更新日: 2023.08.28 セカンドライフ

シングル女性の老後プラン ~身元保証人をどうする?~

執筆者 : 蟹山淳子

シングル女性の老後プラン ~身元保証人をどうする?~
思わぬ事故や病気で病院に入院することになったとき、身元保証人を求められることがあります。友人に頼むこともできますが、あらかじめ考えておかないと慌てることになるでしょう。
 
ただ、重篤な病気で入院する場合や、老人ホームに入居するときの身元保証人は友人というわけにいかないかもしれません。シングル女性が自分の老後を考えるときに欠かせない身元保証人の問題を解説します。
蟹山淳子

執筆者:蟹山淳子(かにやま・じゅんこ)

CFP(R)認定者

宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
蟹山FPオフィス代表
大学卒業後、銀行勤務を経て専業主婦となり、二世帯住宅で夫の両親と同居、2人の子どもを育てる。1997年夫と死別、シングルマザーとなる。以後、自身の資産管理、義父の認知症介護、相続など、自分でプランを立てながら対応。2004年CFP取得。2011年慶應義塾大学経済学部(通信過程)卒業。2015年、日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員。2016年日本FP協会、広報センタースタッフ。子どもの受験は幼稚園から大学まですべて経験。3回の介護と3回の相続を経験。その他、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー等の資格も保有。

身元保証人の役割

就職するときや賃貸アパートを契約するとき、入院するときなどさまざまな場面で身元保証人を求められることがありますが、それぞれで役割が少しずつ異なります。入院の場合、その役割には緊急時の連絡先や入院費の支払いに関すること、入院費必要な物品の購入のほか、不幸にして死亡した際の遺体の引き取りも含まれます。
 
親が元気でフットワークも軽い状況なら、親に頼めるかもしれませんが、自分も親も年齢を重ねれば、他に身元保証人になってくれる人を探すことになるでしょう。兄弟姉妹に打診するか、成人した子がいれば子に頼むこともできます。また、友人でも身元保証人になることができるので、例えばシングルの友人同士で、いざというときにはお互いの身元保証人になる約束をしておくと良いかもしれません。
 
しかし、自分自身も高齢になってから入院するときや、有料老人ホームに入居するときの身元保証人は、同年代の友人にはお願いできないかもしれません。重篤な病気の場合、本人の意識がなくなった後に治療方針を決めたり、亡くなった後に遺体を引き取って葬儀の手配をしたりするのも身元保証人の役割です。
 
老人ホーム入居の場合も、入居期間が長くなって本人が入居費などを払えなくなったり、認知症で自分のことが決められなくなったりすることも考えられるので、身元保証人に求められる責任は重くなります。
 
兄弟姉妹でも、80代90代になれば「もう高齢だから保証人は無理」と断るケースがあるでしょう。もし、おいやめいに頼める人がいれば、お金のことで迷惑をかけない配慮などしたうえで、いざというとき頼めるように、前もって相談しておきましょう。
 

頼める人がいない場合は?

人によって事情はさまざま。兄弟姉妹でも頼みにくいケースがあるでしょうし、そもそもひとりっ子という人もいます。生涯未婚率が上昇しているなかで、身元保証人を頼める人がいないケースは増えていくと予想されます。
 
ただ、身元保証人がいないことのみを理由として、病院は入院を拒否できないと法律で決められており、厚生労働省は身寄りがなくても安心して医療を受けられるようにガイドラインを作成しています(※1)。そのため、病院でも以前より柔軟な対応をしてくれることが多くなっているようです。
 
病院から身元保証人を求められて困ったら、まず他の方法がないかたずねてみましょう。入院費をクレジットカード払いにすることや、入院保証金を預けるなどで対応できることがあります。それでもうまく対応できない場合は、地域包括支援センターなど自治体の窓口で相談しましょう。
 

身元保証サービス

近年は、身元保証や亡くなった後の事務手続きなどのサービスを提供する事業者もあります。シングル女性が自分の身元保証人を誰に頼むか考えるとき、身元保証サービスは選択肢の1つとなるでしょう。ただ、相応の費用がかかりますし、思っていたサービスを受けられなかった、契約していた業者が破綻してしまったといったトラブルも発生するかもしれません。
 
もし、身元保証サービスを契約したいのであれば、契約する事業者を慎重に選ぶ必要があります。そのためにも、自分がどのようなサービスを受けたいのかをはっきりさせ、それにはどのくらいの料金がかかるのか、その費用を払い続けていけるかを検討し、契約の変更や解約の手続きについても、しっかり確認しましょう(※2)。
 
これからも、「おひとりさま」で老後を迎える女性は増えていくことが予想されます。それに伴って、身元保証人がいなくても入院や有料老人ホーム入居に困らない仕組みができていくでしょう。しかし、現状はまだ、入院時に身元保証人を求められるのが通常です。早めに情報を知って対策を考えておくことで、より充実した老後プランを考えていきましょう。
 

出典

(※1)厚生労働省 身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン
(※2)消費者庁 「身元保証」や「お亡くなりになられた後」を支援するサービスの契約をお考えのみなさまへ
 
執筆者:蟹山淳子
CFP(R)認定者

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