更新日: 2023.08.24 定年・退職

定年後は非正規の割合が「4倍」に!? 所得も現役時代の「半分になる」って本当? 貯蓄は平均いくらなの?

定年後は非正規の割合が「4倍」に!? 所得も現役時代の「半分になる」って本当? 貯蓄は平均いくらなの?
定年後に豊かな生活をするためには、安定した収入や貯蓄が不可欠です。考え方は人それぞれとは言え、他の人の定年後の働き方や、収入、貯蓄が気になる人も多いのではないでしょうか。
 
本記事では、内閣府の「令和5年版高齢社会白書」をもとに、高齢者の働き方や所得、貯蓄の状況について解説しています。
FINANCIAL FIELD編集部

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定年後は非正規雇用で働く割合が4倍に

労働力人口に占める65歳以上の高齢者の割合は、長期的に見ると上昇傾向です。1990年には5.6%だったのが、2000年には7.3%、2010年には8.8%、2020年には13.3%と推移しています。
 
また、高齢者の中の働く人の割合も増加しています。60~64歳、65~69歳、70~74歳までの各年代において、それぞれ10年前よりも就業率が約10%以上上昇しており、最新の60~64歳で働いている人の割合は73%と高い水準です。
 
高齢者においては、現役時代と比べると非正規雇用で働く人の割合がかなり上昇します。特に男性については、55~59歳では働く人全体の11.0%が非正規雇用ですが、60~64歳では45.3%と一気に4倍になります。その後の年代でも非正規雇用の割合は増え続け、75歳以上では76.2%にものぼります。
 

定年後の所得は半分に

収入については、高齢者世帯(65歳以上の者のみで構成するか、これに18歳未満の未婚の者が加わった世帯)の平均所得金額は332万9000円で、高齢者世帯と母子世帯を除いた全世帯の689万5000円の約半分です。現役時代と比べ、定年後は大きく所得が下がると言えるでしょう。
 
なお、高齢者世帯の所得金額の中央値(所得を低い順に並べた際に真ん中にくる金額)は271万円です。高齢者世帯でも1000万円以上を稼ぐような世帯もありますが、高齢者全体の2%程度にすぎません。高齢者世帯の所得階層別分布で最も多いのは150~200万円の12.5%です。
 

定年後の貯蓄は2000万円超

二人以上の世帯における資産の状況を見ると、世帯主の年齢が高くなるほど、世帯当たりの純貯蓄(貯蓄から負債を差し引いた額)はおおむね増加しています。また、世帯主が60歳以上になると、それまでと比べて大きな純貯蓄を保有しています。世代ごとの貯蓄と負債、純貯蓄の金額は図表1のとおりです。
 
図表1
 

~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~69歳 70歳~
貯蓄 414万円 774万円 1134万円 1846万円 2537万円 2318万円
負債 802万円 1452万円 1172万円 692万円 214万円 86万円
純貯蓄 ▲388万円 ▲678万円 ▲38万円 1154万円 2323万円 2232万円

 
内閣府 令和5年版高齢社会白書 第2節 高齢期の暮らしの動向 1就業・所得を基に作成
 

まとめ

定年後に働く人の割合や、労働者全体に占める高齢者の割合は以前よりも増加しています。また、働き方は正規雇用から非正規雇用に、所得も少なくなるといった点が現役時代と異なります。
 
現役時代よりも所得は少なくなりますが、退職金などの影響から、貯蓄や純貯蓄は増加傾向です。とは言え、これらのデータが必ずしも自分に当てはまるわけではありませんので、あくまでも世間の平均・参考値として認識しましょう。
 

出典

内閣府 令和5年版高齢社会白書

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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