更新日: 2023.07.25 セカンドライフ

現役時代「年収650万」だった68歳男性。セカンドキャリアに「清掃スタッフ」を選んだが、月の手取り10万以下でも老後資金は心配しなくてもいい?

執筆者 : 柘植輝

現役時代「年収650万」だった68歳男性。セカンドキャリアに「清掃スタッフ」を選んだが、月の手取り10万以下でも老後資金は心配しなくてもいい?
先日、68歳の男性から老後のライフプランについて相談を受けました。現役時代の年収は650万円であったことから、現職の清掃スタッフの収入が低く感じ、「本当に将来はこれで大丈夫か」と心配になったようです。
 
そこで、セカンドキャリアで選んだ仕事の手取りが10万円以下の場合、老後資金についてどう考えるべきか解説していきます。

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柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

相談に至った背景

今回、相談にいらした68歳男性の背景について、簡単にまとめると下記になります。

・1955年5月30日生まれ
・現役時代である23歳から60歳の間の平均年収はおよそ650万円
・セカンドキャリアは清掃スタッフ(65歳から働いている)
・現在は一人暮らし
・貯金は1800万円ほどあり
・清掃スタッフでの月収は8万円程度
・年金収入月17万円

相談者の男性は、セカンドキャリアとして以前から気になっていた清掃スタッフを選んだものの、手取りが毎月10万円以下と、現役時代との収入差から不安になり相談に至ったようです。
 

年金+就労なら老後資金の不安は大きく軽減できる

相談者の月収は年金に加え、清掃スタッフとして8万円程度の給与があり、毎月合計で25万円ほどの収入が見込まれます。
 
総務省の家計調査によれば、65歳以上の高齢単身無職世帯における非消費支出と消費支出の合計は、15万5495円となっています。
 
【図表】


 
出典:総務省 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要
 
毎月25万円近い収入が見込まれる相談者の場合、多少自由にお金を使っても、一般的な統計に比べて10万円近く余裕があることから、老後資金についてさほど気にする必要はないでしょう。お金の使い方次第では、毎月5万円以上の額での貯金も不可能ではありません。
 
このように、年金+就労による収入の2本柱での生活は、老後の生活を安定させるのに非常に有効です。また、相談者の場合は貯金もあり、セカンドキャリアである清掃スタッフでの収入が手取り10万円以下であっても、老後資金の心配はないと考えてよいでしょう。
 
若い世代の方は、年金額やセカンドキャリアでの収入を当てにし過ぎず、老後資金はできるだけ貯めておきたいところです。
 

とはいえ、お金の使い道には要注意

ぱっと見、お金について心配する必要がなさそうな状況ですが、大きな落とし穴があります。それは支出です。
 
相談者は現役時代の平均年収が650万円だったこともあり、現在は当時と比較すると収入が大きく下がっています。現役時代と同じようなお金の使い方をしていると、老後資金が多少あったとしても老後資金が尽きてしまう可能性もあります。また、老後は病気やけがの治療といった突発的に大きい支出や継続的な出費が生じる恐れもあります。
 
その点を鑑みると、老後の生活で十分な収入や老後資金があると思っても、現役時代よりも時間に余裕がある分、想像以上にお金を使ってしまったり、体が衰えていて医療費がかかったりする可能性もあるため、普段のお金の使い道に注意しておく必要がありそうです。
 

月10万円以下の収入でも、就労によって老後の生活は安定する

年金とこれまで積み重ねてきた老後資産だけで生活できるという場合であっても、就労することで、より生活を安定させることができます。今回ご相談いただいた男性も、月10万円以下の手取りとはいえ、清掃スタッフでの収入によって生活にゆとりが生まれています。
 
老後は現役時代より収入が下がるだけでなく、病気やけがなど多くのリスクも高まります。いざというときに困ってしまわないよう、月10万円以下であっても収入を得られるようにしておくのもおすすめです。
 

出典

総務省 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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