更新日: 2023.07.31 介護
親の介護に直面する前に知っておいてほしい大切なこと
執筆者:秋口千佳(あきぐちちか)
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士
突然やってくる介護という生活
介護の多くは突然やってきます。転倒や心臓発作など、その前の瞬間まで健康だった人が突然に寝たきりになります。もちろん、長期にわたる病気の療養の中で起こることもあります。
予測ができれば準備はできます。しかし、介護という万一のことは予測ができないうえ、関わる人すべてに影響が出ます。その影響を1番受けるのは家族です。
介護状態になった親が働いている場合
今は元気な高齢者が多く、現役で働いている親が突然介護状態になることもあります。そのようなときに、まず家族がとるべき行動は、親の勤務先への連絡・相談です。回復が厳しいと分かれば、退職の必要が出てくることも考えられ、退職の手続きとして、健康保険や厚生年金保険、雇用保険といった社会保険の手続きをお願いすることになります。
この社会保険の手続きの中で注意が必要なのは、健康保険です。現状として勤務先の健康保険を使って治療をしている場合、退職に伴う切り替えにより、無保険期間が生じないようにする必要があります。勤務先と親の住所地の自治体とに確認の上、手続きを進めるようにしてください。
また、健康保険や雇用保険から傷病手当金や傷病手当といった助成もあるので、そういったことも勤務先に確認・相談し、手続きをしてもらうことを忘れないようにしてください。
誰に聞いたら良いのか分からない
介護状態になった親を目の当たりにするショックとともに、子がすべてを抱え込んでしまうことは多いです。病院での入院生活を経て介護施設を紹介してもらい移動できる、というのは本当にまれなケースです。
そのため、子自らが介護施設を探すことも多いです。もし、そのような必要が出てきたときには、必ず「地域包括センター」を頼ってください。地域包括センターは、簡単に言えば、その地域の介護施設の状況を把握し、その地域で介護施設を探している人との橋渡しをしてくれます。
親の介護の状態やお金の状況、子ができることとできないことを踏まえたうえで、その家族にとって最適の介護施設を探してくれます。もちろん、すぐに希望の施設に入れるかは分かりませんが、手配はしてくれます。1人より地域を味方にして、誰かに頼ること、それが1番大切です。
今からできる親の介護への準備
突然やってくる親の介護への準備としてやっておいてほしいことは、たった1つです。家族の中でしっかりコミュニケーションを取っておくこと、これに尽きます。
実際に介護状態になったときに、親の意思を確認することは難しい場合が多いです。そのため、親が健康なときに親の意思は確認しておくことです。例えば、いわゆる「延命治療」についての意思確認などです。
そして「お金」のことも話し合う必要があります。親に介護というのはお金がかかるということを伝え、具体的な金額は聞かないまでも、その金額が準備できているのかをしっかり確認してください。
もし足りないのであれば、子(私)が準備しておく必要があるから、真面目に答えてほしい、と真剣に話をすれば、親も話してくれるでしょう。決して冗談で話をしているのではない、ということが伝われば親も話してくれます。
お金の話をすると、親は子に心配をかけたくないという気持ちから言葉を濁したり、逆に怒ったりもします。でも、実際にお金がないと結局は子に迷惑がかかります。なので、子が真剣にコミュニケーションをとることが大切です。あと1ヶ月もすればやってくるお盆の季節、帰省する方も多いと思うので、ぜひ親とのコミュニケーションをとってみてください。
また、子(自分)に家族(配偶者や子)がある場合は、その家族とのコミュニケーションも必要です。介護は長丁場であり、親が遠方に住んでいる場合は、一時的に単身で引っ越す可能性などもあるからです。さらには、親の介護費用を負担する必要もあるかもしれません。
今からできる親の介護への準備、それは「親子間、家族間のコミュニケーション」をとることに尽きます。しっかり時間をかけてコミュニケーションをとってください。
執筆者:秋口千佳
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士