更新日: 2023.08.24 定年・退職
定年後は非正規の割合が「4倍」に!? 所得も現役時代の「半分になる」って本当? 貯蓄は平均いくらなの?
本記事では、内閣府の「令和5年版高齢社会白書」をもとに、高齢者の働き方や所得、貯蓄の状況について解説しています。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
定年後は非正規雇用で働く割合が4倍に
労働力人口に占める65歳以上の高齢者の割合は、長期的に見ると上昇傾向です。1990年には5.6%だったのが、2000年には7.3%、2010年には8.8%、2020年には13.3%と推移しています。
また、高齢者の中の働く人の割合も増加しています。60~64歳、65~69歳、70~74歳までの各年代において、それぞれ10年前よりも就業率が約10%以上上昇しており、最新の60~64歳で働いている人の割合は73%と高い水準です。
高齢者においては、現役時代と比べると非正規雇用で働く人の割合がかなり上昇します。特に男性については、55~59歳では働く人全体の11.0%が非正規雇用ですが、60~64歳では45.3%と一気に4倍になります。その後の年代でも非正規雇用の割合は増え続け、75歳以上では76.2%にものぼります。
定年後の所得は半分に
収入については、高齢者世帯(65歳以上の者のみで構成するか、これに18歳未満の未婚の者が加わった世帯)の平均所得金額は332万9000円で、高齢者世帯と母子世帯を除いた全世帯の689万5000円の約半分です。現役時代と比べ、定年後は大きく所得が下がると言えるでしょう。
なお、高齢者世帯の所得金額の中央値(所得を低い順に並べた際に真ん中にくる金額)は271万円です。高齢者世帯でも1000万円以上を稼ぐような世帯もありますが、高齢者全体の2%程度にすぎません。高齢者世帯の所得階層別分布で最も多いのは150~200万円の12.5%です。
定年後の貯蓄は2000万円超
二人以上の世帯における資産の状況を見ると、世帯主の年齢が高くなるほど、世帯当たりの純貯蓄(貯蓄から負債を差し引いた額)はおおむね増加しています。また、世帯主が60歳以上になると、それまでと比べて大きな純貯蓄を保有しています。世代ごとの貯蓄と負債、純貯蓄の金額は図表1のとおりです。
図表1
~29歳 | 30~39歳 | 40~49歳 | 50~59歳 | 60~69歳 | 70歳~ | |
---|---|---|---|---|---|---|
貯蓄 | 414万円 | 774万円 | 1134万円 | 1846万円 | 2537万円 | 2318万円 |
負債 | 802万円 | 1452万円 | 1172万円 | 692万円 | 214万円 | 86万円 |
純貯蓄 | ▲388万円 | ▲678万円 | ▲38万円 | 1154万円 | 2323万円 | 2232万円 |
内閣府 令和5年版高齢社会白書 第2節 高齢期の暮らしの動向 1就業・所得を基に作成
まとめ
定年後に働く人の割合や、労働者全体に占める高齢者の割合は以前よりも増加しています。また、働き方は正規雇用から非正規雇用に、所得も少なくなるといった点が現役時代と異なります。
現役時代よりも所得は少なくなりますが、退職金などの影響から、貯蓄や純貯蓄は増加傾向です。とは言え、これらのデータが必ずしも自分に当てはまるわけではありませんので、あくまでも世間の平均・参考値として認識しましょう。
出典
内閣府 令和5年版高齢社会白書
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー