更新日: 2023.08.19 セカンドライフ
65歳、毎月「10万円」の年金を受け取る予定です。貯金が「300万円」あれば働かなくても生活できますか?
本記事では、65歳で貯金300万円ある場合に、これから毎月10万円を年金で受け取ると全く働かなくても生活していけるのか、それとも厳しいのか解説します。
今回は話を分かりやすくするために、単身世帯で65歳以降も1人暮らしを続ける、預貯金以外に資産はなく、運用なども行っていないことを想定して説明します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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65歳から生活費はいくらかかる?
老後は働かなくても年金だけで生活できるのか考えるためには、65歳以降に生活費は毎月どれくらいかかる可能性があるのか明確にする必要があります。
総務省統計局が発表した2022年の家計調査報告によると、65歳以上の単身無職世帯の実収入は13万4915年(可処分所得は12万2559円)、消費支出は14万3139円となっています。
単身無職世帯でも毎月約14万円の支出が発生するだけでなく、先ほどの総務省統計局のデータでは収支が赤字になっていることが分かります。また、持ち家を含んでいるため住居費が安く、賃貸で暮らす場合は毎月家賃分の支出が増える点も考慮しましょう。
毎月10万円の年金で生活していけるのか考えている場合は、毎月の家賃が発生しなくとも約4万円の赤字となる可能性が高く、預貯金や年金以外の収入を確保する必要があります。
貯金と年金で生活はできるのか
今回は、「毎月の収入は年金10万円、預貯金は300万円」ありますが、これだけで今後の老後生活をまかなうのは非常に厳しいといえるでしょう。10万円の年金収入だけでは毎月4万円赤字になる場合、年間48万円を預貯金などで補てんしなければなりません。
預貯金300万円から年間約50万円を取り崩す場合、約6年で資金が底をついてしまいます。つまり、6年以内に年金以外の収入源を構築しなければ、生活が破綻してしまう可能性があります。
65歳以降に収入を増やすには?
このような事態を防ぐためにも、65歳で年金を受け取れるようになるからと安心するのではなく、できる限り長く働いて年金以外の収入を確保することも積極的に検討してみましょう。
もし現時点で60歳からの再雇用などで働いている場合は、さらに雇用契約の延長ができないか、勤務先に働きかけるのも1つの方法です。
すでに65歳までの雇用確保の実施は義務化されていますが、2021年3月に高年齢者雇用安定法が改正され、70歳までの就業機会の確保が努力義務となりました。定年を65歳以上70歳未満に定めていたり65歳までの継続雇用制度を導入している事業主が対象で、定年制の廃止や70歳までの引き上げなどの措置を講じるように定められました。
現時点で努力義務のため強制力はないものの、人手不足の深刻化などで今後65歳以上の労働力もますます求められるようになると考えられます。
雇用契約の延長が厳しい場合は、パートやアルバイトなどで新しい仕事に挑戦してみるのも1つの方法です。いまさら未経験の分野に挑戦するのは難しいと感じるかもしれませんが、自身のスキルアップのためと考えてみると良いかもしれません。
もしパートやアルバイトで月10万円の収入を確保できると、年金とあわせて20万円の収入となります。月間支出が14万円の場合は6万円の黒字となり、預貯金を取り崩さなくても生活できるようになるので家計としては非常にメリットが大きくなります。
たとえ月2万円や3万円でも収入がゼロに比べると全然違います。お金の問題はもちろんですが、働くことで社会とのつながりがうまれて心身の安定につながることもあるので、臨機応変に考えてみるのもおすすめです。
まとめ
今回は65歳で貯金が300万円あり、いまから毎月10万円の年金を受け取る場合は働かなくても生活できるのか解説しました。
収入が年金のみだと、毎日の生活は何とかまかなえたとしても病気やけがなど不測の事態が発生した場合、資金繰りが急激に悪化して対応できなくなるおそれもあります。かつ、生活の面で家賃が発生するなどの場合は、その点も考慮しなくてはならないでしょう。
そのようなリスクを避けて、かつ社会とのつながりを確保するためにも、無理のない範囲で働き続けることも検討してみてはいかがでしょうか。
出典
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要
厚生労働省 改正高年齢者雇用安定法が令和3年4月から施行されました
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー