更新日: 2023.08.25 定年・退職
定年後の再就職で給与は「大幅減」になる?再雇用の方が給与面では安心?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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定年後の選択肢! 再就職と再雇用の違い
再就職とは、定年後に会社を退職して、新しい会社に就職することです。ハローワーク・転職サービス・シルバー人材センターなど、就職サービスを利用して自分で仕事先を探すのが一般的です。今までとは違う分野にチャレンジでき、働く環境を変えて新しく人間関係を築けるメリットがあります。
一方で再雇用とは、「再雇用制度」を活用して今まで勤めてきた会社で引き続き働くことです。今までと同じ環境で働けることもあり、慣れ親しんだ作業内容や人間関係を維持できるメリットがあります。仕事探しの手間がかからず、条件を満たせば社会保険・雇用保険も継続可能です。
定年後の再就職と再雇用の賃金水準は?
定年後の働き方で気になるのは、給与がどれくらい減るかです。そこで、定年後の再就職と再雇用の賃金水準を調べてみました。
・再就職の場合の賃金水準
厚生労働省の「2019年(令和元年)雇用動向調査結果の概況」によると、60~64歳の転職入職者で給与が1割未満減少した割合は6.3%、1割以上減少した割合は61.2%でした。高齢者が再就職する際、警備・清掃・ケアスタッフなどが主な募集職種になり、最低賃金のケースが多いと考えられます。
また、再就職者に占めるパートタイム労働者の割合は、60〜64歳の男性は44.5%で女性は73.7%、65歳以上になると男性は69.2%で女性は89.8%でした。よほどの資格やスキルがない限り、今まで以上または同等の賃金水準に達するのは難しいといえます。
・再雇用の場合の賃金水準
厚生労働省の「高齢者雇用の現状等について」によると、60歳直前の賃金を100とした場合の61歳時点の賃金水準の平均は78.7%でした。
従業員100人未満の会社は80.5%、1000人以上だと70.9%で、規模の大きい会社になると給与が減る傾向にあることが分かります。雇用形態に関しても、再雇用で正社員として働く方は4割程度で、嘱託・契約社員(57.9%)やパート・アルバイト(25.1%)で働く方が多いようです。
定年後の再就職・再雇用の際の注意点
再就職または再雇用を選ぶにしても、それぞれのデメリットを考慮したうえで決めることが大切です。
・再就職の注意点
高齢者が就職できる業種は限られているケースが多く、希望する仕事が見つけられない可能性があります。すぐに再就職できなければ、その期間は収入が得られず、退職金や貯金を取り崩して生活することになります。
定年後の就職活動をスムーズに進めるために、退職前に資格を取ったり転職エージェントに相談したりして、計画を立てておくことが大切です。
・再雇用の注意点
再雇用制度では、正社員の希望があれば65歳まで雇用することが義務付けられています。ただし、65歳以降の雇用を継続している企業は少ないため、注意が必要です。65歳以降も仕事を続けたければ、再就職しなければならず、60歳のときと比較してハードルは高くなると考えられます。
人生100年時代を見据えてキャリアプランの設計を!
定年後の仕事選びは、必ずしも自分の希望がかなうわけではありません。「これだけは譲れない」「この条件なら妥協できる」など、定年後の仕事に関する条件を決めておくことが大切です。
定年になってからどうするか決めるのではなく、第二の人生を見据えて年金受給予定額や必要な貯金額を計算し、定年後の働き方や生活のプランを立てておきましょう。
出典
厚生労働省「2019年(令和元年)雇用動向調査結果の概況」
厚生労働省「高齢者雇用の現状等について」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー