例

老後に考えられる支出としては、図表1のようなものがあげられます。まず、日常生活費として食費や光熱費、通信費など、基本的な生活費は老後でも必要です。また、医療費も重要なポイントです。高齢になると健康に関わる問題が増えるため、医療費や介護費が現状よりも増加する可能性が高まります。
 
さらに、特別な費用として、退職金などを利用した住宅ローンの前倒し返済や車の購入、旅行などの娯楽費もあげられます。仮に老後まで住宅ローンが残っている場合、返済が継続されるため、どのように返済していくか、考える必要があります。
 
老後の生活に関わる支出例は、図表1の通りです。このように、日常的な支出と特別な支出を分けて見積もり、現在の支出の差を把握しておくことが重要です。
 
【図表1】


 
筆者作成
 

支出の見直しと収入に対する備え

将来的な支出を洗い出すとともに、余計な支出を減らせるかをチェックしておくことが重要です。例えば、退職金を利用して住宅ローンを完済する、必要な保険を見直す、車を売却して公共交通機関やレンタカー、カーシェアなどを利用するといった方法を検討することで、固定費を大幅に見直せる場合があります。
 
また、退職後の収入が主に年金だけになることに心配がある場合は、65歳以上でも働いたり、資産運用によって収入を得たりすることを検討するのも有効です。
 
さらに、年金を繰下げ受給することも1つの選択肢です。年金を繰下げ受給すると、受給金額が増加していくため、将来的には大きな収入増が見込めます。例えば、年金を5年間繰下げ受給すると、受給金額は増額率0.7%×12ヶ月×5年=42%増加します。このように、年金受給を繰り下げることで将来の収入を増やすことも可能です。
 

老後の生活に対して早めの備えをすることが重要

老後の生活費は、それぞれのライフスタイルによって異なります。老後になってから必要な資金を確保することは難しい場合があるため、現役世代のタイミングから早めに検討を始め、老後に向けた備えをしておくことが大切です。
 
老後の生活費や資産運用などは、個々の状況によって必要な資金や戦略が異なります。1人で判断することが難しい場合は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家の助言を活用することをおすすめします。
 

出典

公益財団法人 生命保険文化センター 老後の生活費はいくらくらい必要と考える?
総務省統計局 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 3-2 1世帯当たり1か月間の収入と支出 世帯主の年齢階級別
 
執筆者:御手洗康之
AFP、FP2級、簿記2級

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