更新日: 2023.09.04 セカンドライフ

60歳で「退職」しました!でも年金の手取りは10万円……。退職は早まり過ぎた?

60歳で「退職」しました!でも年金の手取りは10万円……。退職は早まり過ぎた?
65歳まで定年を延長したり、再雇用など雇用機会の確保をしたりする企業が増えている昨今、それに反して60歳で退職するという方もいるようです。筆者の下にも先日、「いざ退職したのはよいものの、年金の手取り額が10万円と意外に小さく、不安になった」という方から相談がありました。
 
そこで今回は、60歳で退職して年金生活を送ることが早まり過ぎているのか、考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

65歳よりも前に退職するなら年金の受給開始時期について気を付けるべき

年金の受給開始時期である65歳よりも前に退職する場合は、年金についてしっかりと考えておくべきです。
 
年金を65歳よりも早く受け取ると「繰上げ受給」となります。1ヶ月早める(繰り上げ)ごとに、年金額は0.4%減額されます。今回のように、60歳で退職してすぐに受け取ると、年金額は24%減額されます。本来であれば年金の手取り額がもっと多いところ、繰上げ受給による減額で、手取りが10万円と、想定以上に小さくなって驚いた、ということもあり得るのです。
 
退職を後悔しないためにも、年金の受給開始時期についてしっかり考えておくべきでしょう。
 

年金受給額が小さくとも、老後資金があれば過度に気にしなくてもよい

「年金の受給額が小さいから、退職は早まり過ぎたか」といえば、そうでもありません。年金受給額が小さくとも、老後に生活していくだけの十分な資産額があれば問題ありません。
 
例えば、60歳時点で毎月の生活費が15万円となる方に、老後資金として2500万円の貯金があるような場合です。この場合、生活費から年金の手取り額10万円を除くと、必要な部分は5万円です。90歳まで生きると仮定しても、60歳からの30年間で必要な生活費は1800万円です。2500万円あれば、万が一のお金として700万円の余裕も確保できるため大丈夫でしょう。
 
また、資産の一部を配当の得られる株式や投資信託などに換えて、資産運用して収入を得て、年金と合わせて生活していくというのもよいでしょう。ただし、資産運用にはリスクが伴うため、その許容範囲内で行うようにしてください。
 

生活が苦しくなりそうだと思ったら途中で働くのもアリ

退職をしたとしても、途中で「これは早まった」と思ったら、再度働くという方法も有効です。年金が予想以上に少なく、途中で老後資金も尽きてしまう前に、パートやアルバイト、あるいは再就職という方法で働き、お金を稼ぐのです。
 
「年金と老後資金だけでは生活できない」という状況でも、多少の就労収入が加われば生活していくことができる場合も、往々にしてあります。例えば、老後の生活費が15万円必要であるが年金は10万円しかない、という場合です。この場合、あと5万円から6万円程度働いて稼げば生活していくことができます。
 
5万円から6万円程度であれば、時給950円で働いても、1日4時間、週4日で十分稼ぐことができます。現在は高齢者を積極的に採用している求人もあるため、そういった求人に応募することで、無理なく生活費を稼ぐことも可能でしょう。
 

「退職が失敗した」と年金額だけで思わないこと

65歳よりも前に退職して、年金額が手取り10万円だったとしても、老後資金の額やその他の収入によっては問題なく老後を過ごせる場合があります。年金額だけで考えず、落ち着いて自分の状況を客観的に把握し、老後について考えてみてください。
 
もし、このままではいずれ生活できなくなることが目に見えており、早まってしまったと後悔している場合は、早めに就労を検討してみてください。いずれにせよ、老後の生活については、焦らず落ち着いて、現状を基にしっかりとシミュレーションして考えていくことが重要です。
 

出典

日本年金機構 年金の繰上げ受給
 
執筆者:柘植輝
行政書士

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集