年金受給までに必要な「貯蓄額」は?老後は貯蓄500万円未満でも過ごせそう?

配信日: 2023.07.27

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年金受給までに必要な「貯蓄額」は?老後は貯蓄500万円未満でも過ごせそう?
年金の受給が始まるのは、原則65歳のときです。仮にそれより前に定年退職を迎えるという場合、どれくらいの貯蓄があれば、年金受給までの時間を過ごすことができるのでしょうか。
 
老後に用意しておきたい貯蓄額について探っていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

年金受給まで500万円未満の貯蓄で過ごすことは厳しい

もし、65歳より前に定年を迎えるという場合、年金を受給できる65歳までは、数年の時間があります。この間をどう過ごすかによって、必要な貯蓄額が大きく変動します。
 
参考までに、総務省の「家計調査報告」によれば、65歳以上の単身無職世帯の1ヶ月の支出は、平均15万5495円となっています。年間の支出は186万5940円となります。
 
仮に60歳で定年退職した場合、年金受給までの5年間の生活費はおよそ933万円となります。もし、500万円の貯蓄で年金生活まで持たせるとしたら、単身者では2年半程度が限度になります。
 
一方で、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の生活費は、月々平均26万8508円です。年間の支出は322万2096円となります。500万円の貯蓄で生活できるのは、1年半程度が限度となるでしょう。
 

老後を500万円未満の貯蓄で過ごすことは難しい

老後を500万円未満の貯蓄で過ごすことは、かなり困難となるでしょう。
 
令和3年度における厚生年金の支給額の平均は、月額14万5665円です。国民年金の場合では、わずか5万6479円です。先の高齢者の平均的な支出額を参考にすると、単身者で平均的な金額の厚生年金を受け取れるなら、500万円未満の貯蓄額でも老後を過ごすことができるでしょう。
 
毎月1万円程度収入が不足しますが、360万円の貯蓄があれば30年ほど生活していくことができ、老後を過ごすことも不可能ではありません。また、夫婦ともに平均額の厚生年金を受け取れる場合も、老後500万円未満の貯蓄で生活することができるでしょう。
 
しかし、大多数を占めるであろう「厚生年金の夫と国民年金のみの妻」という世帯の場合、毎月の年金収入は20万2144円程度となり、毎月6万6364円程度不足します。これでは500万円の貯蓄があっても、6年程度で底を突いてしまいます。
 
この点を考えると単身者である場合や、夫婦ともに平均額程度の厚生年金を受け取れる場合、あるいは倹約家で持ち家を有している場合など、極端に生活費が少なく済む方でない限り、500万円未満の貯蓄で老後を過ごすことは現実的ではないでしょう。
 

貯蓄が500万円未満であれば老後も働いた方が生活は安定する

厳しい現実かもしれませんが、貯蓄が500万円未満であれば、65歳で年金を受け取れるまで就労し、できる限り貯蓄をしておくべきでしょう。また、65歳で年金を受け取った後もできる限り就労をして、年金だけに頼らないようにしておくべきです。
 
先に確認したように、貯蓄が500万円未満だと、受け取る年金額と支出額によっては、途中で老後資金が尽きてしまう可能性が高いからです。そうでないとしても、老後は病気やけが、人によっては持ち家のリフォームなどでまとまったお金が必要となることもあります。
 
それらに備え、安定した老後を送るためには、就労すべきといえるでしょう。現在では定年の延長や再雇用などによって、65歳や70歳まで正社員として働ける会社も増えています。また、パートやアルバイトで高齢者を積極採用している場所も多いです。
 
老後も無理のない範囲で働くことは、家で引きこもるよりも、心身の健康に良い影響をあたえることにもなります。貯金が500万円未満であれば、老後も働くことも前向きに考えるべきでしょう。
 

まとめ

60歳以降に年金を受給するまでに必要な貯蓄額は、生活費や家族構成、年金を受給するまでの年数によって異なります。また、老後に支給される年金額の平均は、厚生年金で月額14万5665円、国民年金は5万6479円です。
 
各種統計を参考にする限り、500万円未満の貯蓄額で老後を迎える場合、年金と貯蓄だけで生活していくことは現実的ではありませんが、最適な老後のライフプランは個別の事情によって異なります。
 
今回のシミュレーションを参考にしつつ、自分はどのように老後を過ごすべきか、働き方を踏まえて考えてみることをおすすめいたします。
 

出典

総務省 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要
厚生労働省 令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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