更新日: 2023.08.18 その他老後

破産する人の25%以上が「60歳以上」!? ギャンブルよりも危険なのは「自分の支出」を把握してない人!

破産する人の25%以上が「60歳以上」!? ギャンブルよりも危険なのは「自分の支出」を把握してない人!
食品やガソリンの価格が大幅に値上がりして生活が厳しいと感じる人も多いのではないでしょうか。近年の物価の上昇に賃金の上昇が追いついていない印象を受けます。
 
生活が困窮している人も多いのでは、と想像できますが、自己破産について見ると、過去10年で自己破産事件の件数に大きな変化は見られず、令和4年は6万4832件となっています。「自己破産」と聞くと「ギャンブルにはまって」など相当な理由があってするものだというイメージがあるかもしれませんが、実はそんなことばかりではないのです。
 
では実際はどのような人が破産の危険があるのでしょうか。本記事では破産リスクが高い人の特徴を解説します。
御手洗康之

執筆者:御手洗康之(みたらい やすゆき)

CFP、行政書士

危険なのは自分の支出を把握していない人

結論から言うと、破産リスクが高い人の特徴は、「自分自身の支出を適切に把握していない人」です。
 
図表1は、地方自治体に寄せられた「多重債務」に関する相談の結果です。相談者の借金をしたきっかけは、最も多いのは「低収入・収入の減少」ですが、「ギャンブル等」と比べると、「商品・サービス購入」や「借金の返済またはクレジットカードの利用代金」の件数が大きく上回っています。この結果は複数回答が可能であるため、商品をクレジットカードで買ったケースも考えられます。
 
また、「不明」という項目ですが、もし「特別な理由が分からず、いつの間にかお金がなくなっていた」ということだとすれば、これも収入と支出のバランスが把握できていないということになるでしょう。
 
近年では、クレジットカードだけでなく、〇〇Payのような電子決済も普及しており、現金を持っていなくても買い物が可能です。支払いが先になるためどれだけ使ったか忘れやすくなる側面もあり、自分の支出を把握できない要因の1つとなっている可能性もあります。
 
図表1
 

 
金融庁 / 消費者庁 / 厚生労働省(自殺対策推進室) / 法務省 多重債務者対策をめぐる現状及び施策の動向より抜粋
 

70歳以上の破産率が増加している

日本弁護士連合会が公表している「2020年破産事件及び個人再生事件記録調査」によると、図表2の通り、破産する人の約4分の1は60歳以上であり、特に70歳以上の人の割合は増加傾向にあります。定年退職後に年金生活を迎えるにあたって、悠々自適な生活ができると安易に考えるのは少々危険かもしれません。
 
図表2
 

 
日本弁護士連合会 2020年破産事件及び個人再生事件記録調査より抜粋
 
一般的に言えば、定年退職後は現役世代の時よりも収入は減少するため、収入に合った生活水準に変えていく必要があります。支出が変わらないまま収入が減少すれば、当然ながら家計が逼迫(ひっぱく)していきます。
 
年金受給が始まるタイミングは、ライフスタイルが大きく変わる時期です。この段階で収入と支出のバランスをチェックすることをおすすめします。
 

まずは家計のバランスチェックをしましょう

実は、家計が厳しいと感じている方々は、支出を適切に把握できている場合が多いため、破産の心配までする必要はあまりなさそうです。それよりも注意が必要なのは、使途の不明な支出が多い家庭です。
 
家計の赤字解決策が見つからない場合には、お住まいの自治体の相談窓口などを利用することを検討しましょう。最終手段として、自己破産を選ぶことも必ずしも悪いこととは限りません。借金を整理し、新たなスタートを切る機会になるかもしれません。
 
その前に、まずはご家庭の収入と支出のバランスをチェックすることが大切です。自分だけで適切な支出の割合を判断するのが難しい場合は、専門家に相談することもおすすめです。
 

出典

首相官邸 多重債務問題及び消費者向け金融等に関する懇談会 (第21回)配布資料

日本弁護士連合会 2020年破産事件及び個人再生事件記録調査

 
執筆者:御手洗康之
AFP、FP2級、簿記2級

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